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【化け物バックパッカー旧作版】  作者: オロボ46
第二部「ロシア編」選択の旅
24/24

第二十三話「決闘!??ティルムVSジャーナリスト!」

こんにちは、オロボ46です

今回はえわ市の続きです

それでは、どうぞ。

「コノ子タチ......迷子ナノ......」


 えわ市のトイレの中、

タビアゲハは三人(匹?)の竜の化け物を抱えて

ティルムに説明していた


「迷子......ってことは

保護者がいるんですか?」


「ウン......オ母サンガイルンダヨネ?」


 タビアゲハは竜の化け物たちに聞いた


「ウン僕タチノオ母サンノソウダヨトッテモ

オ歌大キイントッテモダヨ綺麗ナンダヨ!」


 竜の化け物たちはかわいらしい声で一斉に喋ったが

まったく聞こえなかった


「えっと......一斉に喋ったら解らないから......

大きい子から順番に喋ってくれるかな......」


 竜の化け物たちは一人ずつ喋り始めた


「ウン! ソウダヨ!」


「僕タチノオ母サン、

トッテモ大キインダヨ!」


「オ母サンノオ歌、トッテモ綺麗ナンダヨ!」


 竜の化け物の話を聞いて、

ティルムは橋で行われたイベントのことを思い出した


「まさか......あのイベントは......」


 その時、タビアゲハが何かを感じ取ったように

立ち上がって言った


「!! 誰カクル!!」


 ティルム達はトイレの中へ逃げ込んだ




「先輩、本当に歌の上手い竜なんているんでしょうか?」


 二人の日本人記者の男たちは

女子トイレの中を見回っていた


 一人は気弱そうで、

もう一人はサングラスをかけた怪しい人物だ


「ああ、もちろんだ

あのローブを着た奴、ふらふらしていたからなあ。

あれが竜に違いない」


 サングラスの男は自信たっぷりに言った


「最近流行っている化け物病なんじゃ......」


「それなら太古から生きているって

でっち上げるまでだよ。

そうすればわし達は時の人! 世の中は思い通りだ!

わっはっは!!」


「あ、あはははは......」


 気弱そうな男は乾いた笑いで返した




「いててて......」


 トイレの窓から抜け出したティルムは

尻をおもいっきり打ったらしく、手でさすっていた


「ヒソヒソ(アノ人、ドジナンダネエ)」


「ヒソヒソ(頭カラ出テキテ普通ハ

オ尻痛クナラナイヨ)」


「ヒソヒソ(凄イ落チカタダッタモンネエ)」


 竜の化け物たちはひそひそと話し合っていた


「ねえ、聞こえているんだけモゴ」


「ヒソヒソ(静カニシテ......聞コエチャウ......)」


 ティルムはタビアゲハに口を押さえられた


 竜の化け物たちは声を出さずに笑っていた


「ヒソヒソ(アノ人タチ......

コノ子ヲ狙ッテイルンダ......)」


 タビアゲハは壁に耳をあてて聞いていた


「ひそひそ(これからどうするんですか?

このままじゃあ見つかりますよ?」


 ティルムがそう言った時、竜の化け物の誰かに肩を突っつかれた


「ん?」


「ヒソヒソ(ネエ、トイレノ前ノ服、トッテキテヨ)」


「ひそひそ(あの黒い服のことかい?)」




「うんしょっと......」


 サングラスの記者はトイレの個室に入り込もうと

奮闘していた


「あの......先輩......

