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異世界で初恋の人とそっくりな人に出会い冒険を始めた魔法使い  作者: 輝 久実


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リーダーの情報交換

真琴が柊平とのレッスンに励んでいる頃、レイルズは柊平の真意を測りかね、また、真琴の「秘密」が気にかかっていました。彼は、真琴のレッスン中に時間を合わせ、メテオ・ティアのリーダーであるヤワン・イベルトと二人きりでの会談を持つことにしました。


二人が選んだのは、宿屋から少し離れた、静かで薄暗い酒場の個室でした。


「突然の誘い、すまない、ヤワン殿」


レイルズは、グラスを静かに置き、切り出しました。


「いや、構いませんよ、レイさん。あなたが、金井柊平のことで頭を悩ませているのは、よく理解できますから」


ヤワンは、がっしりした体格に似合わず、落ち着いた声で答えました。


レイルズは本題に入りました。


「率直に聞かせてもらう。金井が真琴に教えているのは、本当に東方の薬草の研究なのか。そして、彼の真琴に対する意図は?彼は、真琴を口説いているだけではないのか?」


ヤワンは、レイルズの問いに動じることなく、冷静に、しかし深く頷きました。


「レイさん。半分は、あなたの言う通りです。彼は間違いなく、真琴さんのことを口説いています。柊平は女性慣れしていますが、あのしつこさは珍しい。それは、彼が真琴さんに好意を持っているからです」


レイルズの眉間に深い皺が寄りましたが、ヤワンは話を続けました。


「しかし、もう半分は、魔術師としての純粋な探求心と、東方の国から来た者同士の共感が絡み合っている。柊平は、魔術を愛する男です。彼は、真琴さんの才能に心底魅せられている。真琴さんの持つ東方の知識は、並大抵のものではない。柊平は、それを引き出し、自分と同等の魔術へと昇華させたいのです」


「彼は、真琴さんの力を最大限に引き出せば、『真琴さんが最高に楽しい人生を送る』と信じている。それは、ある種の魔術師としての愛ですよ」


ヤワンの分析は、レイルズが抱える不安の核心を突いていました。柊平の動機が「単なる遊び」ではないことが、レイルズにとって最も厄介でした。


「…真琴は、俺に言えない秘密を持っている。彼女は、それを理由に金井を近づけている。俺は、その秘密を知らない」


レイルズは、感情を抑えきれず、酒を飲み干しました。


ヤワンは静かにグラスを傾け、レイルズの瞳をまっすぐに見つめました。


「レイさん。それが、私たちと柊平の決定的な違いです」


「どういう意味だ?」


「柊平は、真琴さんの秘密を、もしかしたら既に知っているかもしれません。あるいは、少なくとも、真琴さんが『東方の国から来た』という共通点で、彼女が抱える深い孤独を感じ取っている。彼は、真琴さんの踏み込めない部分に、容易く土足で踏み込んでいる」


ヤワンは、レイルズに最も痛い事実を突きつけました。


「あなたには、上沢さんの踏み込めない部分があるのではないですか?そして、柊平が求めるのは、その秘密の共有です。レイさん。あなたは、上沢さんの過去と成長を、リーダーとして守ることしかできない。しかし、柊平は、同胞として共有することができる」


ヤワンとの会談は、レイルズに衝撃を与えました。真琴が抱える秘密は、「薬草」という建前ではなく、もっと個人的で、「東方の国」という共通項でしか共有できない、深い孤独である可能性が高い。そして、その孤独に、自分は立ち入ることができない。


「…わかった。ヤワン殿、ありがとう。参考になった」


レイルズは、酒場を出る前に、静かにヤワンに言いました。


「だが、真琴はセイブライフの心臓だ。そして、俺は彼女のリーダーであり、彼女を守る立場にある。彼女が、自分の意志で、その秘密を俺に話すまで、俺は待つ。だが、金井が真琴を支配しようとしたり、彼女を危険に晒したりするようなことがあれば、俺は容赦しない」


レイルズは、金井を排除することはできないと悟りましたが、真琴の自立した意志を尊重しつつ、金井の危険性から真琴を守るという、リーダーとしての役割と一人の男としての決意を固めるのでした。

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