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ぼっち冒険者の私が魔法職の少女をナンパしてみた  作者: 神子さん
第一章 パーティ結成編

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第2話 初めてのクエストと初めての魔法!

 気持ちのいい晴天と、春を感じる優しい風を感じながらベアトリクスとイチカは街道を歩いていた。

 

 リーベル近郊の街道にもモンスターは出る。

 スライムやゴブリンの群れなど新人が戦いを学ぶのに最適なモンスターが数多く生息している。

 王都を初めとした色々な街へのアクセスのしやすさ、そして周辺のモンスターの手頃な強さが、リーベルが始まりの街と言われる由縁である。

 私も新人時代はスライムくん達を師と仰ぎ、そしてその屍の山を踏み越えて成長していった。


「あのベアさん?」


 ゴブリンのような群れで襲ってくるモンスターも戦いの基礎を教えてくれる大切な教材だ。

 冒険者として経験を積んだ今でも、1対多はなるべく避けたい。

 どんな弱小モンスターでも数の暴力と投擲攻撃を駆使されると無傷で突破するのに集中力を要する。

 多数と戦わない。なるべく1対1以上の人数不利では無い状況を瞬間ごとに作って戦うという基礎を覚えるのにゴブリンとの戦闘は最適だ。

 まあ私はソロだったから人数有利になることは無かったんだけど。

 私は迫り来るゴブリンを剣で斬り捨てる。

 イチカに近ずかせるものか。

 イチカは私が守る。


「いやベアさん。ベアさん1人で全滅させたら私経験値入らないんですけど……」

「目で見て学ぶのも大切だろう」

「剣振り回して無双している姿を見て魔術師が何を学ぶんですか」


 イチカは私の個人プレーにドン引きしていた。


 目的地へ向かう道中、街道で襲い来るモンスターは全て私が倒していた。

 

 いいところを見せようとしてやり過ぎてしまった。

 キリタニ・イチカとパーティを組むことになった私だが、私の中の彼女への恋心は未だ健在である。

 イチカとの距離を近づけたいのなら、カッコつけてばかりいるよりも、お互いに協力して信頼関係を深めていくという手段の方が効果があるのかもしれない。


「すまなかった。私はソロ生活が長くてパーティというものがよくわかっていなかったんだ」


 一旦弱さを見せて相手の気を引いてみる。

 恋とは駆け引きだ。

 

「大丈夫です!これからお互いに成長していきましょう!」

「そういってくれると助かるよ」


イチカのお許しを得られた事に胸を撫で下ろしつつ、私はイチカに作戦の提案をした。 


「パーティとしての立ち回り、簡単に思いつくものといえば連携して敵を倒すといったことだろうか?私が抑えて君が魔法でトドメを指すとか」

「私もそういう感じがいいと思います!」

「試してみよう。ちょっと待っててくれ」


 私は、同胞を虐殺されて怒りに震えるゴブリンの殺気、その出処である茂みに突進した。


 「ギッ!」


 恐ろしい速さで突進する私から身を隠そうとするゴブリン。その頭部を潰さないように()()()()()、そして身動きが出来ないように両腕で押さえつけながらイチカのところに戻った。


「さあ連携プレイだ!私ごとで構わない!このゴブリンを八つ裂きにしてくれ!」

「連携プレイってそういう事じゃないです!」


 イチカが地団太を踏む。


「抑えるっていうかそれもう調理ほぼ終わってますよね!」

「盛り付けや配膳も立派な仕事じゃないか?」

 

 お気に召さなかったようだ。

 ゴブリンの首を捻り折る。

 その様子に少し青い顔をしながらもイチカは自らの要望を伝えてくれた。


 「もっとこう前衛が注意を引いてその隙に魔法を当てるとか!」

 「ふむふむ」

「このままじゃ私姫プされてる姫だよ〜!」


 私は姫扱いがしたいのだが。

  

「まあこの辺りの敵に私が手を出すと連携に至る間もないと言うにはあるな」


 ドロップアイテムを道具入れに入れつつ私の考えを語る。


「君の言う通り私が敵の動きを止めて君の魔法で仕留める。それはボスクラスの敵の場合有効だろう。だがザコ敵相手にいちいちフォーメーションを組んで戦うのは些か時間効率が悪いやもしれない」

「そうかもですけど〜」


 イチカが納得がいかない顔で足元の小石を蹴っている。

 しかし、冒険者を目指してこの街に来たのに私のような、言ってしまえば保護者のような存在にちょっかいを出されるのはあまり気分が良いものでは無かったかもしれない。


「それならこういうのはどうだろう。この後の戦いは私は攻撃に参加しない。戦闘は君に任せて私は危険な時だけ助けに行くというのは」


 私の提案にイチカはしっぽと耳を立てる犬のような反応をした。

 

