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夏休みもあけ新学期となりまして、制服の上からカーディガンを羽織る合服スタイルが許可されたこともあってか学内は賑やかで色とりどりな感じになってます。ごきげんよう水無月桃華です!
ちなみに私は黒タイツとカーディガン愛用民ですよ。
なんてそんな事はどうでもいいですね。夏休み明けといったら小麦色の肌のオンパレードなイメージがあったのですが、さすがは皆さんお育ちがいいからか日焼けしているのは一般枠からの子が多いですね。お育ちの良い方の中にも小麦色になられている方はいますが。
「桃華様!そろそろ収穫祭の季節ですわね」
「私、収穫祭が一番の楽しみでしたの」
「王子達の活躍が楽しみですわぁ~」
休みの間にたまった話したいことを消化すべくここ最近は女の子達が賑やかに話してくれます。みなさん海外に行かれていたみたいですね。私は部活動が楽しかったので長期のお出かけはしていませんが、組の夏の慰安旅行にはいきましたよ。
さて、彼女たちが言う収穫祭とは世間で言うところの体育祭と文化祭が同時に行われる秋のメイン行事のことです。同時に行われるため運動部は強制的に体育祭に参加、文化部は文化祭に参加という形になります。文化部たる私たち緑化委員会(仮)のメンバーは文化祭の方に参加ですね。希望を出せば両方行うこともできますよ。そして無所属の方々はどちらかに参加すればいいという適正に合わせた参加が可能な学校行事になっています。
「体育祭の方に興味津々ですね」
「桃華様は王子達の活躍気にならないのですか?」
「赤城様が騎馬に出られたらきっと恰好いいですわ」
「久東様も爽やかなこと間違いないです」
「松宮様を忘れてはいけませんわ!」
「桃城様もダークホースだけど仲良しですわ」
「そこは睦峰様ですわ何しろ公式カプですもの!」
あら~白熱ですね。
そして皆様大人気ですよ良かったですね。
桃城くんの名前もありましたし彼もひそかに株を上げてきてます。ところで公式カプって何ですかね?聞き間違いですよね??
「彼らがどちらに参加するのか聞いてみますね」
「「お願いいたしますわ!!」」
はい、任してください。
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ところ変わってサロンにて、いつもの皆さんとお茶の時間です。
「あの、お聞きしたいことがあります」
話が途切れたところを見計らって切り出せば全員からの視線をもらいました。私が口火を切るのは珍しいですよね、何せはじめてですし。
「水無月嬢からのご質問ならなんでも答えますよ?」
王子様スマイルありがとうございます。でもそれは私ではなく女の子達にしてあげてくださいね。
他の皆様も聞く姿勢なので話を進めましょう。
「収穫祭はどちらに参加されますか?」
桃城君は運動部ですし光と睦峰様は私と同じく文化部扱いとはいえ希望があれば体育祭にも参加できますから一応聞いておかねばです。
「僕らは文化祭には強制参加だからな~」
「……文化祭」
二人は文化祭のみ参加、ですかね。
「体育祭だな」
「ボクもですかねー」
こちらの2人は体育祭ですね。なるほど。
「水無月嬢は文化祭のみの参加ですか?」
「はい」
正直に言うと面倒なので。
「めんどくさいって顔に書いてあるよ」
「光の気のせいです」
余計なことを言わないように。
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そして彼女たちに結果報告する時間がとれないまま放課後、部活動の時間です。
いつもと同じく私と睦峰様がお菓子を持ってきて光が飲み物を用意して、黄金先輩は物品収集、木葉姉弟がたまにやってくる今日この頃。
珍しく今日は部室に全員集合していますね。先日新たに二人掛けのソファーが加わりましてそこが木葉姉弟の特等席になってます。
「収穫祭の出しもん決めなあかんから意見出してってや!」
どこからか引いてきたホワイトボードと一緒に登場した黄金先輩がとってもタイムリーなことを切り出しましたよ。
そしてホワイトボードには文化祭と体育祭で二つに区切った線が引かれていますね。
「先輩、質問してもいいですか?」
「ハイ、光クンどうぞ」
「なぜ体育祭と書いてあるのですか」
「それはね~私たちが両方参加するからよ~」
「今年も二冠いただくぜー!!!」
「と、いうことやな」
なるほどわかりたくないです。
睦峰様は隣でめんどくさいをオーラで出してます。いつもより心を閉ざして無表情さが割り増しです。
「そこの二人面倒やなーって顔に書いてあるやん!おもろいわー」
私たちの方見て笑わないでくださいよ、もー。
「桃華ちゃんは~運動は苦手なの~?」
「程々に、です皐月お姉さま」
苦手と言う程ではありませんが特別に得意なわけでもないですよ。
光が普通に状況について行っているところが不思議でなりません。というか二冠てどういうことですか。
「俺ら団体競技以外は全部獲ったからさー」
「黄金君の屋台も~売り上げ一番だもんね~」
なるほど運動はこの双子が最強なんですねわかりました。
そして黄金先輩はいったい何を売って売り上げ一位をとったのか気になります。
「部室と私物の整理しただけなんやけどな~」
なるほど骨董品屋さんか。来賓の親御さんにヒットして大金が落ちていったんでしょうか。
で、そのまま説明を開始した黄金先輩によるとうちは緑化委員会との差別化も含めて運動部的一面があることをアピールするために毎年参加が義務付けられているとのこと。多方面への配慮の結果、運動部をも凌駕したと。
つくづく規格外な部活動ですね、緑化委員会(仮)。




