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、ゲームへ  作者: ヒト
第ニ章 骨の髄まで
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「巨人」

休憩も終わり、俺たちは展望台へと向かった。

「それじゃあ行ってきます」

「行ってらっしゃい。生きて帰ってくるんだぞ」

「お兄ちゃん行ってらっしゃい。·····帰ってきてね」


俺はまた歩き始めた。いつも通っていた道が今では別のものになっている。

雰囲気も空気も、景色すらも違う気がする。

今はそれが綺麗に感じられる。


死がすぐそばにあって、守らなきゃいけないものがそばにあって。今から死ぬという現実と、絶対守り切るという願望が、世界を白と黒に分けたような気がした。


「·····皆んなストップ」

如月さんが小声で言った。

耳を澄ますと音が聞こえた。


俺はその音のする方に、如月さんの制止を無視して歩いていった。

少し山道から外れた雪が赤く染まっている。


音は、その直ぐそばにある木の方から聞こえる。

俺が近づいていくと、烏が飛んでいった。

「·····死体」


額に触れるとまだ温かみを感じた。死んでそれほど経っていなそうだ。

少し周りを見ると、かなり大きい足跡を見つけた。


人の足跡だということは分かる。でも明らかに普通の人間のサイズじゃない。

如月さんもこれを見て、目が点になっていた。


「ヤバいヤツいますね」

「うん·····」

憶測だが身長は2メートル·····いや、3メートルにも届くかもしれない。


しかも足跡は展望台の方へと続いていた。

「·····行くか」

足跡を気にしながら、また歩き出した。


展望台の近くまで何事もなく、スムーズに行けた。

しかし、足跡が突然途絶えた。

足跡を消すにしてもどうやって·····


「ドサッ!」

全員が音の方に視点を合わせ、警戒した。

音の正体は·····雪だった。

多分木の積もった雪が落ちてきたのだろう。


俺は上に視線をやる。

そこにはクロがいた。それも3メートルにも届きうる大きさの。

クロは俺の前に着地して、思いっきり振り被った拳を放った。


全力で防御したが、腕を押し切られ、体がメキメキッと音を立てて吹っ飛んだ。

痛がってる暇はない。奴が走ってくる。

「いってぇぇぇ!」


震える手で銃を構えて撃った。しかし、腕で胴体を守りながら構わず走ってくる。

放たれた拳を避け、後ろにアサルトを構える真弓を発見し、射線から外れた。


それと同時に真弓が撃った。しかし奴は少し怯む程度。

「真弓、私が行く!」

そう言って咲ねえが走る。


右の拳を振り被りながら、勢い良く走る。

体重と助走の乗った拳を放つ。奴も拳を放ったが結果は見るまでもない。


相手の腕がグシャッ、と曲がった。

そこに間髪入れず、如月さんの刀が首を飛ばした。終わった、と思った。

しかし、奴はまだ動いていた。


2人は急いで距離を取っていた。

「いつものクロとは違いますね」

「首飛ばしても死なんてまじか·····」


初めての敵だ。怪力で、首を落としても死なない。

おまけに·····

「ゴリゴリッ、グチャッ」

再生しやがった。頭も腕も元通りになっている。


頭を抱えていると、咲ねえが口を切った。

「彼奴の弱点は心臓のはずや」

訳を聞いた。

「彼奴、銃弾を腕で胴体だけ守ってた。その腕が少し左よりやったから」


俺は咲ねえの言葉を信じた。咲ねえの戦闘における観察眼は半端じゃないから。

「俺と咲ねえが彼奴の隙を作ります。如月さんは心臓を狙ってください」

「了解」


ナタを持ち、戦闘準備に入る。

「真弓、ハル、俺たちは左右に走るから彼奴にぶっ放してくれ」

「了解!」


俺と咲ねえが走り出し、真弓とハルの集中砲火で奴は防御しかできないようになる。

2人の攻撃が終わり、咲ねえが殴る。


それは防御される。しかし防御が少し崩れ、甘くなる。

そこにナタを振り下ろし、腕をぶった切った。

「如月さん!」


積もった雪が舞うほど強烈な踏み込みで、如月さんが刺突を放った。

刀は貫通し、クロは力無く倒れて灰になった。

「全員怪我は?翔は大丈夫か?」


「俺は大丈夫です。ちょっと腕痛いくらいです」

「私達も大丈夫!」

どうやら、全員が無事の様だ。

よくあの強敵を倒したな、と思ったが、こいつが何体もいると悍ましいとも感じた。


少し嫌な予感がしたが、如月さんと咲ねえは落ち着いていた。

「大丈夫、もう弱点も分かったし倒せる」

「やね」


そんな2人を見て、自分が馬鹿らしくなった。

でもこいつが何体いても大丈夫だと勇気付けられもした。

俺のナタも通用する。

不安になることはない。次は殺せる。


それにいい情報をゲットできた。この調子でもっと次に繋げられるものを持ち帰ろう。

目をギラつかせながら俺たちは展望台に歩き出した。

どうも、ヒトです。この作品を読んでいただきありがとうございます。良ければ感想やブックマークをしてくれると嬉しいです。誤字脱字もあったら報告していただけると助かります。

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