「地獄」 後
加山商店街
私の世界は今·····輝いている!
青く澄んだ空。好きな人と手を繋いで商店街を歩く。本当に最高っ!
「た···助けて」
静かな商店街に私とダーリンが二人っきり。
「·····グシャッ!」
「大丈夫?怪我ない?」
「うん!」
でも、私は我が儘だからこれじゃ満足できない。
本物の、本物の翔を手に入れるんだ!
女の人みたいに艶やかな髪をなびかせているあの人。
私を地獄から連れ出してくれたあの人。翔が·····ダーリンこそが私のすべて!それ以外は要らない。ダーリンだけでいい。
私がダーリンを愛してダーリンが私を愛して愛し合って、恋愛も情愛も仁愛も他愛も寵愛も博愛も性愛も恩愛も敬愛も溺愛も愛憎も求愛も自愛も盲愛も無我愛も汎愛も偏愛も熱愛も絶愛も切愛も信愛も親愛も鍾愛も恵愛も押愛も全部受け止めて受け止めてもらって。
そうやって幸せを迎えるの!これが私の生き方。
「ユルハ。ほとんどの人間をコピーにしたぞ」
どうやらこの町はもう私の手のひらの上みたい。
「翔を探しましょう」
手下を使って翔を探しましょう。他のやつはどうでもいい。というか邪魔だから死ね。
私はダーリンと手を繋いで商店街を後にして、町に向かって歩き出した。
そして、自治会館のようなところを見つけた。
入ってみると子供たちと1人の大人がいた。
「貴方も避難してきた人?」
包丁を構えながら聞いてきた。
あぁ、ハズレだ。
「私?私はね····」
早く翔に会いたいな〜。
「楽園を作りに来たの!え〜い!」
斧を振り下ろしてまずは1人!
「え?え·····。翔!助けて!!!」
あろうことか、1人のガキがダーリンに助けを求めやがった。それは駄目。ダーリンは私のものだ。
「·····がう。違う!!!ダーリンは私のだぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
拳を鉄よりも固く握って振り下ろした。何度も、何度も、顔と見分けがつかないくらい殴った。はぁ〜、スッキリしたぁ。
これは、教育。じゃないと分からないもの。ちゃんと教えないと。
私は皆んなに質問をした。
「ね〜、皆んな!愛ってなんだと思う?」
質問には誰も応えてくれない。皆んな、目に涙をためてガタガタと震えている。身を寄せ合って怖さを和らげさせている。
あぁ·····いいな。
「がっ·····あぐっ····ハァ·····ぐっう····」
「バキッ」
私はいつの間にか、少年の首を折っていた。
ずるいから仕方ないよね。
「あぁ、ごめんね。話の続きを忘れてたね!」
愛っていうのは、その人をたまらなく好きになって、一途であること!
その人だけを見て、その人の為に尽くすこと。
「分かるかな?分かってくれるよね?」
皆んなが「うんうん!」って頷いてくれてる!
·····でも、違う。私はそんなの望んでない。そんな目は望んでない。いや、そんな目で私を見ないで。私は頑張って生きてるの。
精一杯普通になれるように、まともな生き方も学んで·····。
やめてよ·····なんで私が悪いみたいな顔するの?
もっと優しくしてよもっと笑顔になってよ·····
ねぇ·····
「良い子になるから、やめて·····」
いや、いやいや一人は嫌!
「大丈夫」
誰かがそう言ってくれた。優しい手が伸びて頭を撫でてくれる。温かい手、声、力加減も全部私を慰めるためのもの·····
あぁ·····
「ダーリン!」
思いっきり胸に飛び込んだ。あったかい、体が、凍った体が溶けていくような·····優しい感覚。
「大丈夫·····俺がおるから安心しろ」
好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好きぃ
「後は任せて」
ダーリンがそう言ってくれた。ダーリンなら安心して任せられる。
「ありがとう。大好き!」
ほんと大好きだからね、翔·····
どうも、ヒトです。この作品を読んでいただきありがとうございます。良ければ感想やブックマークをしてくれると嬉しいです。誤字脱字もあったら報告していただけると助かります。




