読書/海堂尊『ブラック・ペアン1988』
<あらすじ>
東城大学医学部付属病院に就職した1年生医師・世良は、佐伯教授の教室に配属される。佐伯教授は次期病院長ポストを狙う野心家に、渡海講師は、企業からリベートをとるダーティーな医師、高橋講師は佐伯教授の片腕だが、過去に患者5人を殺したことがある。世良は、先輩の都会と高階の双方から川がられ、双方の美点を見出していく。
クライマックスで、渡海講師が、佐伯教授を憎む理由が語られる。父親が佐伯教授と親友で、患者の血内にペ案を忘れた医療ミスを指摘したため、病院を追われたという経緯があった。渡海は親の仇の近くにいて、油断をついて寝首をかこうとしていたのだ。……真相は手術の最中で、ペアンを取り出すと大出血を起こすことが予想されたため、意図的にペアンを腹部に入れたまま縫合したのだ。
佐伯教授は、国際会議の公演中、担当している患者の容態が悪化、病院で留守を預かる助手の高階が代役でオペをしようという矢先、公演をすっぽかしドクターヘリに乗って病院へ戻って来た。真相を知り、佐伯教授の姿勢に感動した渡海は病院をやめた。
<キーパーソン>
世良医師……医師1年生、述者
渡海講師……トリックスター、佐伯教授の弟子
高階講師……協力者
佐伯教授……容疑者
<感想>
この物語のあと、世良医師は、北海道極北市で市立病院立て直しに奔走。大人しい人だったが、強い信念をもつようになる。また、渡海講師はアフリカの小王国に渡って、革命による王国崩壊のとき、王子を日本に亡命させたり、現地のやぶ蚊駆除のため、水たまりをなくす運動をしている。彼らの情熱の原点はここにあったというわけだ。
ノート20210923
講談社2007




