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異世界で初恋の人とそっくりな人に出会い冒険を始めた魔法使い  作者: 輝 久実


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ユーリの貢献とレイルズの決断

ユーリは、次のダンジョン攻略から、その宣言を実行に移しました。


パーティーが魔物と遭遇するたびに、ユーリは強力な攻撃魔法を、以前よりも遥かに精密かつ迅速に放ちました。彼女の動きは活発さを増し、常に魔物の最も脆い部分を狙い、戦闘の主導権を握ります。彼女の圧倒的な貢献により、戦闘時間は大幅に短縮され、ダリーが受けるダメージも激減しました。


「すげぇな、ユーリ!ほとんど俺の出番がねぇぞ!」


ダリーは豪快に笑いますが、その実力向上は目を見張るものがありました。


しかし、その戦い方には一つの懸念がありました。ユーリは常に前衛ギリギリの位置まで踏み込み、真琴の支援魔法や治癒魔法を必要としない完璧な戦闘を目指しているようだったのです。


(ユーリさんは、私の支援を当てにしていない……)


真琴の「天恵による最速ポーション」も、ユーリが完璧に魔物を殲滅してしまえば、使う機会がありません。ユーリの行動は、レイルズに「真琴の貢献は、私の圧倒的な火力があれば不要になる」と示しているように見えました。


レイルズは、ユーリの戦闘能力が飛躍的に向上したことを評価しつつも、二人の間の緊張がパーティーの根幹を揺るがしていることに気づいていました。ユーリは優秀なアタッカーですが、彼女の行動は「真琴との競争」と「レイルズの承認欲求」に動かされており、「セイブライフ」の理念である「命を大事にした連携」から逸脱し始めていたのです。


特に、ユーリが真琴の支援を拒むかのような戦闘スタイルは、レイルズが重視する後衛への信頼を損なうものでした。


レイルズは、この状況を放置すれば、セイブライフが二つの派閥に分かれ、戦闘での破綻を招きかねないと判断しました。彼は、二人の役割の重要性を明確にし、競争のベクトルを正しい方向へ修正するために、リーダーとして介入することを決意します。


その日のダンジョン攻略後、レイルズは夕食の席で、ユーリと真琴をまっすぐに見つめました。


「ユーリ、真琴。今日の戦闘は、短時間で終わった。ユーリの攻撃魔法の精度と速さは驚異的だ。真琴の新しいポーションの生産性も、パーティーの安心感を高めている」


レイルズは一旦言葉を区切り、真剣な眼差しで二人を見ました。


「だが、この数日、お前たちの間に競争があるのは、俺にも、ダリーやミリヤムにも伝わっている」


ダリーとミリヤムは、頷きながらも静かに見守っています。


レイルズは、真琴の方を向き、口を開きました。


「真琴。お前の冷静な判断力と、確実な支援は、セイブライフの命綱だ。お前は、このパーティーの『心臓』だ。前線でどれだけ攻撃が強くても、心臓が止まれば全てが終わる。お前が持つポーションの品質は、俺たちがどんな状況でも頼れる揺るぎない支柱だ」


次に、ユーリの方へ視線を移します。


「ユーリ。お前は、疑いようもなく、このパーティーの最強の矛だ。その活発な行動力と高い攻撃能力は、敵を一瞬で薙ぎ払い、仲間の被弾を防ぐ。お前がいれば、戦闘時間を短縮し、危険を最小限に抑えられる。お前は、このパーティーの『推進力』だ」


レイルズは、最後に全員を見渡して、強い口調で締めくくりました。


「真琴の『心臓』とユーリの『推進力』、どちらが欠けてもセイブライフは成立しない。このパーティーは、競争ではなく、信頼と連携で成り立っている。ユーリ、真琴。お互いを打ち負かすのではなく、お互いの力を最大限に引き出すことに、その熱意を使ってくれないか」


レイルズの言葉は、二人の実力を認めつつ、「どちらが優れているか」という勝負自体が無意味であることを明確に示した、リーダーとしての重い決断でした。


真琴は、レイルズが自分を「心臓」「揺るぎない支柱」と表現してくれたことに、深い感動を覚えました。それは、ユーリの攻撃力という輝かしい才能に臆せず、自分の地道な役割に自信を持っていいという、レイルズからの承認だったからです。


ユーリは、最強の矛としての評価を得られたことに満足したものの、自分の行動が「競争」としてレイルズに把握されていたことに気まずさを覚えました。しかし、彼女の勝ち気な性格は、レイルズの決断をただ受け入れるだけでは終わりません。

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