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始まりは突然に。

「あの、待ってください。」



改札口を出ると、大勢の人があふれるプラットホーム。

透き通るような、それでいてはっきりとした声に振り替えると後ろには高校生くらいの格好いい男の子が立っていた。



「はい?」




真っ黒な髪に切れ長の目。

一目みてイケメンだと分かるようなそんな整った顔立ち。



「俺と一緒にマクド○ナルドでハンバーガーを食べてくれませんか。」



何をいっているのだろうか?

新手のナンパ、それともドッキリ・・?

いや、そうだ。私はからかわれているのだ。



「すみません。私ロッテ○ア派なので。失礼しま・・」



軽く会釈をして立ち去ろうとした。その時だった。



「待ってください!僕の話聞いてくれませんか・・」



つかまれた手首、うるんだ瞳。

男の子とリッキーの顔がなんだかだぶった。

リッキーはうちにいるオスの犬。


あぁ・・。私犬好きなんだよね。

いや、そういう話じゃなくて・・・。



「だめですか?」



うるんだ瞳で、まだ私を見つめる男の子。



「分かりました。」



そして私は、うるんだ瞳に敗北した。




マクド○ナルドとロッテ○ア・・どちらも選ぶことができず、迷った末に私たちはモ○バーガーへ行くことにした。




「僕の名前は、浦田悟(ウラタサトル)です。海星(カイセイ)高校の2年生です。きゅうにすみません。」



「いえ、大丈夫ですよ。私は吉村紗雪です。城東高校の2年です。」



と、まぁなぜか堅苦しい自己紹介を終えてまじまじと浦田くんを見た。

やっぱり整っているよね、顔が。

中性的な顔というと正解なんだろうか。男にも女にももてそうな。

そういう私は本当にどこにでもいる女子高生。ものすごく可愛いっていう訳でもないし最近では、電車の中でうっかり眠ってしまってよだれまでたらしてしまった女なのだ。



「でお話ってなんですか?」

  


私はポテトをつまみながら質問をした。


「あ、僕いつも吉村さんと同じ電車に乗っているんですけれど」



乗っているんですけれど、実は前からあなたのことが気になっていたんです。好きです、付き合ってください。

なんて、言われるんだろうか?そんな思いが頭の中でものすごいスピードで駆け抜ける。

「ゴクリ」と喉がなる音がした。17年間誰にも告白されず、告白せずこのまま終結するかにみえた高校生活についに光がさそうとしているのだ・・・!



「あの!!僕、実は運命の赤い糸が見えるんですよ!!!!」



意を決したような浦田くんの口から出たのはまさに、私が考えもしない様な言葉だった。

赤い糸ってあの運命の相手同士に繋がっているっていうアレですか?



「・・・ん?」

 

聞き間違いかしら?ええ、聞き間違いにしか違いないわ。



「運命の赤い糸です!僕には見えるんです。たぶん信じられないと思います。こんな事急に言われても・・・でも本当なんです・・。」



そんなまっすぐな目をみると嘘なんかついてないような、そんな気がした。



「小さい時から、いろんな人に赤い糸が結ばれていて誰かとつながっているのを僕は見てきたんです。もちろんそれがない人だっているんですが・・。

でも、僕にはそれが全然見えなくて、無いものだと思って今まで暮らしてきたんですけど・・。」



「けど?」



「この時間に電車に乗る時だけ、僕につながる赤い糸がみえるようになったんです。それでさっき僕につながる赤い糸を辿っていくと吉村さんに辿りついて、咄嗟に声をかけてしまったんです。」



意を決したような顔で私の目を見つめる。

そんなに見つめられるとこっちが恥ずかしいような・・。



「吉村さん!」


突如浦田くんが立ち上がり、私の手を握った。



「僕と結婚を前提に付き合ってください!!!」




はい?

唐突すぎて思考が追い付かない。

結婚ヲ前提ニ付キ合ッテクダサイ・・・?


やっと思考回路が繋がった時には、浦田くんに圧倒されて「はい」と間抜けな声を出した後だった。



「本当ですか!やった!!これからよろしくお願いします。」



にっこりと笑う浦田くんはやっぱりリッキーに似ていた。







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