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もう一度妻をおとすレシピ 第10冊  作者: 奄美剣星(狼皮のスイーツマン)
Ⅱ 覚書&呟き小説(ツイッター)
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覚書/『いわきアリオス10周年記念 第8回 NHK交響楽団いわき定期演奏

『いわきアリオス10周年記念 第8回 NHK交響楽団いわき定期演奏会』


指揮 ジャナンドレア・ノセダ

チェロ ナレク・アフナ・ジャリャン

コンサート・マスター 篠崎史紀


NHK SYMPHONY ORCHESTRA, TOKYO


プログラム

レスピーギ(1879-1936)リュートのための古風な舞曲とアリア 第一組曲

ハイドン(1732-1809)チェロ協奏曲 第一番 ハ長調 Hob.ⅥⅠ-1*

ラフマニノフ(1873-1943)交響的舞曲 作品45


20181118日曜日15:00(-16:45)

主催:いわき芸術文化交流館アリオス

助成:文化庁文化芸術振興補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)

   独立行政法人日本芸術文化振興会


――メモ――


01 オットリーノ・レスピーギは、イタリア出身でロシア遊学ののち母国で活躍した20世紀の音楽家だ。ルネッサンス期からバロック期にかけての古い音楽スタイルを研究し、自分の音楽に仕立て直している。演奏された『リュートのための古風な舞曲とアリア 第一組曲』は、バロック音楽を下敷きにしたもので、四楽章で構成されている。第一、第二楽章は、音楽学者オスカール・ティレゾッティー(1848-1916)が蒐集した『16世紀の音楽奏者たち』(1890)から選んだものだ。第一楽章は、イタリアの作曲家シモーネ・モリローナのリュート曲集「オルラント伯爵」(1599)。第二楽章ヴィンツェンツオ・ガリレイ(1525?-1591)「ガリアルダ」――ヴィンツェンツオ・ガリレイは天文学者ガリレオ・ガリレイの父親だ。――軽快なテンポである。第三楽章「ヴィラネッラ」、第四楽章「パッサ・メッツォ」、は、ティレゾッティー『1500年代のリュート曲集』から選曲された無名の音楽家によって作曲された作品だ。……多彩な楽器との組み合わせにより華麗な音色が楽しめる趣向となっている。(全四楽章14分)。


02 ヨーゼフ・ハイドンは、オーストリアのローラウ村に生まれたバロック期の音楽家だ。――ローラウ村はハンガリーとの国境に近いところにある。――ウィーンの少年合唱団を経て、作曲活動に入った。1761年、ハンガリーのエステルハージ侯爵家の副楽長となりオーケストラを指揮した。「チェロ協奏曲 第一番 ハ長調 Hob.ⅥⅠ-1*」は1765年に作曲された作品だ。本来は、第一番から第三番で構成されていたとされる作品の一つだ。――第二番は1961年にプラハで発見され、第三番は現在も行方が判っていない。「チェロ協奏曲 第一番 ハ長調 Hob.ⅥⅠ-1*」は、全三楽章で構成されている。第一楽章と第三楽章は、バロック期のリトル・ネッロ形式――ソロと合奏の対比で構成された形式――痕跡を残しつつ、ソナタ形式を採用した作品に仕上げている。力強い合奏、滑らかなヴァイオリンの演奏に続き、チェロの演奏が主体となっていく。第二楽章は三部形式でチェロと弦楽器のみによる優雅な緩徐楽章。第三楽章は軽快なチェロの独奏となっている。(全三楽章24分)。


