読書/ロマン・ロラン『ジャンクリストフ』8・9巻
第8巻
詩人オリビエは富豪令嬢と結婚、音楽家ジャンも女優と同棲し二人は疎遠に。詩人夫妻の愛が冷め、妻は乳幼児を置き情夫の許へ。音楽家の恋も終わる。詩人は女性友人達に救われ、音楽家もマスコミに叩かれていたところを元女優伯爵夫人友人のとりなしで救われる。
〈キーパーソン〉
〇ジャックリーヌ……詩人オリビエ夫人。夫婦仲が冷めて情夫の許へ出奔。次巻で情夫の許を去り、遺児を引き取りにセシルの許を訪れる。
〇セシル……ジャンとオリビエ共通の友人女性。ピアニスト。ジャックリーヌ出奔後、乳幼児であるオリビエの息子の世話をする。
〇アルノー夫人……ジャンとオリビエ共有の友人女性。教師。かなりの人格者で、ジャンたちに女には女の立場があると、オリビエ夫人ジャックリーヌの不道徳をなじったジャンを諫める一方で、抜け殻のようになったオリビエを、ジャンと一緒に世話を焼く。
〇グラチア……第3巻、ジャンの故郷で出会ったフランス女優。オーストリア外交官の伯爵夫人。スポンサーの新聞社社主を怒らせて叩かれているジャンのために、口添えしてやる。
〈ここまでの感想〉
読んでも小説の腕前は上がらない(のだが)、百年前の世界観(に興味津々)。一歩間違えばBL小説、一歩間違えばプロレタリア文学。危ういロープの上を芸術論でバランスをとっている(みたいな感じがする)。その危うさが面白い。呟きRTのときPCに読み上げさせたり、速読したり、(ファンタジー小説のカテゴリの一つ)スチームバンクとして楽しむ私(ツイート0818)
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第9巻
パリ。詩人オリビエが下層階級むけ慈善活動開始。左翼団体が近づき友の音楽家クリストフを利用する。やがて暴動が発生。詩人は官憲に殺され、音楽家はスイスへ亡命する羽目に。音楽家は友の喪失を嘆き、匿われた家の夫人と不倫拳銃自殺を図るも失敗し雪原を彷徨する(ツイート0819)
〈キーパーソン〉
〇アンヌ……ジャンがスイス亡命した際、匿ってくれた友人のブラウン医師の夫人で、ジャンは彼女と不倫する。幼少期のトラウマが尾を引いているため、彼女が心の病いが重くなり、関係は破局する。ジャンは、未練たらたら密かに夫妻の家を離れる。
〈ここまでの感想〉
『ジャン・クリストフ』は著者ロマン・ロランがベートーベンの伝記を書いていたことにより着想を得たという。第9巻末、絶望下で音楽的閃きを失う彼は、雪原で、閃きは「闇の中に瞬く光だ」と悟る。漫画版『ナウシカ』巻末にも、命は「――」という言葉がある。ならばナウシカは女性版ベートーベンか?(ツイート0819)
ノート20210819




