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学校(前編)

どうも、連載となるとネタが浅くなるコニ・タンです。

連載書くのが好きなだけで、短編の方が向いてるんですかねー……。

 朝。心地良いものだ。

 窓から差し込む朝日とか。少し暖かい春の陽気とか。私の体を揺すって起こそうとする三好とか。

 あえてとかじゃなく素直に言わせてもらおう、ラブコメ展開最高です。


「アキラー、起きろ、今日から学校だぞー」


「あと五分だけ、寝かせて……」


 元々寝起きは良い方だが、三好の反応が見たいのでこう言っておく。

 薄目を開けて覗いてみると、三好は案の定というか困った顔で立ち尽くしている。ちょっぴり新鮮。

 

「おーい、アキラー。起きてくれー、オレがまいちゃんに怒られるだろーがー」


 なおも遠慮したような声で言い続ける三好。ちなみに舞ってのは私の母さんの名前です、いつの間にそんな仲に。

 とまぁ、とりあえずもうちょっと三好の様子を――


「おーい、起きないのかー? ……仕方ねぇ、ちょっと秘孔ひこう突くか」


「秘孔って何!?」


 跳ね起きる私だった。


「お、起きたな、じゃあオレは外で待ってるからとっとと準備しろよ」


「ねぇ待って! 秘孔って何なの!? 教えてよ! ねぇ!」

 

 三好は私を無視して、ハッハッハなんて爽やかな笑みを浮かべながら階下へと消えていった。

 ……秘孔とは、恐るべし武道家。



                  ***



 朝の準備を手早く済ませた私は、三好とお揃いの学校指定制服で通学路を歩く。ちなみに同じ学校の服ではなくお揃いの服、つまりは二人ともセーラー服だった。

 道のそこらじゅうに制服姿を見つけるが、カレンは居ない。彼女の中学は私たちの通う高校とは逆方向にある。


「初の一緒に登校だな、アキラ!」


 妙にテンションの高い三好、口の端を持ち上げて噛み付くような笑みを浮かべる。

 そんな三好には悪いが、私は憂鬱だった。


「はああああぁぁぁぁぁぁ〜……すぅ、はああぁぁぁ〜」


「オイオイどうしたんだよ、途中で息継ぎ入れるほどの長いため息吐きやがって」


 溜め息の原因はもちろん三好ではない。むしろ自分に好意を持つ女子と登下校、最高といふものではありませぬか。

 原因といえば、あれだ。

 

「三好は別のクラスだから知らないのも無理はないけど……私のファンクラブ、実は結構大規模なのよ」


 ちょいと前を指差す。三好の目もそれを追う。

 そこに居たのは大量の男子。とりあえず50人は居る。そりゃもうたくさん居る。

 一番の問題が、その胸に「天使ちゃん同好会会員NO.ナンタラ」とか書いてある事だ。


「あれ……お前のファンクラブか?」


 三好の顔が引きつる。


「正確には、私だけじゃないけどね。正式名称は『性別・不詳を愛するの会』らしいわ」


 私の顔も引きつる。

 前に見たときよりも数が増えていた。こんな所で熱心に待っている“信者”なんて、無い方がいいのに。


「あ、アキラ様!」


 メンバーの内、一人に見つかった。様付けだよチクショウ、野郎が。

 で、一人に見つかると芋蔓式いもづるしきに見つかるわけで。


「アキラさまー!」「お待ちしておりました、カバンをこちらに」「あ、抜け駆けすんなよ、テメー!」「コラ、私語を慎め!」


 やんややんやの大騒ぎ、これが私の学校での日常だった。他の生徒達も混乱を避けようと、集団と距離をとりながら登校している。

 しかしまぁ、もうすぐ収まる事になるんだけど。


「アキラ、……一旦分かれるぞ」


 と、大騒ぎを見つめている最中、三好が苦々しげな顔で呟いた。


「え? あの、この騒ぎももうすぐ収まるから大丈夫よ? 私の友達がね……」


「いや、そうじゃないんだ」


 三好がファンクラブの斜め後方を指差す。

 そこにいたのは女子の集団。私のファンクラブと同じくらいの規模で、同じようなワッペン(天使ちゃん同好会とかナントカ)を付けている。

 まさか……これは……。


「オレのファンクラブも来たみたいだ……」


「三好もなの!?」


 そう、気づくべきだった。私ほど極端ではないが、三好も中性的で、しかもカッコイイのだ。女性ファンが居ないはずが無い!

 

