「踊り踊って」
病院 地下三階 物置き
今から、化け物を殺す。それは雪の面倒を長い間みてくれた、支えてくれた人の形をしている。だから殺さないと。
私の友人、雪の親友の姿でそんなことするな。
「ぶっ殺してやる」
私は、顔目掛けて拳を打った。
化け物はそれを躱し、どこからか取り出したメスを振り下ろしてきた。
私はそれに構わず、前蹴りを命中させた。
化け物はゔっと声をあげ、後ろに飛んでいった。
「ゴホッ、やっばぁ·····。人の蹴りじゃないやろ」
私は肩に刺さったメスを抜いて、それを投げつける。
それを化け物は避けて、こちらに向かってくる。
顔目掛けて拳がきた。私はそれをいなして体当たりをした。後ろに飛んでいったところを狙い、首に全力で蹴りを入れた。
化け物は首が折れて動かなくなっていた。
「キッショ、化け·····もんが」
そう言って、灰になって消えていった。昨日の私みたいに。
私は急いで雪のもとに戻った。
「雪ちゃんもう安心して。あの化け物やっつけたから」
「うん·····」
雪が抱きついてきた。頭を撫でて、大丈夫、大丈夫と囁き抱き締めた。雪は安心したのか、身体の力が抜けていった。
そんな時スマホが鳴った。裕太からのメッセージのようだ。私と雪はメッセージを見た。
それを読んで、私は状況がどれだけ最悪かを再認識した。
「そっか、やから翔があんなに慌てたんか·····」
すると雪ちゃんが慌てた様子でハルのことを聞いた。
「ハルは?ハルはどうしたの?」
私は裕太に、ハルはどうしたのと聞いた。
数分後に裕太から返事が返ってきた。
「死んだ」と。
「そっ·····か」
雪はそこからしばらくの間、ただ泣き続けた。
そんな雪を慰めていると、またスマホが鳴った。
翔からだ。何かあったのか?慌てて見ると、展望台という単語だけがあった。展望台は確か教会の近くにあった·····。
「雪ちゃん、裕太に連絡してここに来させるからお姉ちゃん翔のところ行ってきてもいい?」
雪ちゃんは、うんと頷いてくれた。
ありがとう。そう言って私は展望台に向かった。
教会付近の山道
俺はとにかく走った。こけようが、足が攣ろうが走った。途中、クロが居た。それも殺して殺して、また走った。
ただ雪が無事であることを願って。
教会は山の中にある。神父のアゼルさんとシスターの暁音の2人で教会をやっている。よく落ち着くからという理由で、小さい頃よく雪と2人で通っていた。そんな俺達を受け入れてくれていたアゼルさんはマジで優しかった。それも俺達が通っていた理由かもしれない。
でも教会は警戒しないといけない。町から離れているから敵にとっちゃ絶好の隠れ家だからだ。
とりあえず教会付近まできた。俺は後ろに差したナタに手を掛けながら小走りで走った。ザクッザクッと雪の音が聞こえる。たぶん雪掻きか?それっぽい音がした。教会が見えた。入り口で暁音が雪掻きをしていた。
「あれ、翔?久しぶりじゃないですか。帰ってきていた·····、どうしたんですか?何かあったんですか?」
俺は、警戒するのも忘れ、藁にもすがる思いで質問した。
「ハァハァ、ゆ·····雪は?」
「雪?あぁ、今年は結構降りま·····」
「違う!俺の妹の雪や!」
暁音はびっくりした顔をしたが、少し考えてから言った。
「雪なら来ていませんね。もしかして居なくなったんですか?」
俺は、暁音の言葉を聞いて、すぐに別のところを探そうとしたが·····、
「アゼルなら知ってるかもしれないです。私はさっきまで買い出しに行っていたので」
「アゼルは?」
もしかしたら来ていたかもしれない。そんな期待を込めた。
「アゼルなら今は中にいます。でも今は入ったらだ·····ちょっと翔!だめ、今入ったら!!!」
俺はとにかく焦っていた。だからそんな言葉は聞こえていなかった。
扉を開けるとアゼルが人に斧を振り下ろしていた。斧は頭に深くめり込んでいた。
「は?」
俺は時が止まった様に固まった。でもアゼルが斧を抜いた瞬間、体が動いた。こいつもコピー人間だ。殺せ、と。
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