表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄人形  作者: @
第一章
2/16

#1

#1

 お城を抜けるとそこは城下町です。あちこちから煙が上がっています。空は雨でも降り出しそうなくらい真っ暗です。

 地面は真っ赤です。赤黒い血が一面に広がっています。元々この国に住んでいた人たちも、元々この国に住んでいた人たちをこんな風にした人たちも、もうどこにもいないのです。


 壊れて道にまで崩れてしまった建物もたくさんあります。でも大丈夫です。おとうさまからもらった生きるためのすべの出番です。

 見上げるほどの大きなガレキもなんのそのです。あっという間に乗り越えます。飛び降りたらどすんと音が鳴りました。


 あちらを見てもこちらを見ても、亡くなっている人がいっぱいいます。

 ガレキに押しつぶされている人や、炎に巻かれてじゅうじゅういっている人、もう火は消えたのかこんがりしている人。それから一番多いのは切り傷を抱えて倒れている人です。

 おとうさまが言っていました。戦争があったそうです。わたしの生まれたこの国は負けてしまったのです。

 けれど、敵国の軍隊はおとうさまがなんとかしちゃったのです。どうやったのかは教えてもらえなかったのですが、一人残らず殺してしまったとのことです。

 おとうさまいわく、彼らを生かしておいたら不幸になる人がもっと多くなっていたからね。

 わたしは生まれたばかりでなにも分からないです。でもおとうさまに教わったことはしっかり覚えているのです。

 多くの人を助けるために、少ない人を殺すのは大丈夫です。

 数を数え間違えないように気をつけましょう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