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さて、緑化委員会(仮)の規格外さを改めて実感したところで出し物の話に戻ります。


木葉姉弟にホワイトボードの前からどかされた黄金先輩が本棚のファイルの一つをとって戻ってきました。

木葉姉弟は落書きに勤しんでいますよ。ホワイトボードが凄く華やかになりましたね。時雨先輩は絵がお上手ですね。皐月お姉さまの絵は黄金先輩の美的センスにヒットするのではないでしょうか。


「これに去年のパンフレットとかチラシがまとめてあったはずや」

「………」


睦峰様、そんな風に黄金先輩を凝視しては失礼ですよ。

資料のファイリングが意外とできる方だったという事実を受け止めてあげてください。


「体育祭は一般的な競技が多いようですね」


光は体育祭のパンフレットを出して読んでいますから、私たちは文化祭の方を見ましょう。

………文化部の活動発表が多いですね。茶道部の休憩処や華道部の展示コーナーは随分広いスペースでやっていたんですね。お取り寄せ珍味食べ比べ、美しい白骨標本の曲線を嗜む…おかしな展示も多いようで、気になりますね。


「こちらは多彩です」

「………球体関節人形の館」


睦峰様はその展示が気になったのですか?

お化け屋敷と書いてありますがオカルトを好まれるのですか。意外な趣味ですね。


「球体関節……良く分からないけど二人はそっちがいいんだね?」

「ぜひ!」

こくこくと頷き返す睦峰様と私に苦笑が返ってきました。


「それなら僕が向こうの2人と何に出るのか打ち合わせてくるね」

「三人ずつでバランスええ感じになったやん!さすが!一年諸君は優秀ありがたい!!」


黄金先輩の軽い調子ながらも苦労の詰まってそうな言葉が重いですね。




「今年も骨董品市を開くのですか?」

「せっかく人数増えたし別の事やりたない?」


確かに先輩一人でもできることですもんね。

何か私たちでできることですか……


「桃華チャンと優クンは何かやりたい事とか…どう?」


「そうですね、小説や漫画に出てくるような普通の企画は少ないですね」

「……習い事の発表」


あーそんな感じですね。お花とか着付けとか生け花とか。舞台の催し物も日舞に社交ダンス、オペラ。女の子達が体育祭の方に惹かれるのも仕方ないですね。


「漫画や小説……はっ!!!!それでええやん可能性を感じた!!!!」


おや、黄金先輩の様子がおかしいぞ。そして事件の予感がします。


「……体育祭に」

「逃がしませんよ」


睦峰様だけ逃げようだなんて許しませんからね?


「今年の出店はコンセプトカフェに決まりや!!!!!」


コンセプトカフェ……?とは一体。

良く分かりませんが、黄金先輩が何やら張り切ってノートパソコンの電源をつけ始めましたからこのまま企画を立て始めてくださる雰囲気です。私は睦峰様と顔を見合わせて首を傾げることになりました。



*******



翌日。


「……という感じに睦峰様以外の方々は体育祭にご参加されるそうです」


「ありがとうございます桃華様!」

「あぁ当日が楽しみですわ」

「待ち遠しいですわね~」

「睦峰様は桃華様と一緒にカフェをなさるんですね!」

「必ず桃華様の方にも伺いますわ!」

「やっぱり公式カプ強いですわね…」


友人方へ調査報告を行いまして、盛り上がる彼女たちの様子を観察しているところです。

大盛り上がりしてくださって調査したかいがありますね。普通に聞いただけですが。

彼女たちの様子を微笑ましく見ていると、桃城くんと目が合いました。手招きされていますから、そちらに向かうことにしましょう。


「どうしたんだ?大騒ぎして」

「睦峰様たちの収穫祭について話していました」

「なるほどねー女子が盛り上がるわけだ」


確かにいつになく賑やかですから、気にもなりますよね。


「桃城くんは文化祭と掛け持ちされないのですか?」

「掛け持ちな~それも楽しそうだよな」


おっと、これは思わぬところで巻き添えにできそうな生贄じゃなかった、お仲間を発見しましたよ。


「私たちのところで掛け持ちされては?」

「モモたちの変な部活?何やるんだ?」

「変って…コンセプトカフェ?というものを開くらしいです」


手短に昨日の部活の事を話しつつ、桃城くんを勧誘することにする。

話すうちに桃城くんの顔が苦笑になっていくのが解せないです。


「コンセプトカフェってやっぱり変な部活だなー」

「どんなものかご存知なのですか?」

「知らずにおっけーしたのかモモ……」


呆れてないで答えを教えてくださいよ。そんなにまずいものなんですか?


「メイドカフェとか猫カフェとかそういう何とかカフェっていろいろあるだろ?」

「聞いたことあります」

「そういうのの総称?をそう言うんだぜ確か」

「物知りですね。でもメイドカフェなんてここでは需要なさそうですよね」

「……そうでもないと思うぞ」


メイドさんが生まれた時から傍にいる人たちが大多数なのに?学祭の雰囲気があるからですかね?もしくは職業体験的なことですかね。

もう桃城くんずっと苦笑してるじゃないですかなんですか?


「桃城くんも一緒にカフェしましょう」

「うーん、そうだな、いいぞ楽しそうだし」

「ありがとうございます」


進んで巻き込まれてくれる桃城くん好きですよ。

でも黄金先輩は何のコンセプトにするんでしょうか。












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