覚書/モンゴル海軍
かつて、「モンゴル海軍」というジョークがあった。内陸国家なのに、海軍を有しているなんてことは、ありえない、というわけだ。だが現実としてそのような国家の海軍は存在し、ユーラシア大陸ではモンゴル、ヨーロッパではオーストリア、南米ではパラグアイで活動していた。
モンゴル海軍は四半世紀前まで実在した。これは、旧ソヴィエトに派遣された留学生士官が、手続き違いで留学先の海軍士官に編入されてしまったことを発端に組織された。フブスグル湖で活動し、喫水の浅い河川・湖沼用の軍艦「砲艦」1隻と、石油運搬用のバージ3隻、兵員7名で構成されていた。残念なことに1997年に解体されてしまった。
これに対して、オーストリアやパラグアイはちょっと事情が違う。両国はかつて海に面していたのだけれども、戦争で負けて海辺の国土を他国へ割譲喪失してしまったため、名残として海軍が残り、河川に砲艦を浮かべ、哨戒にあたらせていた。
ドナウ川を哨戒対象とするオーストリア海軍は2006年に解体されたが、ラプラタ川を哨戒活動とするパラグアイ海軍は2021年現在も存在する。
ノート20210128