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翌日、婚約発表パーティーのお知らせは翌日には存分に知れ渡ったらしい。

学園の門をくぐった瞬間から注がれる視線の量がいつもより割増だ。

視線がレーザーポインターみたいになってたら私と隣で歩く光は真っ赤になってるはず。

ざわざわこそこそ聞こえる声に僅かな頭痛を覚えつつ……教室への道を歩く。

「一日で大騒ぎだね」

「はい……面倒です」

いつもよりさらに小声で会話をする。

すれ違う友人や顔を知っている人たちに笑顔と挨拶を返しつつ、クラスにつけば桃城君の周りが賑やかなことになっていた。


「おはようございます」

「「水無月様!おはようございます!!」」


今日は皆さん前のめりというか……食い気味な挨拶でしたね。

席に進めば、桃城君の周りの人垣が解散していった。

なるほど、私と仲のいい桃城君にいろいろ聞いていたということですか。


「モモー…はよっす」

「おはようございます、すいません私のせいでお疲れですね」

くてっといつもの元気が足りない桃城くんには申し訳ない。

「やー大丈夫だけどよ、あの話はどこまでいいんだ?」

昨日の話の中で、一般の人達にも知られていい線引きか。

難しいですね。

このクラスの人になら本当の事を言ってもいいとは思うけれど。

どこから話が漏れるかなんてわかりませんもんね。

「とりあえず今は、おじい様たちの繋がりで家の中がいいってことくらいです」

皆さんの気になるところは私と睦峰様の関係もろもろでしょう?

家の結びつきが強いとなれば、横やりも入れにくいはず。


とにかく、あの私を崇めている人たちに真実が知られなければいいわけですから。




*****



「桃華様、ご婚約おめでとうございます」

「桃華様こそ王子の隣に並ぶことが相応しいですわ」

「美男美女ですわ!」

「羨ましいです~」


取り巻きのみなさんが意外とすんなり受け入れてくれたようで驚きです。

彼女たちは彼らのファンだと思っていたのだけど。

嫉妬とかもう少し不快感を示されるかと思った。


「天然ぽわぽわカップルですのねっ」

「お菓子を頬張るお2人の姿をぜひとも遠くから眺めたいっ」

「むしろお菓子になりたいですわぁぁっ」


あれ?

思っていたのと違うどころか、ちょっとおかしな方向に話が傾いて来てる?

皆さんのテンションの上がり方が怖いです。

なんで赤くなった両頬を抑えながら悶えているのですか?

いや、お嬢様達はお顔も可愛いからそんな仕草も可愛いとは思いますよ?

でもなんというか……勢いが怖いです切実に。


「惚気話が聞けるのをお待ちしていますわ」

「水無月様……私たち水無月様を応援いたしますわ!」

「桃華様お祝いにお菓子を持ってきましたの」


わらわらと集まっていた皆さんがお祝いの品をくれた。

ちょっと変わった子もいるけれど、いい友人を持ちました。


「皆さんからいただいたお菓子、皆さんと一緒に食べたいです」

「「……桃華様っ!!!喜んで!!!!!」」


笑顔が眩しい。




*****



「桃華チャンも光もヘトヘトやん」

放課後、部室で紅茶を口にする私たちを見て黄金先輩がくすくす笑っていらっしゃる。

私は私で今日は一日好奇の視線と極まれにいる直接話しかけてくる人の対応で疲れているし、光は私の幼馴染ということもあって今朝の桃城くんのように真意を確かめる人の群れに一日付きまとわれたらしい。

そんなわけで光は教室から出ることもままならず、今日の私のお目付け役は桃城くんがやっていた。

私も光もくたっと伏せているわけではないですが、やはりいつもどうりには出来ていないらしい。


「黄金先輩は普通でしたか?」

光の問いを補充するなら、私と同じ部活ということで質問攻めに合わなかったのかということだろう。

「いつも通りやで~なんせ桃華チャンがここの部員だってことを知っとる人がまずおらんやん?」

そう言われればそうですね。

部活動の所属を聞かれることはなかったし。

「なるほど……」

光もいつものコミュニケーション能力が発揮されてないね。

「ところで優クンはまだ来とらんのやね」

……そういえば新入部員になったんでしたっけ。

「優こそ大変だったと思いますし、今日は帰ったとか?」

当事者ですもん。

大変だったとは思うけど、あの過保護な二人が一緒にいるだろうしそこまでだと思うけど。


「……遅く…なりました」


光の予想に反して睦峰様が来た。

私も帰ったと思ていたのだけど。

意外と部活動にはしっかりと参加したい人なんですかね?

「優クンも一日大変だったん?」

「………?」

黄金先輩の膝の上の物が気になって話が聞こえていないみたいですよ。

その無駄にリアルなタコの花瓶なんですか。

「睦峰様はあまり疲れていないのですね」

黄金先輩に向けて首を傾げる睦峰様に声をかければ意味は伝わったらしい。

「……輝石が…さばいてた」

なーるほど。

やっぱり保護者の活躍があったみたいだ。

「輝石って松宮輝石クンやっけ?」

松宮の御曹司の名前はさすがに有名か。

コクリと睦峰様が頷いた。

「松宮の御子息も揃うとか今年の一年は豪華やな」

豪華って……ケラケラ笑う黄金先輩は言葉の割に私達の名前に興味はないらしいし変わった人だ。


「あ!昨日の招待状な、出席でよろしゅう頼みます」


「ありがとうございます」

「……ありがとうございます」


なんかおかしな感じだけど。

来てくれるのは嬉しい。

そういえば、この人は私達のことを聞いてこないな。

恋バナとかすごい勢いで食いついてくるタイプかと思った。

ふむ、認識を改めるかな。


「ところで、優はここに来ること輝石達には言ってあるの?」

光が紅茶を注ぎつつ聞く。

「……ある…めんどうだった」

んー、相変わらずの言葉足らず。

「探されてる事態になってないならいいんだ」

光のその視点は保護者ならではですね。

この人達三人はいつも一緒にいるイメージだし。

「……さすがにそこまで…過保護じゃない」

ちらっと私を見たのはどういう意味かな?ん?




*****




もふっと数ある人形の中でも大きなものに抱きつき癒される。

放課後の部活を切り上げて何事もなく帰宅しました。

美味しいご飯を食べ終え、お風呂も頂いて寝るまでのこの時間って幸せですよね!

と、携帯が鳴ってる?

手を伸ばし確認すると、表示された名前は桃城くん?

電話なんて珍しい。

「はい、水無月です」

『あ、モモ?ごめんな遅くに、あのさ聞きたいことがあるんだけどいいか?』

そんなに遅い時間ではないですけど。

「構いません、何ですか?」

『んーあのさ、こないだのモモの事件あっただろ?』

私の事件?

なんのこと……ってあの呼び出しの事かな。

「この間の呼び出しから婚約までの一連の話ですか?」

『おう、その事ってモモの取り巻きのお嬢様達って知ってたのか?』

……あの子達は知らないはずだ。

というか、取り巻きってお友達ですよ桃城くん。

「何も話してませんよ?」

『だよな……』

何が言いたいのでしょう?

なにか…あったとか?


「何か、ありましたか?」

しばらくの沈黙。


『その時に呼び出したと思われる男子数名が女子たちに粛清されたっぽい』


………………?

おうふ。





鈍足更新ごめんなさい(土下座

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