覚書/宮崎アニメと20世紀最高峰文学作品
手元に宮崎駿監督作品DVDがある。『カリオストロの城』『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』……機械仕掛けの城館が舞台。完成された主人公が謎解きをし、城の住人を呪縛から開放する。探偵やエクソシストの役回りで、ミステリやホラーの封印解除構造だ。小説なら原稿用紙百枚相当か?(ツイート20210814)
宮崎アニメ『カリオストロの城』は、(原作が漫画家モンキー・パンチと書かれたテロップになっているが、実は推理作家)モーリス・ルブラン『緑の目の令嬢(あるいは《少女》)』が原作。財宝を狙う悪漢ジョドーに鍵を握るオーレリーが追われているのをアルセーヌ・ルパンが助ける。水門放水でローマの町が出現。/前作が『カリオストロ伯爵夫人』。魔性の女・伯爵夫人、ルパンの最初の妻になる男爵令嬢クラリスが登場する(ツイート20210816)
これら作品群の対局にあるのが、同監督作品『風立ちぬ』だ。
20世紀初頭、(『車輪の下』を著した)ドイツ詩人ヘルマン・ヘッセは、ツェッペリン飛行船やドルニエ飛行機工場で知られる、ボーデン湖畔に家を構えていたが、ユング研究所で心療治療をするため、対岸のスイスに転居する。湖畔でヘッセを中心にした文芸サロンが形成され、その中に(ドイツの作家)トーマス・マンや(フランスの作家)ロマン・ロランがいた(ツイート20210815)
『風立ちぬ』は、――(ブルーストの)『失われた時を求めて』に影響された堀辰雄の恋愛短編群を、(トーマスマンの)『魔の山』(、ロマン・ロランの)『ジャン・クリストフ』といった主人公の成長を描く(長編であるところの)教養小説様式に再編している。賛否両論あるが、作品は人によって好きか嫌いかだ。私は好き。20世紀最高峰文学を読み漁る契機になった(ツイート20210815)
プロを目指す人は、教科書や青空文庫に載るような古い作品「名著」を大量に読むくらいなら、10年以内に書かれた、一人の作家の面白い作品数冊を、暗記するまで熟読したほうがいい。――そんな助言を出版関係者からうかがったことがある。でも「名著」は、性別世代を超えた共通の話題ツールだと思う(ツイート2020811)
ノート編集20210814-校正20210817