03 ラフマニノフは、400年続く貴族の家に生まれた。モスクワ音楽院で作曲とピアノを学んだ。チャイコフスキーに目をかけられ親交をもつようになった。1917年のロシア革命を避けて北欧経由でアメリカに亡命。1934年にスイスの別荘を拠点で演奏活動を行ったが、第二次世界大戦が起こりアメリカに再び戻った。「交響的舞曲 作品45」は1940年に作曲された作品だ。第一楽章は決然とした行進曲風リズムによる主部と、アルト・サクソフォーンによる抒情的で哀愁を帯びた旋律が印象的な中間部による三部形式からなる。それはソナタ形式も併せもっている。第二楽章金管による幻想的なファンファーレに導かれ――ロシア的な哀愁を漂わせた――ワルツ。第三楽章はファンファーレ、12の鐘が鳴る「死の舞踏」を案じる激しい曲調となってゆく。ここでは熱狂的なコーダが全曲を結んでいる。(全三楽章35分)。


NHK交響楽団は、1926年に新交響楽団として結成され、1951年にNHK交響楽団と改称し現在に至っている。ゲストの指揮者ジャナンドレア・ノセダは、楽団を構成する指揮者陣の一人で、名誉音楽監督になっている。この人はイタリア・ミラノ出身で、2016年にワシントン・ナショナル交響楽団の第七代音楽監督に就任している。2016年、国際オペラ賞「今年の指揮者」に選ばれ、同年、ストックホルムで開催されたノーベル賞コンサートを指揮している。またチェリストのナレク・アフナジャリンは、2011年、22歳で、第10回国際チャイコフスキー・コンクールのチェロ部門第一とゴールド・メダルを獲得した人物だ。この人はアルメニア出身で、ニューイングランド音楽院でローレンス・レッサ―に師事し、2014-16年BBCニュー・ジェネレーション・アーテスツに招待され、BBCプロムスにデビューしている。イギリスを中心に活動をする音楽家だ。

            ――以上 パンフレット要旨――


〈感想〉

会場は、オペラハウスのような桟敷四階構造をしたアリオス大ホールで、私は家内と桟敷の三階正面に座った。壇上の演奏者たちは大半が黒いスーツを着ていた。非の打ち所のない華麗な演奏だ。演奏中にパンフレットをパラパラめくられる不快さはなく観客はいい子にしていた。客層は中高年夫婦が多い。あとは、音楽関係者、市内の中学・高校で吹奏楽をやっているであろう生徒たちだ。そんな静寂を破るように、私の右隣にいた女性が、突然、「すごい!」と声を上げたのは、「チェロ協奏曲 第一番 ハ長調 Hob.ⅥⅠ-1*」第三楽章のナレク・アフナジャリンによるチェロ独奏である。――何と形容しよう、草原に雷が落ちるような激しさがあり、男性数人からなる咆哮のようなコーラスが入る。――白いシャツ姿をした30歳の天才だった! (なお、前年に引き続き今回のコンサートでもアンコールはなかった)ボソ。


追記

 コンサート・マスターの篠崎史紀はN響始まって以来の変人なのだそうだ。実を言うと、この人に駐車場で出会った。2018年福島県いわき市コンサート会場となったアリオスには駐車場がなく、裏側の道路を挟んだ市役所駐車場を利用した。駐車場は二階になっており、そこに車を停めたとき、後ろからきた軽乗用車が、私の車の前に走ってゆき、空いたところに停めた。降車したのは眼鏡をかけたオールバックの初老男性だった。薄手白ジャンパーにジーンズ、スニーカー、そして極めつけは特撮ヒーロー・ドラマ『ウルトラセブン』に登場するウルトラ警備隊のエンブレムのシールを二つ貼り付けたヴァイオリンケースだった。この人が降りてすぐ、私のほうを一度振り返り、莞爾と笑みを浮かべたのを憶えている。燕尾服を着た彼が壇上にいたので驚いた。開演の一時間ほど前の出来事だ。

 その後、YouTubeでこの人がセブンのファンであることを知り、「その人、マロだよ」と人づてに名前を知った次第。

(小父様ラヂヲ05 「N響のマロとウルトラセブン」

  ノート20191213 ncode.syosetu.com/n2873br/92)


篠崎史紀(マロ)、N響演奏

youtube.com/watch?v=xKdisoekdhY&t=440s


          ノート20181119

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