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闇夜のカラス

 ぴぎゃーーー。


 火がついたように泣き出すのは、いつも決まって弟のテル。


 つられてふにゃふにゃと泣き出すのは、兄のハレ。


 アディマに、正式な名前をもらっていないので、とりあえず景子は日本名をつけた。


 晴と照。


 どちらも、お天道様に関係した名前だ。


 いきなり二人の子持ちになった景子は、とにかく赤ん坊に振り回されていた。


 赤ん坊には、夜も昼もないのだから。


 幸い、ここにはネラッサンダンがいて、先輩として手伝ってくれる。


 シェローも学校が終わったら、子守をしてくれた。


 彼らがいなければ、景子はもっと早くへばっていただろう。


 昼間は、時々農林府からの書類を持ってネイディがきて、仕事の話をしていく。


 まだ、出勤出来る状況でないのは、一目瞭然だった。


 出産の前に、ほとんどの書類や準備は整えていたので、外畑への治水工事は始まったようだ。


 今夜もまた。


 テルの泣き声で、飛び起きる。


 あわてて、乳をあげようとした時。


 窓を。


 窓を見てしまった。


「……!」


 よく、大声をあげなかったと、後で自分に感心した。


 白い小さいものが二つ、そこに浮かんでいたからだ。


 何かと思ったら。


 スレイの目の、白目の部分だったのだ。


 夜の彼で、一番分かりやすい部分だけ、景子に見えていた。


 何故、彼が。


 慌ててテルを抱いたまま、窓を開けると。


 彼は、ちらりと腕の中を見た後。


「女だ」


 一言だけ言い残すと──去って行った。


 ええと。


 どうやら。


 ロジューの子は、女の子だったようだ。



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