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緑化委員会(仮)の二泊三日にわたる夏合宿も無事終了しまして、夏休みものこり僅かとなった今日この頃。
夏の暑さに辟易しつつ部室で涼んでおります水無月桃華ですごきげんよう。
二泊三日のうちに木葉姉弟との仲も深まり、黄金先輩と光と睦峰様と思い出を作ることができ大満足です。
海で遊んだり花火をしたり、皐月お姉さまと一緒に寝たりシャボン玉もしたしセミとりもしました。
木葉姉弟も大きな財閥のご子息のはずですがセミとりやらカニとりやらそういった遊びのプロだったことが印象深い……さすが木葉姉弟個性的だ。
「桃華、そろそろいくよ?」
「はーい」
夏前からはじまった動物達とのふれあいエサやりタイムも最近では光と睦峰様と三人で行っています。
ちなみに木葉姉弟は最近また部活に復帰しまして、今日も虫取あみを肩に庭の奥に消えていった。そして黄金先輩はたか枝切ばさみを肩にかついで木葉姉弟を追いかけていった。
私たちはそんな先輩方を見送り、手押し車にエサを積みそろそろお庭へ繰り出すところだ。
睦峰様と私は麦わら帽子をかぶり、自分達のおやつと水筒などの入ったバスケットも持って準備万端です。
「……戸締まり…する?」
「一応しておこうか」
光も何やら大きなリュックを持って……うんうん、みんなも楽しそうで何より。
窓の外に置いてある外履きに靴を変え、裏庭の木立を抜けていつものガゼボの下にこればおやつの時間を知っている動物達もすぐに集まってくる。
たくさんお食べーこの子達も元気そうだ。
「……今日は和菓子」
「なら飲み物は緑茶にしようか」
私たちのおやつの準備もできたみたい。
ほのぼのとした空気のなか遠くから聞こえてくる先輩方の奇声をBGMに私たちの午後は更けていくのでした。
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「お母様?今お時間よろしいですか?」
「あら桃華どうしたの?書斎に来るなんて珍しいわね」
夏休みの課題のなかで唯一終わっていないものがありまして、それを片付けにきたわけですよ。
両親のお仕事調査こと職業レポートですね。締め切りが夏休み明けなのをいいことに今まで放置してきたわけですがそろそろ取り掛からねば。
課題の内容が書かれたプリントを手渡しつつ口頭でも簡単に課題の旨を伝えれば、お母様は笑顔で協力が可能だと言ってくださいました。
「それに、丁度よかったわ~お手伝い頼もうか迷ってたのよね」
「お手伝いですか?」
「我が家の夏の一大イベントがあるでしょう?」
「今週でしたね、私にお手伝いできることがありますか?」
「ええ!!桃華なら任せられるわ!」
にっこりと良い笑顔で頷きながら書類を集め始めること少し。
お母様から渡された書類には今年の企画が書いてありました。なるほど、これなら課題にまとめるのも簡単かもしれない。
「桃華ちゃん一人では大変かもしれないからお友達も呼んだらいいわ!光くんと優くんと桃城くんって子もお友達になったのでしょう?それからあと二人ぐらい手があると良いわね」
あと二人ですか。図ったように彼らと人数が合いますね。
まぁ……彼らを呼べば睦峰様が喜びますし声はかけてみましょう。
「二人、心当たりがありますから声をかけてみます」
「来れるようなら一度うちに招待してね?直接説明もしたいし何より桃華のお友達に会ってみたいわ」
「わかりました」
今の時間帯ならまだ皆さん起きているでしょうし、さっそく連絡をとりますか。
お母様におやすみなさいを告げ部屋に戻る。サロンを利用するようになってから五人のグループトークが開かれていたから赤城様の個人連絡先を知らなくても何とかなる。便利な世の中ですね!
グループトーク画面に簡単な詳細を書き込めば間を置かずそれぞれから返事が返ってきた。……どうやら皆さん参加してくださるみたいだ。家への招待も受けてくださるとのこと。……明日は賑やかになりそうだ。




