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ガールズトーク?

 トーが、イデアメリトスのお墨付きで、国中を歌って回れるようになったと聞いて、景子はほっとした。


 菊が、彼女の居候している部屋を訪ねて来て、教えてくれたのだ。


 素直に喜ぶ景子に、彼女は少し複雑そうな笑みを浮かべる。


「ところで、この暑苦しい国でフードをかぶるような輩を知らないかい?」


 その笑みの説明をせずに、菊は話の道を曲がる。


 フード……。


 心当たりは、ひとつしかない。


「ええと……アディマの叔母様のところに、一人いる、けど」


 スレイだ。


 何故、菊の意識に引っ掛かっているか分からないが。


「ああ、なるほど。合点がいった」


 話の雰囲気から、直接ぶつかり合ったわけではないようだ。


 その点では、ほっとした。


「やる気のない態度で、私を見張っていたからね。腕は立つだろうに、ムラがあるな」


 あー。


 菊の言葉に、苦笑を浮かべずにはいられない。


 ロジューに言われて、トーを見に都にやられたのだろうか。


 それは、やる気も出ないだろう。


 景子を送ってきた時も、そんな風だった。


 きっと彼は、ロジューの側にいて、ただ彼女を守りたいのだから。


「強い男が集まっているな、都は。お手合せ願いたいが、試合という形で戦ってくれる人間はいなさそうだ」


 願ったりな環境なんだがな。


 菊の困った笑いを見ながら、ふと景子は思った。


「ダイさんは?」


 それは、素朴な疑問だった。


 彼は、軍の人だ。


 訓練や稽古で、戦うのは日常茶飯事ではないのか、と。


「え? ダイ?」


 菊は、意外そうだった。


 その意外の瞳が、途中で細く変わってゆく。


「ああ、そうか……ダイとはそういう戦いも出来るかもだな」


 少し。


 嬉しそうだった。


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