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異世界で初恋の人とそっくりな人に出会い冒険を始めた魔法使い  作者: 輝 久実


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森での平和と揺れる心

「さあ、皆さん!今日はポーションの材料を採集するわよ!私もポーションの魔術、練習するんだから!」


次の日、セイブライフは比較的安全な近隣の森に入りました。ユーリは、真琴に対抗するかのように、ポーション作りの魔術にも挑戦すると張り切っていました。彼女は真琴に倣って、素材の持つ魔力をより引き出すための練習をしていましたが、結果はいつも魔力の暴走で、爆発寸前の泡を吹くポーションばかりでした。


レイルズとダリーは周囲を警戒しながら、真琴が必要とする薬草や魔石を採集していきます。森の中は静かでしたが、時折、縄張りを荒らされた野獣に襲われました。しかし、それはレイルズの鋭い剣と、ダリーの防御、ユーリの攻撃魔法によって、難なく撃退されました。


真琴は、今日も皆の支援魔法と治癒ポーションの供給に専念し、安定した動きでパーティを支えました。


「真琴のポーションのおかげで、今日の戦闘はかすり傷一つなかったな。助かる」


レイルズは真琴に声をかけ、その実力を高く評価しました。


必要な材料をすべて集め終わると、一行は森の開けた場所でランチタイムにすることにしました。


真琴は、事前に準備していたサンドイッチと、焚き火で温めた具沢山のミネストローネを皆に振る舞いました。サンドイッチは、以前レイルズにも好評だった、元の世界に似せて作ったマヨネーズを使って和えた具材が挟んであります。ミネストローネは、初めて皆に出すメニューで、野菜と豆、ベーコンがたっぷり入った、栄養満点の温かいスープでした。


皆が歓声を上げて、料理を受け取りました。


「うまっ!このパンに挟んである白いソース、本当に中毒性があるわね!」


ユーリは目を輝かせました。


「このスープ、温まるし、野菜の甘みがしっかり出てる。すごいな、真琴」


ダリーは、大きな体躯にご飯を運ぶように、ミネストローネを飲み込みました。


そして、レイルズ。彼はサンドイッチとミネストローネを一口ずつ味わうと、真琴に向かって、心からの笑顔を見せました。


「真琴、本当に美味い。このスープは、体に染みわたるようだ。この前作ってくれたハーブティーも美味かったが、お前の料理は、皆を心から安心させてくれる」


レイルズの言葉には、以前のような柊平に対するわだかまりや、真琴の秘密に対する戸惑いは感じられませんでした。昨日の「お買い物」デートを経て、二人の間のギクシャクは解消されたかのように見えました。

真琴は、その素直な称賛に、心から嬉しさがこみ上げました。


(ああ、レイさんにわだかまりなく褒めてもらえる。この平和な時間が、何よりも大切だ)


真琴は、皆と笑い合いながら、森の中で過ごす一時の平和を噛み締めていました。


しかし、楽しいランチタイムの最中にも、真琴の心には、来たるべき次の休みに対する不安が影を落としていました。


(次の休みからは、また金井さんとの秘密のレッスンが始まる)


真琴は、柊平の指導のおかげで、自分の魔術の力が劇的に向上したことを知っています。魔術の上達は純粋に嬉しい。それはレイルズを支え、パーティを強化するために必要不可欠なことでした。


しかし、同時に真琴は、そのレッスンがレイルズには言えない秘密の上で成り立っていること、そして、柊平の存在が再びレイルズとの関係をギクシャクさせてしまうのではないかという恐れを抱きました。


(金井さんの言う通り、私は自分の力を大きくしたい。でも、そのせいで、ようやく修復できたレイさんとのこの平和が、またかき乱されるのでは…)


真琴は、サンドイッチを握りしめながら、新しい力への期待と、それを手に入れるために払う精神的な代償への不安に、そっとため息をつくのでした。

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