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ぼっち冒険者の私が魔法職の少女をナンパしてみた  作者: 神子さん
第二章 ダンジョン攻略編

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第18話 チルタイム


 1月後にまたこの集会所で合流しようと約束し、今日は解散することになった。

 どうせならこの後昼ごはんを一緒に取らないかとミカを誘って見たが、ミカは奇跡の触媒である聖典の補充をする為教会へ行くと言って断られた。

 その際、『頑張れよ』と意味深な事を言っていたがこれは彼女なりに気を使っていたのだろうか?


 私達もこの後の仕事を見繕ってから、ギルドを後にした。


「護衛のお仕事が多いなとは思っていましたが、お祭りの影響だったんですね!」

「そうみたいだな。冒険者としてはありがたい話だ」


 今日受けたクエストは街道近辺の巡回の仕事だ。

 これは決められた時間だけ巡回をすることになるので報酬が日当+ドロップアイテムという中々まったりとした仕事だ。

 昨日は色々大変だったし、今日はこのぐらい緩い仕事の方がいいだろう。


 お昼ご飯を食べ終わったまったりとした昼下がりから私達は仕事を始めた。


「なんかゆったりと時間が過ぎている感じがチルくていいですね〜」


 イチカは背中をぐぅーと伸ばして気持ちよさそうにそういった。

 一応街道もモンスターの出る危険な場所ではあるのであまりのんびりし過ぎると危ないが、私も春の陽気が心地よくて厳しいことを言う気分にはなれなかった。


 髪をふわりと撫でる春の風も落ち着く。


「こんなに気持ちがいいなら、お弁当を作って外でお昼ご飯を食べれば良かったですね」

「はは、さすがにそれは呑気が過ぎるだろう」


 ほやほやしたイチカの提案に私もポヤポヤしてくる。


 …………。


 やばい、完全に脳みそが休息モードに入っている。

 ただでさえお昼ご飯の消化で脳みその血が持っていかれて、そしてこの外の気持ちよさ。

 気がついたら歩きながら寝てしまいそうだ。


「イチカ、なにか話をしよう。このままでは私は寝てしまう」

「分かります〜今寝たら絶対に気持ちいいですよね〜」


 イチカは既にうつらうつらとし始めている。


 私は話題を捻りだそうと思考を巡らせるが、そもそも私は会話が得意じゃないので話題が出てこない。


「そういえば、ミカさんが教えてくれたんですけど」


 困り果てている私にイチカが助け舟を出してくれた。


「メタスギアには有名な魔術師がいるから、1度その人に教えを乞うてみたらどうか?って言われました」


どうやら先程集会所で雑談をしていた時に教えてもらったらしい。

私は御手洗で少しの間席を外していたのでこの話は初めて聞いた。


「あ~そういえばイチカの今の装備も有名な魔術師の遺した1品がどうとか言っていたな」


 この街で購入したふりふりな可愛い衣装は、体温調節や自動で汚れを落とす便利な能力があると昨日のダンジョン攻略の際言っていた。

 血まみれの私がイチカに抱きついた際の汚れがみるみる消滅していく様は、緊迫した場面なのに少しシュールで笑いそうになったのは内緒だ。


「そうなんです。その魔術師のお孫さんがまだこの街にいるそうで、その方が魔術師の指導のような事を定期的にしているそうなんです」

「イチカは完全に我流の魔術師だから、1度その道のプロに話を聞くのはいいかもしれないな」


 イチカの魔術はレベルを上げると勝手に覚えていた魔術が大半らしい。

 だが勝手に覚えた属性魔術は使い勝手が悪く、最近は独自で開発した魔力の剣を作り出す魔法をよく使っている。

 イチカ曰く、『魔法はイメージし易いものの方が精度の高いものになりやすいので、ベアさんのイメージをそのまま出力出来る剣の魔法が私の肌にも合っています!』との事だ。

 私をイメージした魔法を使っていると言われて気分を良くした私は、そのイメージをさらに良くしようとしてひとりで無双して、イチカに怒られた事がある。


「ミカさんも私の魔法はなんか変な感じがするから1度見て貰えと言っていました」

「変な感じ?」

「他の術者と違ってスマートなじゃないみたいな事を言っていました」


 我流なので荒が多いということか?

 なんにせよ私よりは魔力というものに精通している聖職者のミカが言うのだから1度診てもらった方がいいのは確かである。


「じゃあこの準備期間のうちに時間を作ろうな~」

「はい〜」


 会話をしても結局ふわふわした眠気が収まらない私たちは、業務時間終了のお知らせがギルドカードから鳴るまでまったりとお散歩をしていた。




「結局モンスターは出なかったですね〜」

「巡回区域が街に近い場所だったからな」


 仕事を終えた後、私たちは今日の仕事の話をしながらギルドへ向かっていた。

 ドロップアイテムを集められなかったのは痛いが、無駄に戦闘をしてエーテルを使用したり、レンタルの剣を使うのは勿体なかったので結果オーライかもしれない。


「そういえば、昼頃言っていた魔術師の家ってどの辺りなんだ?」

「家の場所までは……。ただ街の図書館近くの広場で時折魔法の指導をしているって言ってました」

「図書館の場所もわからんから、ギルドに着いたら職員から情報を聞いてみるか」

「ですね〜」


 私とイチカが引き続き脳死で話していると、イチカの肩を通りすがりの人間がガシッと掴んだ。

 脳みその動いていなかった私は、反射的に()()()()()()()()()()

 人どころかモンスターも一撃で粉砕する私の拳をその人間はひらりと回避した。


「いきなり殴り掛かるなんて酷いわね!」

「悪いな。イチカを狙う暴漢かと思ってつい手が出た」

「ベアさん!そもそもこの方は女性みたいです!」


 確かに、女性基準では比較的長身である私と同じくらいの背丈なので反射的に男だと勘違いしたが、よく見たら体つきや顔が女性だ。

 服装もイチカと何処と無く似ているが、イチカの衣装よりも装飾が少なくて少し大人っぽい雰囲気だった。

 

 だが待ってほしい、私は女性だがイチカの事が好きだ。

 なら性別は関係ないんじゃないか?

 私が拳を握り直している姿を見てその女性は慌てて弁解を始めた。


「なんか誤解させたようね。私は今あなた達が魔術の指導の話をしてたから思わず肩を掴んじゃったのよ」


 その女性は少し申し訳無さそうにそういった。


「ビックリさせて悪かったわね。私はエーデル。この街で偶に新人の指導をしている魔術師よ」


 そういってエーデルは芝居ががった動きで挨拶をした。


「広間で指導しているっていう噂のですか?」

「そうよ。あなたが身につけている装備を作った人物の孫、といえばわかりやすいかしら?」


 そういいながらエーデルはドヤ顔をしていたが、脳みそが休眠している私は、手間が省けたな〜くらいの認識だった。

 

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