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異世界で初恋の人とそっくりな人に出会い冒険を始めた魔法使い  作者: 輝 久実


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磨かれる力

次の休みの日。真琴は薬草市場の裏手で柊平と合流し、再び人目につかない森の奥の廃墟へと向かいました。レイルズには、先週の建前通り「薬草の深掘り」を理由にしています。


二度目のレッスンでは、真琴の成長は目覚ましいものでした。真琴は、「魔力の圧縮と集中」の感覚を完璧に掴み始めていたのです。ポーションの緻密な制御の経験が、攻撃魔法の「構造最適化」という、柊平の指導の本質をすぐに理解させたのでした。


「すごい!真琴さん!今回はもう、俺の教えることなんてないんじゃないか?岩がバターみたいに溶けてるぞ!」


柊平は、真琴が放った火の玉が岩に深く、鋭い穴を穿つ様子を見て、両手を叩いて喜びました。真琴の火の玉の威力は、すでにユーリの連鎖魔法の一点集中型破壊力に匹敵し始めていました。


真琴は、手に入れた新しい力に、自信と満足を感じていました。


(これだけ力がつけば、もう十分だ。レイさんや皆を支えるのに、何の不足もない。ユーリさんにも引けを取らない…)


真琴は、ここで柊平とのレッスンを終わりにしなければ、レイルズへの後ろめたさが永遠に解消されないと感じました。また、最近取り戻したばかりの、レイルズとの平和な関係を維持したいという強い思いがありました。


真琴は、訓練を終えるタイミングで、意を決して柊平に向き直りました。


「金井さん。ありがとうございます。本当に、私の魔法の才能を見つけてくださったこと、感謝しています」


真琴は深く頭を下げました。


「おかげで、私の目標だった、『レイさんたちを万全に支える力』は、もう手に入れられたと思います。これ以上の力は、パーティのバランスを崩しかねませんし、私も、そろそろレッスンを終了したいのですが…」


真琴は、遠回しに「レッスンからの卒業」を伝えました。


しかし、柊平はそんな真琴の意図を察しつつも、全く動じる様子を見せませんでした。


「おや、卒業ですか?それは寂しいな、真琴さん」


柊平は、わざと大げさに肩を落としましたが、すぐにニヤリと笑みを浮かべました。


「でもね、真琴さん。俺は、まだまだ教えられることが残っていると思うんですよ。確かに、あなたの『集中』はもう完璧だ。でも、あなたの今の魔法は、あくまで『一点突破』型。これから、『支援と攻撃の切り替え』、そして『治癒補助の効率化』について、オールラウンダーとして働くコツを教えたいんですよ」


柊平は、以前合同任務で見せた、「三役を一人でこなす」という自身の最大の強みを提示しました。


「レイさんのパーティは、レイさんとユーリちゃんという天才的なスペシャリストがいる。でも、その二人を真に支える『心臓』は、何でもできるオールラウンダーであるべきだ。俺は知っていますよ、真琴さん。あなたは、自分の力を最大限に高めることに、まだ満足していないでしょう?」


柊平の言葉は、真琴の成長欲求を的確に突いていました。たしかに、攻撃力が上がった今、次に必要なのは、戦場での魔法の切り替え速度でした。


真琴は、ため息をつきました。


「…金井さんの言う通りです。オールラウンダーとしての技術は、まだ足りません。でも、私…あまり、レイさんたちを心配させたくなくて…」


「心配?はっはっは!」


柊平は再び豪快に笑いました。


「真琴さん!心配なんてしている暇があるなら、強くなっちまえ! 俺はあなたと秘密を共有する唯一の同胞ですよ。俺があなたの成長を応援しているのは、あなたが最高に楽しい人生を送るため。それだけさ!ね?まだちょっと、お付き合いくださいよ!」


柊平の底抜けに明るい返答は、真琴の心の中にあった後ろめたさを吹き飛ばし、場を和ませました。彼の言葉は常に軽薄ですが、魔法の指導に対する熱意と、真琴の才能への信頼は本物だと感じられました。


真琴は、渋々ながらも了承しました。


「…わかりました。オールラウンダーの技術、教えてください。ただ、レイさんたちに心配をかけないように、約束してくださいね」


「任せてください、真琴さん!」


真琴は、柊平との秘密のレッスン継続を決めた一方で、心の中で改めて誓いました。


(レイさん、ごめんなさい。強くなるために、もう少しだけ時間をください。その代わり、訓練の日以外は、もっとレイさんのケアも時々しよう。この秘密のレッスンが、私たちを遠ざけないように、私が気をつけなければ)


真琴は、「秘密の師」と「心から愛するリーダー」の間に立ちながら、不安定な綱渡りを続けることを決意したのでした。

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