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【化け物バックパッカー旧作版】  作者: オロボ46
第二部「ロシア編」選択の旅
19/24

第十八話「旅の準備はしっかりと」

こんにちは、オロボ46です。

今回は「やよ市」のお話になります。

それでは、どうぞ。

 ロシアの地下を走る電車


 その地下鉄に乗っている人々の視線は

怪しげな黒いローブを着た少女とその隣の青年に集まっていた


「ヤッパリ怪シク見エチャウノカナ.......」


 ローブを着た化け物、

タビアゲハは周りの視線を感じて呟いた


「あ、あの......えっと........

そのローブで恥ずかしい、て感じたことはありますか?」


 青年、ティルムは何か話題でも出そうと話しかけた


「ウン、最初ハスゴク恥ズカシカッタ......

デモ、コノ子ヲ触ッテイタラスグワスレルノ」


 そう言って、タビアゲハは抱えていた黄色いバックパックから

ウサギのような耳の生えた猫のような生き物のぬいぐるみを出した


 タビアゲハがそのぬいぐるみを膝に置くと

手で突っついたり、撫でたり、抱き締めたりしていた


「ハア......落チ着ク......」


 その時のタビアゲハの口元からとても幸せそうに見えた


(それにしても、このバックパックって、

大きいわりには中身はあまり入ってないな......)


 ティルムはタビアゲハのバックパックを観察していた


(僕のは......きっと大丈夫。

しっかり準備したんだから......)


 ティルムは自分の持ち物を確認して落ち着いた


 彼はタビアゲハのバックパックよりも

一回り小さい黒のリュックサックを持っていた


 それに加え、スポーツバックを片腕で背負っており、

さらに彼の足元には大きめのトランクが二つ置かれていた


(旅に出るなら、このぐらい持っていかないと.......)


 乗客の視線がタビアゲハの怪しげなローブよりも

ティルムのいかにも重そうな荷物に集まっていたことは

ご本人は気づいていたのであろうか......




「ふう、ふう、待ってください......」


 「やよ市」の駅の前で、

ティルムはトランクを転がしてタビアゲハの後をついていった


「......ヤッパリ多クナイ?」


 タビアゲハはティルムの荷物を見て言った


「い、いえ、旅に出るならこのぐらい持っていかないと・・・・・・」


 ティルムの荷物は明らかに

タビアゲハのローブよりも目立っていた


「ソウナノカナ......ア、赤ニナッチャッタ......」


 タビアゲハは信号機を見て言った


「赤......本当に信号は苦手なんですよ......

青ならすぐに渡ればいいのに、

無駄に悩む時間が増えて......」


「悩ム時間?」


「このまま渡ろうか、別の道を通ろうか......

いや、このような信号ならいいんです。

交差点にある信号だと、

どっちの横断歩道に渡ろうか......」


「ア、青ニナッタ」


 タビアゲハは素早く横断歩道を歩いて行った


 ティルムはトランクを必死に転がしながら後を追いかけていった



「今日の宿はここにしようか......

いや、別のところも調べておかないと......

うん、ここで迷っていては駄目だ。

ここに......いや、でも......どうしよう......」


 ティルムはホテルの前で立ち往生していた


「ソウイエバ、コンナ感ジノホテルニヨク止マッテイタナ......」


「あ、やっぱりここがいいんですか?」


「ア、ソウイウ意味ジャナクテ......

アル人ガヨクコンナ感ジノホテルデ止マッテイタカラ......

私ハヨクワカラナイノ......」


「そうなんですか......」


 その時、ティルムはタビアゲハが着ているローブの下の姿を思い出した


「あ、あの......

タビアゲハさんはどこで止まるんですか?」


「ア、私ハ......」


 タビアゲハはホテルの側の路地裏を指した


「......あそこ?」


 タビアゲハは頷いた


「あの時もそうでしたけど、寒くないんですか?」


「ウン、コノ体ニナッテカラ暑サトカ寒サトカ

ヨクワカラナクナッタカラ......」


 そしてタビアゲハは路地裏に近づいて呟いた


「結構イイ感ジノ狭サ......」


 ティルムはそれを聞き逃さなかった


「......そこの路地裏がいいんですか?」


「エ?ア、イヤ......タダイイ感ジノ狭サダナッテ思ッタダケデ......」


「......」


 ティルムはまだ選択に悩んでいた




「ココノ路地裏モイイ感ジダケド......」


 タビアゲハはティルムとは別行動で寝心地のいい路地裏を探していた


「タダ、アッチノ方ガ狭クテ寝心地ガ良サソウダシ......」


 タビアゲハは自分なりに路地裏選びに悩んでみた


「ティルムサン、ジックリ選ンデイタシ、

私モジックリ選バナキャ......」


 そう呟いた時、


「僕にはちょうどいい狭さだけどね」


 路地裏のどこからか、声が聞こえた




「はあ......どこを選んだらいいのだろう......」


 ティルムは宿探しに疲れていた


「どこもよくわからないホテルばかりだし、

どうしよう......」


 ティルムは自分が路地裏に来ていたことに気づいた


(いっそのこと、タビアゲハさん見たいに路地裏で寝てみようか......?

いや、普通に風邪引くよな......)


 そう考えていた時、

どこからか声が聞こえてきた


(タビアゲハさん......?)


 ティルムが路地裏の奥を覗くと、タビアゲハは誰かと会話をしていた


(誰と話しているんだろう......?)


 ティルムはタビアゲハと会話しているであろう男性を観察した


 服は路地裏には似合わない真っ白なスーツで、

背は高く、()()()のような耳が特徴的だった


「......?」


 ティルムは何か違和感を感じた


 路地裏にスーツ、とは別に何か強い違和感があった


(背が高くて、スーツを着ていて、()()()みたいな耳......)


 ティルムはようやく異質な光景に気づき、足が震えだした


「それで......ん?誰かいるの?」


 信号機の化け物はティルムに気づいた


「ひぃ!?」


 ティルムは尻餅をついた


 宿探しをしていた二人の前に現れた信号機の化け物


 彼は二人の「やよ市」での選択にどのような影響を与えるのであろうか......

いかがでしたか?

次回は信号機の化け物との絡みに入ってきます。

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