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ねぇ、先生。
愛してる。
──先生。
貴方は最後まで信じてくれなかったね。
大人を揶揄うな、て言って。
だけどね、先生。
本当に愛していたの。
私、『愛してる』なんて言葉、冗談なんかじゃ言わないよ。
──ああ、でも。
先生に逢えて良かった。
好きになって良かった。
──ねぇ、先生。
来世で逢えたなら、私と結婚してね?
だから、それまでは、他の素敵な女性と幸せに生きて。
来世では、私が幸せにしてあげるから。
──さよなら、先生。もう、逝くね。
あ、最後に。
先生。
愛してる。
・*・*・*・*・*・
──何で、逝っちまうんだよ。
何でお前は、病気の事、黙ってた?
知ってれば、この想いを伝えられたのに。
決めてたんだ。
お前が高校を卒業したら、気持ちを伝えよう、って。
俺とお前は、教師と生徒。
だから、どんなにお前の気持ちが嬉しくても、それに応えられなかったんだ。
──これから先の人生を、一緒に生きていきたかったから。
なぁ、聞こえているか?
俺も、お前を愛してる。
俺が幸せにしたいのも、俺を幸せに出来るのも、お前だけだから。
ごめんな?
お前の最後のお願い、叶えてやれない。
──ずっとずっと、愛してる。
『──やっと、逢えた』
『愛してる』
【完】