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【化け物バックパッカー旧作版】  作者: オロボ46
第二部「ロシア編」選択の旅
21/24

第二十話「旅費のご利用はご計画的に」

こんにちは、

ただでさえ遅い投稿ペースなのに、

最近また新しい作品を書いてしまったオロボ46です。


新しい作品の題名は「YOU~ユウ~行き先もなくたださ迷い続ける冒険~」です。

「化け物バックパッカー」の方は旅や観光といった要素が多めですが、

あちらは冒険要素が多めです。


今回は「ろる市」のお話です。

それでは、どうぞ。

 「ろる市」の街道を歩く人々


 そのほとんどは地元の人々であろう


 誰もが当たり前のように、珍しさもなく歩いていく


 少数の観光客たちは様々な建物を巡っていたが、

空を珍しそうに見上げていたのはただ一人だけだった




「あ、タビアゲハさん......」


 ティルムはタビアゲハの姿を見つけると、駆け寄ってきた


「ティルムサン、泊マルトコロ見ツカッタ?」


「うん、まあなんとか......

この前の町よりかは早く見つかりましたよ」


「ソウナンダ......」


 そう言ってタビアゲハは再び空を見上げた


 正確にはローブで隠してある触覚を

上に(他人にバレないように)動かしていたのだが


「タビアゲハさん、どうしましたか?」


「イマ、七時ダヨネ?」


 タビアゲハは腕時計を見て言った


 あらかじめティルムのスマホの時計と合わせていたので、

時差は気にしなくてよかった


「ギクッ」


 ティルムの背筋が凍った


「......ティルムサン、ドウシタノ?」


「あ、えっと......ち、違うんですよ......」


 ティルムは言い逃れようと、とっさに呟いた


「エッ!?違ウ!?」


「え、あ、う......」


 もう言い逃れは出来なかった


「ご、ごめんなさい!

実はこっそりゲーセンに行ってましたああ!!」


「......エ?」


「......」


「......ゲーセン、テ、何?」


「......」


「ア、ゴメン、モウ一回スマホ見セテクレル?」


「......へ?」


「ダッテ、今ハ

七時ジャナインデショ?

ダカラモウ一回調整シナイト......」


「......」


 噛み合っていない二人の会話を気にすることもなく、

人々はその歩みを止めなかった




「ゲーセン、ッテソンナニ悪イトコロナノ?」


 町の公園のベンチに座って、

タビアゲハはティルムに質問していた


「い、いいえ!

そんな悪いところではありません!

ただ......」


「タダ......?」


「あまり熱中し過ぎてはいけないものですが......」


 ティルムはチラッと重い荷物を見た


 ゲームセンターの魔力に誘われた結果、

資金がみるみる減ったなんて言えない


「ソウナンダ......

ア、デモ、泊トコロガスグニ決マッテヨカッタネ」


「あ、あははは......

そうですね......」


 宿泊費を節約しないといけないほど資金が減っていたなんて

口が裂けても言えない


「ソレニシテモ......」


 タビアゲハが再び口を開いた


「七時ナノニ、ドウシテコンナニ明ルイノ?」


「あ、そうか......今の時期は白夜だったんだな......」


「"ビャクヤ"......?」


 空は七時でありながらまだ明るかった


 白夜と呼ばれる現象だ


 ろる市もその現象が起こる地域の一つだ


「ソウイウコトモアルンダ......」


 ティルムに説明してもらい、

改めてタビアゲハは空を珍しそうに眺めた


「やっぱり、タビアゲハさんにとって珍しいですか?」


 タビアゲハは頷いた


 ロシアに住んでいるティルムはこの光景を見たことがあったが、

日本から来たタビアゲハにとっては珍しかった


 二人はベンチに座ったまま、明るい空を見つめていた




 ティルムと別れたあと、

タビアゲハは寝床となる路地裏を探して、座り込んだ


「今日モイロンナトコロ見タシ、

明日ニ備エテモウ寝ヨウ......」


 タビアゲハは寝る前に再び空を見た


「マダ明ルイ......」


 空はようやく、夕暮れに近かった




......


......


........


..........


「......眠レナイ」


 旅を始める前は昼間でも寝ていた自分が、

夕暮れになっても眠れないことに少し違和感があった


「旅ヲ始メテカラ

ホトンド夜ニ寝テイタカラ馴レチャッタノカナ......」


 仕方ないので

もう少し観光することにした




......


......


........


..........


「......どうして眠れないんだろう」


 ホテルの部屋のベットの中、ティルムは体を起こした


 思い当たる節はあった


 昼間、ついフラフラと吸い寄せられた

あのゲーセンの対戦格闘ゲームのことであろう




 つい最近登場したその対戦格闘ゲームの存在は

旅にでる前から知っていたが、

タビアゲハと出会ってからはすっかり忘れていた


 ところが、ろる市のゲーセンの前を通った時に

そのポスターが張られているのに気づき、

思わずやりたい衝動に襲われたのだ


 結局、一戦も勝てなかった

 

 少しずつコツを掴んでもう少しで勝てると思った時、

タビアゲハとの約束の時間が迫っていることに気がつき

そのままゲーセンを後にしたのだった




「いつもなら選択に迷うはずなのに

どうしてゲーセンだけは迷わずにすぐに行ってしまうんだろう......」


 ティルムは頭を抱えて悩んだ


「ダメだダメだ、

こんなことに旅費をつき混んだら......

でも、せめて一戦だけでも......」


 やがて、ティルムは選択した


「喉が渇いたな......

そうだ、ゲーセンの近くの自動販売機で

飲み物を買いに行こう。

ここのホテルは自販機なんておいてなかったし、

近くにあるのはあそこだけだし、

仕方ないよね......

飲み物買うだけだから......」


 内緒はゲーセンのことばかり考えながら、

ティルムは部屋を出た




「マダ明ルイケド、

ナンダカ夜更カシシテイルミタイ......」


 タビアゲハが町を歩きながら呟いた時だった


「......ティルムサン?」


 ティルムが建物の中から出てくるのを見かけた


 その建物はティルムが泊まると言っていたホテルだった


「ティルムサンモ眠レナイノカナ?」


 タビアゲハが近づこうとした時だった


「......!?」


 ティルムが通りかかった路地裏から無数の触手が伸びてきた


 あっという間にティルムは捕まれ、路地裏に引きずり込まれた


「ティルムサン!?」


 タビアゲハは慌てて路地裏へと走って行った




 路地裏の中、ティルムは倒れていた


「ティルムサン!?大丈夫!?」


タビアゲハは慌ててティルムの体を揺さぶった


「う、うーん......?

タビアゲハさん......?」


「ヨカッタ......気ツイテ......」


 タビアゲハはほっとしたが、

ティルムの顔は真っ青に染まった


「......! まさか!!」


 ティルムは慌ててポケットを探った


「ドウシタノ?」


「......ない」


「モ、モシカシテ......

何カ盗マレタ......?」


「財布が......

ポケットに入れていた財布が......!」


 るあ市の路地裏で、財布を盗まれたティルム


 果たして、タビアゲハが見たあの触手との関係はあるのだろうか......?

いかがでしたか?

いったい、あの触手はなんでしょうか......

次回もお楽しみに!

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