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景子の目

 こんな土で、無理をして同じ穀物を作るから。


 ひとつの土地で、延々同じ作物を作ると、こういう症状が起きる。


 土の中の微生物や、土の質が偏りすぎて土そのものを殺すのだ。


 景子は、輝ききれていない植物を見た。


 これでは、本来の実りは期待できないだろうし、既に年々収穫は減っているはずである。


 おばさんは、景子の言葉に何度も首を傾げた。


 言っている意味が、うまく伝わらないのだろう。


 微生物と言っても、この国の人には見えないのだから、理解してもらえるはずもない。


 自分が、随分と恵まれた技術国から来たことを、こんなところで思い知るだけなのだ。


 ただ。


 おばさんは、困ったようにため息をついた後、それでも景子に「ついておいで」と言ってくれたのである。


 多分、自分の手に負えない人間だと思ったのだろう。


 そのまま村に入ると、いきなり多数の子供に囲まれた。


 旅人が、珍しくてしょうがないのだろう。


「あっちへおいき!」


 おばさんの声で、蜘蛛の子たちは散り散りになる。


「にいさん、にいさん、少し話を聞いておくれ」


 おばさんは、とある家の扉のノッカーを、カンカンと打ち鳴らした。


 のそり。


 扉が開くと、頭のてっぺんから顎まで、全ての毛がつながったような中年の男が現れる。


 一瞬、ハイジのおんじが現れたかと思ったが、まだそこまで年はいってないようだ。


 おばさんを一度見た後、景子たちに怪訝な目を向ける。


「この子が畑─土が危ない──」


 本人も余り飲み込めていないように、首をかしげながらおばさんは彼に説明した。


 男の目が、むぅと寄った。


「畑、たくさん……出来てない?」


 景子は、疑問形で語りかける。


 農村ならきっと、税金を作物で収めているに違いない。


 だから、収穫量くらいは把握しているはずだ。


 男の表情が、深く深く曇った。


 どうやら──心当たりがあるようだった。



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