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キャラの設定メモっておけばよかった。
案外、村は近いところにあった。
「これが、あなたの村? 」
「はい、そうです。何もないところですみません」
俺が確認すると、ケイトは申し訳なさそうに答えた。謝ることないだろうに。まあ、確かに小さな村だが。
「おお! ケイト! 無事だったのか! 」
村の入口に男の人が立っていた。がっちりした体型でケイトより強そうだ。
「……ただいま。父さん」
おっと、まさかのケイトの父だったらしい。
「この馬鹿! 夜が近かったら外へ行くなと言ってただろう! 」
「ごめんなさい」
さーて、さっきから俺が無視されているのだがどうすればいい。
「おや? ケイト、隣のお方はだれだい? 」
やっと気づいてくれたようだ。
「あ、彼女は僕を助けてくれたんです。彼女がいなかったら僕は……」
「そうか……コイツを助けてもらってありがとう。名前はなんていうんだい? 」
「ローゼです」
「ですわ」にするか迷ったが、「わ」は言わなかった。
「……ローゼか。私の名前はガラドです。なにも無い小さな村ですが、どうぞ村へ来てください。お礼をしますので」
「はい」
三人で村へ入っていく。
家は、簡単なつくりで豪華な感じはまったくしない。それがいくつかある。そして、家の間は畑になっていた。
ふと、ガラドがある家の前で立ち止まった。
「ここが、私の家です。時間も調度いいですし、夕食をごちそうしますよ」
「ありがとう」
正直なところ、あまり腹は減っていないのだが、素直に頂くことにした。
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「……ごちそうさま」
最悪だ。何一つ美味しいものがなかった。まず、日本でいう主食の米らしきものだが、なんと、何かの幼虫である。信じられないが、ガラドとケイトにとってはご馳走らしい。申し訳ないが、一口も食べていない。
次に、お肉だ。一番期待していたのだが、味がなかった。いや、味付けがなかった。
最後にスープ。これも味付けが……
「口に合いませんでしたか? 」
顔に出ていたのか、ガラドが不安そうな顔で聞いてくる。
「いや、まあ、美味しかったですよ? 」
「……そうか」
すまない、ガラドさん。笑顔で言えないほどまずいんだ。
というか、異世界の料理が日本人の舌に合う保障はどこにもなかったのだ。地球の中でさえ食文化にかなり差があるので、当然といえば当然かもしれない。 ああ、日本食がなつかしい。
そんなこんなで、俺の腹はまったく満たされなかったのである。
さて、いつ伏線回収しよう