止めておきましょうよ......」


 気弱そうな記者はサングラスの記者を止めようとした


「何を言っているんだね

この個室は思いっきり怪しいじゃないか

それに、あの窓はさっき来た時は閉まっていたんだ」


「え......先輩、

さっきもここに来たんですか?」


 気弱そうな記者がそう聞いた時、


「あのー!? 何しているんですかー!?」


 サングラスの男はびっくりして落ちてしまった




 ティルムは女子トイレの中にいる

二人を目撃して話しかけた


 あと一歩判断が遅れていたら

恐らく窓からタビアゲハ達を見つけていただろう


 二人の男たちはいそいそとトイレから出てきた


 顔が日本人だったのでティルムは不安になったが、

ロシア語で話しかけてくれたので安心した


「私たちは決して怪しい者ではございません。

実は......刑事なんです」


「......本当ですか?」


「本当ですとも、なあ?」


 サングラスの男は気弱そうな男を突っついて言った


「は、はい......そのとおり......であります!」


「......警察手帳は?」


「......」

「......」


 二人の男たちは黙り混んでしまった


「......通報していいですか?」


 二人は急いで退散した




「ヒソヒソ(アノ人タチ、タイシタコトナイネエ)」


「ヒソヒソ(ホントダネエ)」


「ヒソヒソ(僕タチダケデモ倒セテイタヨ)」


 竜の化け物たちは笑いながら話し合っていた


「それで、この黒いローブがどうかしたの?」


 ティルムは竜の化け物たちの話を無視して聞いた


「ア、ソレハネエ......」


 竜の化け物の一人はそう言いながら体をまっすぐにして立った


 二人目の竜の化け物は一人目の頭の穴に

尻尾を入れてまっすぐ立つ


 三匹目も同じようにした


「合体~!」


 三人はちょうどタビアゲハと同じ背丈になった


「ワア......スゴイ......」


 タビアゲハは感心していたが、ティルムは複雑そうな表情だった


「ティルムサン、ドウシタノ?」


「ん? いや、何でもないよ

それよりもローブを着せないと......」


 そう言ってティルムはローブを着せた


「コレナラ見レナイネ......」


「そうですね......あ、

タビアゲハさん、フード!」




「ふっふっふ、

しっかり撮ったぜ......」


 トイレの角から見ていたサングラスの記者は呟いた


 手にはカメラがあった


「先輩......

あのバックパック、見たことあります......!

確か日本のブランドモノの......」


「ああ、もしかしたら日本から来たのかもしれない。

世界を旅する化け物......

化け物バックパッカーと言うべきか?

これはネタになるなあ......」


「そこの人、何をしているんですか!?」


 後ろで声がして、

サングラスの男は驚いてカメラを落としてしまった


 二人が振り替えると、本物の警官がいた


「あ、いや、私たちは怪しいものでは......」


 警官は記者の言葉を無視して尋ねた


「先ほど、通報がありましてね。

サングラスをかけた怪しい男がもう一人の男と共に

女子トイレの中にいたらしいんですよ」


 警官はサングラスの記者の顔をじっと見た後、

落ちているカメラを見た


「......話を伺いたいので、ちょっと署まで来てもらいましょうか」




「うちの息子が本当にお世話になりました」


 人々が賑わう橋の下、

ティルムとタビアゲハは

竜の化け物たちの母親の待つ場所へとたどり着いた


 母親は息子たちよりも化け物病が進んでいないのか、

竜のような尻尾と手足を持つ以外、

普通の人間だった


「あ、あの......上の騒ぎは......

あなたがきっかけ......なんですよね?」


 ティルムは遠慮がちに尋ねた


「ええ、そうです。

私がこの子たちの為に子守り歌を歌ったのが、

いつの間にか噂になって......」


「ソノ、子守リ歌......

聞キタイ......」


 タビアゲハが途中で口を挟んだ


「タビアゲハさん、それはさすがに......」


「大丈夫ですよ。

ただ、この噂が落ち着くまで待っていただけますか?」


 母親は優しそうな目で言った


 タビアゲハはコクリと頷いたのを見て、

ティルムは選択した


「イベントが終わって落ち着いたら、

またここに来ます」


 ティルムがそう伝えると、竜の化け物たちが飛び付いて来た


「ホントウ!?」


「マタ触覚ノオ姉チャント変ナオ兄チャンニ会エルンダ!」


「約束ハ破ッチャダメダヨ!」


「わかった! わかったから退いて!」


 そう言ってもなかなか離れなかった竜の化け物たちを見て

母親とタビアゲハは一緒に笑った


 えわ市の橋の上の人々は下の様子に気づかずに

イベントで騒いでいた

いかがでしたか?

次回もお楽しみに!

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