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アディマの準備

 アディマは、動いていた。


 ケイコが、無事出産をしたと聞いて、双子の男の子が産まれたと聞いて、ただ椅子に座っていただけではなかった。


 いや、その前から、動き始めてはいたのだ。


 彼女の足の下に──上げ底を作るために。


 要するに、貴族たちを黙らせる材料があればいいのだ。


 だから、アディマは捧櫛の神殿へと、使者も走らせた。


 馬を変え人を変え、最優先で走らせたおかげで、その証書を三カ月弱で取ることに成功したのである。


 太陽の木の枝を捧げ、朝日の木に太陽の枝を接いだ娘。


 ケイコのことを、不思議な知恵と力を持つ娘だと、捧櫛の神官に証書を書かせたのだ。


 そして。


 父に、ケイコには魔法の力があると、宣言させる確約も取り付けた。


 父にとっては、何の問題もおきず、健康的なイデアメリトスの血が次代に引き継がれれば、妻は誰でも構わないのだ。


 要するに、ケイコを宗教的存在に奉り上げる──そういうことで、話の方向は決まったのである。


 これならば、決して貴族たちに口を挟ませることはない。


 彼女は、ただの庶民ではない。


『太陽の昇る国』から、イデアメリトスの次の太陽の妻になるためにやってきた類まれな存在なのだ。


 それが、彼の用意したケイコの上げ底だった。


 これほどの項目を用意して、アディマはリサーの反論を封じたのである。


「ケイコ……僕と結婚して欲しい」


 もう一度、茫然としている彼女に言葉を投げかける。


 ケイコは、はっと目に力を取り戻した。


「アディマ……困らない? 大丈夫?」


 不安そうに、彼女はそぉっとアディマを見上げる。


「それに、私……お妃さまとかちゃんと出来ないと思うし……」


 ケイコの言葉が、ぐにゃぐにゃと歪んでいく。


 アディマは、辛抱強くじっと待った。


 ふにゃあ。


 ハレの呟きに、はっとケイコは子供を振り返る。


「する! 結婚……する」


 決意の目が飛んで来た。


 子供と一緒にいるためなら、何でもする──そんな決意に、アディマは微かな嫉妬を覚えたのだった。



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