「仕方ないわね……ここで分かれてそれぞれの教室に行きましょうか」


「だな。オレは二段ジャンプで塀を越えるとして、お前はどうする?」


 武道家って何でもありの代名詞だったんだね、知らなかったよ。

 とりあえずそんな格ゲーキャラみよしに答えを返す。


「私のほうは大丈夫よ。そろそろ友達が来てくれるはずだから」


 三好が眉をひそめて、カクリと首をかしげる。言葉の意味が分からないのだろう。

 だがまぁ、真実その友達さえ来てくれれば私はファンクラブから解放されるのだ。


「お、居た居た」


 噂をすればなんとやらで、背後から声が聞こえてきた。

 振り向いた時、視界に入るのは学生服。少し背が低いかもしれないがそれ以外はもう本当、見本誌に載せられそうなほど平均的な青年がいた。

 中身の方も変わった経歴といえば、事故で握力が少し落ちているぐらい。私の身の回りの人間としては、少々没個性だ。

 名前は南野みなみの 洋太ようた


「ゲ、マネージャーが来たぞー!」「チクショウ、もう時間切れか!?」「あぁ、まだ握手もしてないのに……」「クソッ、いつも計ったように登校しやがって!」


 ファンクラブの方から悲鳴が上がる。その状況に、三好はやはり首を傾げている。

 その間にも洋太は私に近づいてきて、隣に並んだ。


「始めるけど、いいよな?」


「えぇ」


 応えると、洋太は下を向いてふぅ、と息を吐く。これは思考を切り替える合図。

 次の瞬間、洋太は両手を叩いて注目を集めながら、よく通る声でファンクラブに向けた。


「はいはーい! 皆さん、イベントは今日の2時間目から3時間目の間に行いますから、今は邪魔にならないようにしてくださいねー!」


 これが洋太の考えてくれた、私が一番まともに過ごせる方法。

 短い時間に“イベント”と称して野郎共の要望に応える、それを「他の時間は近づかせない」という事の口実に出来る。

 アイドルみたいだし、休憩時間も潰れるから嫌なのだが、これ以外に良い案が無いので我慢している。 


「へぇ、便利な事になってるんだな、お前」


 隣で三好がファンクラブと洋太を交互に見ながら、感心したように呟く。


「えぇ、これなら10分間の休憩に相手するだけで済むもの。移動教室なんかだと、それを口実にも出来るしね」


「なるほどなぁ……オレもそれやっときゃ[↓\→A]で蹴散らさなくてもいいかもなぁ」


 波○拳まで出せるんですか、アンタは。

 とまぁそういう訳で、私と洋太でファンクラブの相手をしながら校門へと歩いていく事になり、三好とは途中で別れた。

 ちなみに、二段ジャンプはしなかったが壁蹴りで移動するアクションゲームな三好だった。



                   ***



 私立四面楚歌しめんそか高等学校。私の通う高校だ。

 正直言うともう名前からして入学したくない感じなのだが、そこにはとある事情があったのだ……!

 私こと福井彰は日頃から女性に見られます。それを解消するには男物の服を着るのが一番です。しかし母の策略により、私は男物の服を着れません。

 だから考えたのです、男子校に入れば問答無用で男物だと! 学ランorブレザーだと!

 ……はい、市内唯一の男子校(超難関)を受けた末、かすりもしないで落ちました。

 そしてまぁ、追募集で私の学力に合うのがここだけだったという悲しい話です。


「はあぅい。こうこうすぇいのみなさあぁま。おはゆぉう、ございます」


 で、私は今、朝のHRホームルームで席についている。

 私の座席は教室のほぼ真ん中、そして斜め前に洋太が位置している。

 

「えー、今からあぁ、出ゥ席を、取りたいとぉ、おもいむあぁす」


 ちなみにこのやけに巻き舌が効いている声は、担任教師の平井ひらい先生だ。

 2メートルを越す巨躯に筋肉質な体、彫りの深すぎる顔にマッチョの証である角刈り。これで担当教科は現代国語なのだから笑えない。

 

「えー、では、一ぃ時間目をHRに割けるという事でぇ、ぅ私からの注意などぅを。えー、昨今、新しい法律ふぉうりつを盾にぃ、“合法ホームレス”なる輩がぁ……」


 長く続きそうな話を半ば無視し、別の事を考える。あの巻き舌、長く聞いてると感染しそうだし。

 三好と私を引き合わせた三人。クラスメイトABCなんて不名誉なあだ名がついている三人の事を考える。

 栄崎さかえざき 英子えいこ毘奈ひな 美々(みよし)、椎名しいな あずさの三人だ。

 それぞれ名字も名前も初めの一字がそれぞれA,B,Cであり、三人で仲良しなのでこんなあだ名だ。

 三人それぞれの特長について語る事は、今は避けよう。いつか、もっとちゃんとした時にまで。

 兎にも角にも、今考えているのはその三人に三好の事を話すかどうか、またどこまで話すか。

 三人には三好に引き合わせてもらった恩がある、だから話すのは当然――と、普通はなるのだが、私と三好の関係は微妙だ。

 「恋人お試し期間中」、いきなり恋愛沙汰は無理という私に三好が合わせた結果だが、これを客観視するとどうなるか。


1.とりあえず付き合わずに女をはべらす野郎


2.煮え切らない八方美人


 どっちにしろ、男として――否、人間として最悪だ。

 

「はぁ……」


 それに、三好との付き合い方も、だ。

 会って一日目で即惚れた、しかも相手は超美人。嬉しくないはずがない。

 それでも、やっぱりこちらが恋愛感情を持っていないのにOKするのは、卑怯だと思うのだ。

 綺麗だと思う、さっぱりした性格も好きだし、嫌う要素なんてどこにも無い。

 ただ、それがイコール恋愛感情に結びつくほど単純な性格をしている訳ではないのだ、私は。

 とはいえこれからはどうなるか分からない、なんて思う。最悪だ、これじゃさっき言った八方美人みたいなもんじゃないか。

 三好は嫌いじゃない。三好は私のことが好き。さぁ恋愛だといける性格ならなぁ……。


「ん、あ、えー、すぉれに、個人企業が増えたとぅは言っても……」


 まぁ、何だか色々と考えつつも、先生の巻き舌のせいで思考がまとまらない私だった。





なんというか色々とネタが変な方向に突っ走りました。

多分、全編に渡りこういうノリです。


話数が無いのはアレです、第○章みたいな感じでやりたくて、現在序章みたいな感じだからです。


では、どうもありがとうございました。

愛想を尽かしていなければ、次も読んで頂けると嬉しいです。

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