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【化け物バックパッカー旧作版】  作者: オロボ46
第一部「日本編」心の旅
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第十三話「旅する化け物、そして近づく時」

こんにちは、オロボ46です。

今回は「へは市」の続きです。

それでは、どうぞ。

「いやあ、すみません。てっきり誘拐犯かと・・・・・・」


坂崎と厳つい男と迷子の男の子は交番を訪れていた。


交番の前でパトロールを終えて帰ってきた警官に誘拐犯と間違われて


説得に二時間かかったのは言うまでもないだろう。


「いえ、それよりもこの子の親に会えたらいいですな」


坂崎はどこかで見たことのある光景だなと思いつつも、

警官に話し、その横の二人を見た。


「もう大丈夫だよ。お母さんはもうすぐ来てくれるからね。」


厳つい顔の男は、男の子の頭を撫でていた。




「危ナイトコロヤッタデ・・・・・・」


タビアゲハに襲いかかった何者かは静かに腕をおろした。


「アンタ、大丈夫ダッタカ?怪我トカナカッタカ?」


タビアゲハは呆気にとられていたが、化け物処理係の二人の話を思い出した。


(アノ2人ガ言ッテイタ化ケ物・・・・・・?)


タビアゲハは目の前にいる何者かを観察した。


パッと見れば狼が二足歩行した姿であろう。


首が三つもあることを覗けばの話だが。


「・・・・・・ネエ、"ジガ"、アル?」


タビアゲハは三つ首狼に尋ねた。


「自我?アア、今ハアルンヤケドナア・・・・・・

ワイ、時々記憶ガナクナッテイルカラナア・・・・・・」


三つ首犬はそう言って思い詰めるように空を見つめた。


「ソウイエバ、アンタ、ドコカラ来タンヤ?