「それなら私も戦えます!それで行きましょう!」


 やはり連携云々よりも保護者枠の介入がお気に召さなかったようだ。

 イチカが嬉々としながら杖を振っている。

 そうしていると先程のゴブリンの仲間が更に3体現れた。


「異世界に来て初のちゃんとしたバトル!気合入れて行くぞぉ!!!」

「頑張れ!」


 イチカは1番手前にいるゴブリンに杖の先を向けた。


「唸れ!サンダー!!!」


 イチカの杖からバチバチという音と共に紫電が走る。

 空を割くような雷がゴブリンに当たった。


「ギェエエエ……?」

「あれ?」


 あまりダメージが入っていないようだ。


「コールド!!!アースアロー!!!」


 氷の初級魔法と土の初級魔法を同時に放った。

 と言ってもこの辺の魔法は氷とか土を媒介にした通常遠距離攻撃みたいなものなのだが。

 それでもまずまずの速度で放たれた氷と岩の弾がゴブリンに当たればひとたまりもないだろう。

 だが、この攻撃も相手の肉に当たった瞬間弾けてしまい、ダメージはほぼ無かった。


「あれ〜?INTのステータスが1番高かったのになんでこんなにダメージ出てないんだ?」


 杖をみながら首を捻るイチカにゴブリンが襲いかかった。


「まずい!」


 私は駆け寄り、ゴブリンを2体剣で斬り裂く。

 そしてもう一体を倒そうと脚を踏み出した時、最後のゴブリンの投擲した石が頭に当たった。


「グッ!」


 イチカを助けようとして焦りすぎた。

 奴らの狙いは最初から私だった。

 体勢を崩してしまい一瞬よろめいた瞬間にゴブリンが私に接近してきていた。

 だが流石にこの速さならこの体勢からでもどうにでもなる。

 そう思った時、イチカから強い魔力を感じた。


「やめてください!!!!ファイア!!!!」


 イチカの放った炎は先程までの魔法とは違い圧倒的な魔力が込められていた。

 私に迫りくるゴブリンはその炎に焼かれて消し炭になった。

 その火はそのまま街道横の木を飲み込み、いくつかの木が灰になった。

 そしてその残り火が無事な草木に引火しかけている。


「うわ!!!不味い!!!」

「消化しないと!ウォーター!ウォーター!」


 先程の炎とは比べ物にならないくらい慎ましやかな水の魔法でなんとか消化に成功した。

 こんなところで火事を起こしたらシャレにならん。


「ハアハア……。助けてくれてありがとう。だが次からは魔法の射程の操作は気にしてもらえるか?」

「ぜぇ……ぜぇ……魔法って……射程もい……いじれるんですね……コヒュー」


 動揺で息が上がった私と、魔力の酷使で更に体力を消耗したイチカは消火が終わったあと、森から離れた見晴らしのいい安全な場所で息を整えていた。


「ふぅ。それにしても君の炎の威力は凄まじいな」

「そうなんですか?他の魔法が弱いだけとかではなく?」


 恐らくそのどちらも当てはまっている、と思う。

 私は固定パーティの居ないソロの冒険者だが、複数のパーティが協力して挑む大型モンスターの討伐に私も参戦した際に、他のパーティの魔法を見た事があるが恐らくその時飛び交っていた中級魔法や特殊な魔法に匹敵する威力が、先程のファイアにはあったと思う。


「なんなんでしょう?鑑定のスキル欄には炎に関する記載は載ってなかったのですが」

「君は鑑定が使えるのか」


 彼女がちょくちょく見ていた光る板がそれなのだろうか?


「鑑定っていうのかは分からないんですけど、スマホのアプリにステータス確認アプリが追加されてたので、私は便宜上鑑定って呼んでます」

「状態の確認が出来るというのは便利だな」


 鑑定スキルはドロップアイテムの価値や実感のない体調不良とかもわかると聞く。

 仕事の効率が上がるため、冒険者達には人気の高い能力だ。


「ごめんなさい、折角買ってもらったエーテル、今使っちゃいます」

「気にしないでくれ。イレギュラーが起きた場合でもなるべく万全の状態で立ち回りのも冒険者には必要な心構えだからな」


 イチカが小さな瓶に唇を当ててコクコクとレッドエーテルを飲んでいる。

 アイテムの瓶はなるべく再利用するのがマナーだ。

 だから後で私の瓶とこっそり入れ替えられないかな。


 レッドエーテルを飲み干したイチカは1度咳払いをした後私に頭を下げた


「ベアさん……ごめんなさい。私がわがまま言ったせいでベアさんが怪我をしちゃって」

「このくらい怪我のうちには入らないから気にするな」


 というか本当に怪我はしていない。

 魔物を倒し続けると身体能力が上がるというのは、冒険者や騎士等の武芸で日銭を稼ぐ職業に付いている人間には周知の事実だ。

 私もその能力上昇のおかげで防御力も上がっているのであの程度の攻撃ではアザひとつない。


「でも……私自分の力量もわからないで……守ってくれてたベアさんに酷いことも言っちゃって……」


 イチカは今にも泣きそうな顔をしている。

 私はその震える肩に手を置いた。


「いいんだよ、私達は仲間なんだから。それに冒険者なら自ら敵を倒したいという欲求は寧ろ美点だ。君は臆病者じゃない強い子なんだよ」


「ベアさん……」


 イチカが私の胸に飛びついた。

 そして頭が私の防具に辺り鈍い音を立てる。


「キュ〜」


 イチカが頭を抱えて蹲った。

 

「おい!イチカ!怪我してないか!?おい!」

「ごめんなさい!痛くて涙が止まらないです!」


 そういいながらイチカは暫く泣いていた。

 泣き止むまでの間私は、イチカを抱き止められるように次の装備は布の軽装かビキニアーマーにしようか、と考えていたのだった。



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