読書/桜庭一樹『GOSICK Ⅴ ベルゼブの頭蓋』
父親であるブロワ侯爵が、逃亡中の母親を呼び出すため、〈灰色狼〉の末裔である探偵役フレデリカ・ド・ブロワを修道院に移動させた。異母兄グレヴィールの依頼で、〈従者〉的な親友・九条が、フレデリカを救出すべく、列車で彼の地へと赴く。そこでは催し物の最中で、殺人事件が発生。九条一弥は、フレデリカを奪還した。
問題の修道院は、ルネサンス期あたりか、ペストが流行したころに、ソヴュール王国の君主が避難所としてこしらえた城塞だった。それが近代となって、科学省の研究施設となり、さらに、オカルト省の関連施設となっていた。そこに伝わる〈形見箱〉を巡って、工作員をつかった両省庁の争いになる。
修道院の奇跡をみせるイベント、ファンタスマゴリアの夜〈夜会〉での殺人事件は二つあった。
第一の殺人は科学省の工作員サイモン・ハント、第二の殺人はバチカンの修道士イアーゴが被害者だ。
工作員サイモンハントは、形見箱を奪取すると、終列車に乗り込もうとしたのだが、オカルト省側の殺し屋カミーラとモレラの老フェル姉妹によって、殺されてしまう。
続いて奇跡鑑定士でもある修道士イアーゴは、舞台上でのフェル姉妹の海賊の樽のようなマジックに気づき、異議を唱え、本当に刺されて死んでしまう。
トリックには、空中浮遊、ゴーストマシン(幻灯機)といった古典的な装置が使われている。
パニックになった修道院を抜け出した九条とフレデリカは、帰りの終列車に乗り込んだ。そこでは、新たな事件が発生しようとしていた。そして次巻へと続くことなる。
ノート20180824
角川書店2005年




