最期
「身投げ」以外のなにものでもありません。
やり残したことはもうない。未練もない。屋上への階段を勢いをつけて登る。軽く息を弾ませながら最期のドアを開ける。
何もない、ガランとした屋上。息を整えながらゆっくり前へ進む。少し高いフェンスを見上げ、手をかける。ゆっくりと、確実に登り、乗り越える。ある程度の高さまでフェンスを伝って降り、軽くジャンプしながらフェンスの外側の僅かな地面に着地する。
期待に踊る心臓をなだめながら最期の景色を眺める。今までに見たどんな空より綺麗な曇天の空だった。嬉しくなり、お気に入りの曲を軽く口ずさむ。
「さよなら」の歌い終わりとともに地面を蹴った。
宙に浮き、ほんの数十センチ移動しただけで私を支えていた地面が消えた。
目の前に迫る地面は私を殺す地面。
生まれ変わりなんて、ないといいな。
そっと目を閉じ微笑んだ。
ある方と見せ合いっこする為にこのシーンだけを書いてみました。
同じ「身投げ」でも人によって様々です。
これはAiran-altvierの「身投げ」です。
皆様の「身投げ」はどのようなものですか。