救われぬ王に愛を
眼が覚めると、そこには女の巨人がいた。体は自由に動かない。どうやら、赤子の心に居候したようだ。寄生虫と、言って良い。彼は私に気づかない。生まれた時から一緒にいた彼は王子だった。その後すくすくと育ち、戦乱の中若くして死んだ。私は願う。悲しみはない。彼の横暴ぶりは明らかであったし、褒められた王でなかったのは知っていたから。しかし、居候とはいえ生まれた時からずっと一緒だった少年が無残な最期を遂げたのだ。そのことに対する憤りは、あった。故に私は願った。天よ、今もう一度、彼に、私たちにやり直す機会を与え給え、と。