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、ゲームへ  作者: ヒト
第ニ章 骨の髄まで
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「覚悟」

先の戦いもあり、少し落ち着いてから、展望台に行くことにした。

「翔。ちょっといい?」

如月さんが俺を部屋に呼んだ。2人で話がしたいそうだ。


ドアを開け、互いに向かい合って、ベッドに腰を掛けた。

「翔さ、今回死ぬ気やろ?」

如月さんは突然そんなことを言った。


気づいていたんだ。予想はしてた。如月さんは感づくんじゃないかと。でも、突然言われると驚くものだ。



「よく分かりましたね」

「そりゃね。今日の予定が全く練られてなかったから。それに」


如月さんは落ち着いている。その落ち着きが、俺の死をどうでもいいと思っているわけではないと分かる。

「それで·····呼んだ理由は?」


顔色1つ変えず、俺たちは、異常な会話をしている。でも、それが今はなんの変哲もない、ありふれた会話のように口が軽かった。


「僕も君について行く」

如月さんは本当にいつも通りだった。朝の挨拶をするように普通に言った。


「それは死ぬってことですよ?」

「それでもいい。僕は翔の手助けがしたい」

俺はこの提案を断ろうとした。

だって如月さんは、俺に生きていいと、生きろ言ってくれた人だ。


俺が母親を殺して、父親を半殺しにして、赤の他人を殺して。それを知っても尚、普通に接してくれた。それどころか生きる活力をくれた。

いわば恩人だ。

「それはでき·····」


「僕は家族じゃないぞ?」

遮った言葉は自虐も甚だしいものだった。

俺は怒りを覚えた。

「何言ってるんですかっ!貴方が家族じゃないからって軽んじていい訳ないじゃないですか!?」


声色1つ変わらない声で如月さんは言った。

「君は、家族を1番に思ってるやろ。やからこそ、今回でできるだけの多くの情報を持って、次に繋げようとしてる」


確かにそうだ。でも·····それよりも、如月さんも守らないといけないんだ。

「君は今回、咲たちを死なせないよう立ち回るから、厳しい戦いになるだろう。そこで僕が手伝う」


「·····確かにそれで得る情報は増えるかもしれないです。でもやっぱり死なせる訳には行きません。有難いですけど無理です」

ここで、俺は完全に断ったつもりだった。でも如月さんは関係なかった。


「じゃあなんで最初、誤魔化さんかったんや?」

如月さんは迫るように聞いてきた。

俺はその質問に言葉が詰まる。


「僕になら知られてもいいって思ったんやろ?僕を信頼してるから言ってくれたんやろ?」

畳み掛けるような言葉に俺は口が開かなくなる。


でも、それだけが理由じゃない。如月さんの言っている通り、俺はこの人を信頼しているからこそ正直に話したんだろう。


「僕も翔と同んなじや。皆んなを守りたい。死んでほしくないねん」

俺の心は揺らぐ。

この人なら·····俺を望むところまで連れて行ってくれる。自分の命を投げ出してまで·····。


そして如月さんは笑って最後の言葉を放つ。

「それにさ·····僕は次の僕に託すから!」

俺はその言葉に思わず体の芯から震えてしまった。恐怖なんかじゃない。興奮のような武者震いに近いものだ。


だってこの人は死んだら終わる命を、なんの躊躇もなく捨てる気でいるのだ。しかも如月さんは、俺と違って次に記憶は持っていけない。


それを理解していながら、笑って言いのけたのだ。その覚悟が俺の心を動かした。

「分かりました。ご協力お願いします」

そして続けて言う。


「でも絶対死なせません。守る人の中に貴方も入ってるんですから!」

如月さんは「おう!」と返事をした。

そして互いに拳を合わせてこれからを誓った。

どうも、ヒトです。この作品を読んでいただきありがとうございます。良ければ感想やブックマークをしてくれると嬉しいです。誤字脱字もあったら報告していただけると助かります。

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