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「おはようございます桃華様!」

「流石桃華様ですわ!!」

「桃華様のご秀明さが皆様の知るところとなりましたね」

「私たちも鼻が高いですわ!!!」


「皆さんおはようございます、ありがとうございます……?」


朝から大勢のご友人に囲まれまして、困惑中です。

教室に入り席に着いた途端わっと群がった彼女たちに口々に伝えられる言葉に首を傾げる。

とりあえず……一体何事だ。



定期試験から数日の週明け。

中等部の昇降口には試験結果が張り出されていた……らしい。

朝、登校すると昇降口は人であふれていた。

私は人ごみに入っていくのが億劫だったので週明けということもあり上履きを持っていたのをいいことに昇降口は利用せず、校舎へと入ったので試験結果など見ているはずもなく……

何事かと彼女たちに尋ねれば驚愕された。


「桃華様は人ごみが苦手なんですのね」

「次からは桃華様のご登校の邪魔にならないように言い聞かせておきますわ!」


「あ、いえ大丈夫ですよ?お気持ちはありがたく頂きますね」

皆さんの目がちょっと怖かったのでお断りしておこう。

この子達がとてもアクティブだということは先日の一軒でよくわかっているし。


ところで結果はどのようになっていたのだろう?

と、考えている間に先生が入ってこられたので彼女たちは各自席へと戻っていきました。


今日の朝のホームルームは試験結果の返却に当てられるらしい。

出席番号から順に返されていき、私の番には先生からもお褒めの言葉をいただきました。

席に着き中を見れば、学年での成績も含め全教科一番というもの。

なるほど、これは自分でも驚きました。

「モモー一番おめでと……って全教科?!」

桃城くんが私の手元を覗き声を上げた。

その声にクラスが騒めく。

「桃城くんが大きな声を出すから皆さん驚かれていますよ」

「いや、絶対そんな理由じゃないから!」

皆さんからの視線がいたいです。


「モモ…なんかお祝いしねーとな!」

ざわざわと賑やかなままホームルームを終えて一限の準備をしていると隣からそんなことを言われた。

「お祝い……ですか?」

「そーそ試験お疲れ様もかねてモモの一番をお祝いしようぜ」

一番をお祝い、か。

人の幸福を一緒に喜べる桃城君は本当にいい人だとしみじみ思う。

「そうですね、お疲れ様会しましょう」

そう返せば桃城くんが嬉しそうに笑い返してくれた。

たぶん私の顔も作ったものではない笑顔になっていたと思う。



*****




「桃華さすがの成績だったね、おめでとう」

「………水無月さん頭いい」

放課後の部室に行くと開口一番二人から言われた。

「ありがとうございます」

褒められるのは素直にうれしい。

彼らの言葉には嫌みがないから特に。

聞けば、二人の成績も上から20位には入るらしい。

まさに眉目秀麗という言葉にふさわしい人達だと思う。


そういえば、『知識』の中で『桃城大樹』は脳筋と呼ばれるタイプで勉強はからっきしという設定のはずだったが、桃城くんは上から数えた方が早いくらいには成績があったらしくそれはそれで感謝された。

ちなみに光と睦峰様も私と同じく今日は昇降口を使っていないらしく、自分に返された成績表の順位しか知らなかった。

睦峰様のお連れ二人は昇降口から入ったらしいけれど。




「……水無月さん」

珍しく睦峰様から声がかけられた。

顔を向け首を傾げれば意図は伝わったらしい。

「…龍雅に……しばらく近づかない方が…いい」

また、ですか。

「龍雅も懲りないな……今度は何?」

光が眉間にしわを寄せ睦峰様に尋ねると睦峰様も肩をすくめて見せた。

最近私たちに慣れてきたのかお人形感が薄れてきたように思う。

……無表情に見慣れてしまったといえばそうなのかもしれないけれど。

「……龍雅…二番だったから」

「あー…龍雅プライド高そうだもんね」

そんな理由ですか…

「負けたから文句を言うような人ではないでしょう?」

それこそプライドが高いのだから。

「……うん…でも機嫌悪いから」

態度に出してしまうあたりお子様な人だ…ファンからするとそこが可愛いのだとか。

私は断然睦峰様の方がかわいらしいと思うけども。

「覚えておきます」

もともと良好な関係ではないし。

触らぬ神に祟りなしですよね。


黄金先輩も昇降口の結果を見ていたらしく、三人そろって褒められ撫でられた。

黄金先輩は学年6位とこちらも優秀な成績。

なんというか、やっぱりスキルの高い人が多い。



*****



そういえば、と桃城君の提案を告げれば光だけでなく睦峰様も参加してくれることになった。

せっかくなので赤城様と松宮様も誘ってみては?と提案すれば光には苦笑されたけれど睦峰様は嬉しそうだったので言ってよかったと思う。

「桃華はお人好しだね」

「ありがとうございます?」

私が関わらなければ光も彼らとは仲がいいのだから本当は嬉しいと思うのだけど。

「場所はどうするの?」

「桃城くんが学生らしくカラオケでやらないかと言っていました」

カラオケという場所は知っているけど私たちは行ったことない。

未知の場所だ。


「カラオケかー行ったことないね」

光が楽しみにしてくれているみたいで嬉しい。

「……からおけ?」

睦峰様に至ってはどんな場所かもわかっていなさそうだ。

「お金を払って部屋を借りて歌を歌うところだって聞いたことがあるよ」

「……へんなの」

睦峰様は場所の説明を受けてさらに混乱しているみたい。

……首を傾げる姿を偶然目撃した下校中の女子生徒が数名卒倒したけど大丈夫かな。

「明日大樹にどんなところか聞いておこうか」

「そうですね」

「…」

睦峰様がこくんと、頷いたところで今日は解散となった。




後日、三人そろってカラオケとはと尋ねた私たちに桃城くんが驚愕し「お金持ちコワい」と言われたことは思い出深い。




明けましておめでとうございます。

本年も拙い私のお話にお付き合いくださる天使のような読者様の御多幸と健康を祈ります。

今年もよろしくお願いします!





(番外編とかお声があればやります)

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