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【化け物バックパッカー旧作版】  作者: オロボ46
第一部「日本編」心の旅
12/24

第十二話「夜の町での再開、昼の町での出会い」

こんにちは、オロボ46です。

今回は「へは市」のお話です。

それでは、どうぞ。

その少年は、自分が何者かわからなかった。


ただひたすら、少年の記憶にある何かを探していた。


それらしきものを見つけると、それを確かめるために近づいていく。


気がついた時は目の前に死体があった。少年はもう見慣れていた。




ビルの明かりが広がる夜の『へは市』。


その町のある定食屋から一人の老人が出てくる。


それを待っていたかのようにローブを着た少女が

ぬいぐるみを抱えて老人に近づいた。


「坂崎サン、ゴハン、オイシカッタ?」


化け物の少女こと、タビアゲハは坂崎に話しかけた。


「ああ、おいしかったのう・・・・・・」


坂崎は空を見つめて言った。


「ネエ、坂崎サン・・・・・・」


「・・・・・・ん?」


「坂崎サン、最近元気ナイネ・・・・・・」


「・・・・・・そうかのう?」


「ウン、コノ前ノ村カラ落チ込ンデイタヨウニ見エタカラ・・・・・・」


この少女も、初めてあったときからずいぶん変わったものだ。


坂崎があの時を思い出していると、


「・・・・・・!!坂崎サン・・・・・・!」


タビアゲハは人混みの中を指した。


人混みの中から、サングラスをかけた二人組の男が近づいてくる。


「・・・・・・」


「・・・・・・」


二人組の男は無言でこちらを見つめている。


「・・・・・・」


「・・・・・・あなたたちは・・・・・・とつ市にいた化け物処理係ですかのう?」


坂崎が聞くと、二人はサングラスを外した。


その二人が、かつて『とつ市』で出会った警視庁化け物処理係の

背の高い男とぽっちゃり男だったことは言うまでもないであろう。




「いやあ、まさかお二人さんに会えるとは!なあ、相棒!」


自販機の前で4人は会話していた。


タビアゲハはぬいぐるみを抱えて、その他の三人は缶コーヒーを手にしている。


「デモ、ドウシテコノ町ニ来テイルノ?」


タビアゲハは二人組に聞いた。


「・・・・・・相棒、ちょっと忠告しておくか?」


「ああ、そうするか・・・・・・

実は、この町で化け物の仕業と思われる殺人事件が多発しているんです。

ここの町の化け物処理係も結構手こずらせていて・・・・・・」


「だから、俺たちが助っ人としてはるばる出張してきたんだ。

ちなみに、このサングラスは事件とは関係ない、単なるオシャレだ」


ぽっちゃり男は胸ポケットに入れているサングラスを少し取り出して言った。


「ソノ化ケ物モ、"ジガ"ガナイノ・・・・・・?」


「いや、まだ詳しくはわからない。

ただ、自我があったとしても人を殺している以上、

お前見たいに野放しにはできないだろう」


「・・・・・・」


タビアゲハはとつ市の化け物を思い出した。


「まあ、お二人さんも用心してくれ。

それじゃあ、相棒、いこうぜ」


ぽっちゃり男は飲み終わった缶をゴミ箱に捨てた。


「・・・・・・もう少し味わいさせてくれ」


背の高い男はまだ缶コーヒーを飲んでいる。


坂崎は飲み終わり、ゴミ箱に缶を捨てる。


「ご忠告ありがとうございます。わし達も気をつけます。

それじゃあタビアゲハ、行くとするかのう」


坂崎はタビアゲハが頷いたのを確認して去って行った。


タビアゲハもその後に続いて行った。


「・・・・・・タビアゲハか」


「いつの間に名前がついたんだ?」


「・・・・・・さあな」


背の高い男は静かに笑い、缶コーヒーをゴミ箱に捨てた。




翌朝


「ウーン・・・・・・フウ・・・・・・」


タビアゲハは路地裏で伸びをした。


(今日ハ路地裏ノ前デ待チ合ワセダッタカラ・・・・・・

コノママ待テバイイカ・・・・・・)


タビアゲハは坂崎を待っていた。




「いかんいかん、うっかり寝坊してしまったわい」


ビジネスホテルから出た坂崎はタビアゲハの待つ路地裏へ向かっていた。


その時、

「うえーん、ママあー!!」

男の子の鳴き声が聞こえた。


声の方を見ると、迷子になったと思われる小さい男の子と、

それをなだめる男性がいた。


その男性は厳つい顔つきを持っており、

傍から見れば誘拐犯に間違えてしまってもおかしくないだろう。


坂崎は、騒ぎが起きる前に二人に近づいた。


「あの・・・・・・すみませんがのう・・・・・・その子、迷子なんですかのう?」


顔つきの悪い男性はこちらに顔を向けた。


「実はそうなんですよ・・・・・・」


男性は頼りない声を出した。


「うえーん!」


男の子はまだ泣いている。


「この子の親を見つけてあげたいんですが、何せこの顔ですからね・・・・・・

だけど、頬っておくわけには・・・・・・」


坂崎は男性の心を読み取った。


やましい思いはひとつも持っていない、純粋な心が感じられた。


「そうか・・・・・・それなら、一緒に交番に連れて行きましょうかのう?」


(タビアゲハ、すまん、もう少し待っていてくれるかのう・・・・・・)


坂崎は心の中でタビアゲハに謝った。




(坂崎サン、マダカナ・・・・・・)


タビアゲハはまだ待っていた。


(前ニモコウ待ッテイタ気ガスルケド・・・・・・

サーフィンジャナイカラタブン大丈夫・・・・・・)




少年はまだ、記憶の中の何かを探していた。


人目のつかない場所で、また薄れ行く意識の中で。


少年は自分と同じ、化け物のような存在を見つけた。


そして、少年の意識は途切れた。




その時、タビアゲハは何者かがこちらに近づいて来ているのに気がついた。


(・・・・・・!?)


逃げ出そうとして立ち上がるが、何者かによって押しだ押されてしまった。


その何者かは、長い爪が生えている腕を振り上げた。


何者かに襲われたタビアゲハと、


男性と共に迷子の男の子を交番に連れていく坂崎。


それでも時は少しずつ、迫って来る・・・・・・

いかがでしたか?

ちょっぴり懐かしい方が出てきましたね!

(といっても4~5話前ですが・・・・・・)

次回もお楽しみに!

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