ワイノ記憶ノ中デハ見カケナイ姿ヤケド・・・・・・」


「ア、エット・・・・・・私・・・・・・旅シテイルノ・・・・・・」


「ヘエ・・・・・・旅カ・・・・・・

ワイモ行ッテミタイナア・・・・・・ッテ旅!!?」


三つ首狼の化け物は信じられないようにタビアゲハを見た。




交番を立ち去った坂崎と厳つい男は町中を歩いていた。


周りはビルが立ち並んでいて、

あるビルについている巨大なスクリーンに映るニュースが印象的だ。


「あの、この顔、見たことありますか?」


厳つい男は坂崎に写真を見せていた。


「・・・・・・いえ、見てないですがのう」


嘘だった。


坂崎にはよく見覚えのある顔だった。


「そうですか・・・・・・実は僕の従兄弟なんですよ。

大手会社に勤めていたはずなんですが、数年前から行方不明なんですよ」


「・・・・・・」


「いえ、ありがとうございました。お爺さんもお元気で。」


厳つい男はそう言って、去っていった。


坂崎がタビアゲハの元へ行こうとした時、

巨大なスクリーンに見覚えのある場所が写った。


「・・・・・・」




「ヘエ・・・・・・ソノ爺サン、頭エエナア」


三つ首狼はタビアゲハの着ているローブを見て言った。


「ウン、坂崎サンノオカゲデ、イロンナ町ヲ旅デキテイルノ」


「旅カ・・・・・・ワイニハデキナイナ・・・・・・」


三つ首狼の化け物は思い詰めたように呟いた。


「ワイガ・・・・・・自我ヲ無クシテ、フト気ガツイタ時、

イツモ側ニアルノガ人間ノ死体ヤ。

薄々感ヅイテイタンヤガ、アンタヲ襲オウトシテ確信シタ。

ワイハ誰カヲ恨ンデイルンヤ。ダケド、ソレガ誰カハワカラン。

ソレヤキ、タブンワイハ無意識ニ手当タリ次第ニ人間ヲ殺シテシマウンヤ。

ワイニハ、旅ハデキンノヤ・・・・・・」


三つ首狼の化け物はため息をついた。


「・・・・・・ソンナコトハナイト思ウ。」


静かに聞いていたタビアゲハが口を開いた。


「誰カヲ恨ンデイテ、人間ヲ殺スノハ良クナイケド・・・・・・

デモヨク考エタラ、ソレガ旅ノ目的ニナルンジャナイ?」


「確カニソウヤケド・・・・・・」


「ソレニ、恨ンデイル人間ヲ見ツケタラ、

モウ人間ヲ襲ワナクテモイイデショ?」


「ア・・・・・・」


「ダカラ、別ニ旅ニデレナイコトハ・・・・・・ア」


タビアゲハは気づいた。


三つ首狼の化け物が姿を見せずにどうやって旅をすればいいのだろうか。


彼に似合うローブなんてどこにあるんだろうか。


タビアゲハは、何も考えずに言ってしまったことを後悔した。


「ナア・・・・・・、アンタ、旅スル関西弁ノ化け物、エエト思ワンカ?」


「エ・・・・・・?"カンサイベン"・・・・・・?」


「アア、ワイノ言イ方ノコトヤ。

関西弁ハ方言ノ1ツデ・・・・・・エエット、

マア、生マレ育ッタ場所デノ癖ミタイナモンヤ。」


(ソノ言イ方、癖ダッタンダ・・・・・・)


タビアゲハは先ほどから三つ首狼の言い方が薄々気になっていたが、


本人の説明で納得した。


「ワイ、顔ガ3ツモアルケド、ヨク見タラ男前ヤシ、

関西弁ダト以外ト愛嬌アルヤロ?

アンタニ言ワレテ初メテ気ガツイタデ」


三つ首狼は照れ臭そうに言った。

「ヨシッ!マズハコノ男前ナ顔ヲナントカシテ隠サナイトナ!

マア、ソレモ楽シミヤデ!」


三つ首狼はそう言って、立ち上がった。




坂崎は憂鬱になりながらもタビアゲハの所へと戻ってきた。


「アッ!!坂崎サン!!」


タビアゲハは坂崎を見つけると近づいてきた。


「タビアゲハ、すまんのう・・・・・・遅くなって・・・・・・」


「ウウン、アノ人ト話シテイタカラ大丈夫。」


タビアゲハは路地裏を指した。


路地裏にいる三つ首狼の化け物は信じられないような目付きで坂崎を見ていた。




数分後、


路地裏で三つ首狼と坂崎は互いに見つめていた。


沈黙は先ほどから続いている。


「彼女にはこの町で適当に観光するように言ったわい」


坂崎が一度沈黙を破ったものの、再び沈黙が路地裏を包む。


「・・・・・・どうしたんじゃ?わしを殺さないのか?」


坂崎はもう一度沈黙を破る。しばらくして、三つ首狼の化け物が口を開く。

「確カニ、ワイガ探シテイタノハ、アンタヤ。

ダケドナ、コンナ時ニ限ッテ殺意ガ湧カン。

キット、アイツノセイヤナ・・・・・・」


「そうか・・・・・・でも、もうすぐわしは彼女と別れなければならん。

今まで味方にしてきた法律が、わしに敵意を見せて来たからのう。」


「・・・・・・ソレデモ、先ニアイツニ言ウコトガアルンヤナイガ?

モウワイニハ殺意モ沸クコトハナイガナ・・・・・・」


「・・・・・・そうじゃな」


坂崎は立ち上がった。


「ナア、アイツニ1ツ言ッテクレンカ?」


「・・・・・・なんじゃ?」


「ワイガ旅ガデキルヨウニナッタラ、

スグニアイツニ追イ付ツク。コレダケヤ」


「・・・・・・わかった」


坂崎は路地裏を立ち去った。


別れの時は、目の前に近づいていた。

いかがでしたか?

・・・・・・おそらく、次回で坂崎のお話は最後になります。

少し遅れるかもしれませんが、次回もお楽しみに。

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