読書/フランチェスカ・リア・ブロック『〝少女神〟第9号』
フランチェスカ・リア・ブロック著『〝少女神〟第9号』金端瑞人訳(筑摩書房2015年)
たまたま入った書店のおすすめ本だったので買ってみた。第一印象が困惑だ。ジェネレーションギャップかと思ったらそうでもない。カルチャーショックだ。――日本風にいうならラノベに属する短編作品群で、突如の如く、虚構か真実か読んでいてよくわからない、表題作〝少女神〟なるミニコミ誌があって、そこの所収作品群のようでもあり、また混乱。
二百四十一頁中、百四十七頁ででてくる短編「レイブ」で、女流短編作家を婚約者にしている青年が、昔のカノジョ・レイブの話をする。とても美しい少女だが、不幸な家庭環境で売春をしている様子だ。主人公〝僕〟はかつての恋人を「マーメイド」と呼んだ。けっきょくのところ、〝人魚姫〟は夏の終わりに、不良グループと一緒にヘロィンを大量に吸引して中毒死したということを知る。
このあたりになってようやく馴れてきた。
ポップカルチャーをふんだんにとりこんだ少女目線の痛くてクールな物語――というのがウリ文句で、著者である女流作家は一九六二年生まれで案外と若くない。学生時代に書いた小説がウケてそのまま作家活動に入ったとのことだ。……麻薬・セックス・性転換。――作品世界では空気を吸うかのごとく描かれる、少年少女の日常は、いまの日本、いや自分からはまだ距離がありすぎて馴染みにくい。またしばらく経ったら読み返してみようと思う。
読書感想文『〝少女神〟第9号』




