2
とりあえず、完結を目指します。
魔法を使おう。
俺が本当にローゼになっているのなら、魔法だって使えるはずだ。
ではさっそく。と、いきたいところだが、どうすればいいのだろう。
とりあえず、右手を前に突き出し、
「ファイア! 」
と言ってみる。
が、何もおきない。ゲームで最初に覚える魔法なのだが。
ん?
まてよ?
確かに、ゲームではファイアという名前がついていた。しかし、ゲームキャラクターが魔法を発動するとき、キャラクターが喋ったことがあっただろうか。俺が覚えてる範囲ではない。
ではどうしろと。まさか、念じるだけでいいってことはないよな?
そう思いつつも、俺の右手に火よ集まれ! と、念じてみた。
すると、 あっさり燃えた。ーー俺の右手が。
「あちっ! 」
幸いすぐ火は消えた。
やっべえ。まじ痛かったわ。
しかし、念じるだけというのは楽でいいな。
それにしても、森のマップはゲームだとこんなに広くなかった。
つまり、この世界はゲームの世界(設定)とまったく同じ、というわけではなさそうだ。
よし。魔法の使い方は分かったし、森の散策をしよう。といっても、さっき歩いていても何も起きなかったし、暇になりそうだ。
・
・
・
と、思っていた時期が私にもありました。
今、俺の目の前にはゴブリンがいる。
ゴブリンはこちらの様子を伺っている!
えーと、どうしよう!? やっぱり倒したほうがいいのか!? いや、逃げたほうがいいかもしれないしーー
悩んでいると、ゴブリンがこちらに向かって走ってきた!
ぬお!? めっちゃ速い! 自転車並だろ!
ええい、とりあえずこれでもくらえ!
俺は手の平に氷の矢を出現させ、それをゴブリンに投げつけた。
ブシャアアアッ!
と、ゴブリンから血しぶきがあがり、少しの間身体をゆらゆらさせてから、ばたりと倒れた。
氷の矢はあっさりとゴブリンの体を貫いたのだった。
あれ? 案外楽勝だな。いや、ゲームだとゴブリンは低レベルモンスターだったし、俺がローゼになっているのを考えると当然なのかもしれない。
だが、いくら俺のレベルだ高くても、モンスターが出るところで野宿なんてしたくない。もう夕方だし、やっぱり森の外へ行こう。
俺は森の外へ出た。
出る時に、ビクビクしたのは秘密だ。
さて、どの方向に行こうか。
そう考えていると、
「ーー! 」
人の声が聞こえた気がした。
一人称を舐めていました。かなり難しいですね。