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、ゲームへ  作者: ヒト
第一章 体験版
2/5

始まり

どうやら車で行くらしい。普段は歩いて行っているのでどうしてか結さんに聞いた。

「なんで車なん?」

「咲が免許取ってねぇ。翔と雪に自慢したいんやって」


どうやら高校を卒業してすぐ免許合宿に行ったそうだ。不安はあるが、結さんいわく事故の心配はないとのこと。

「みんな行くよ!」

咲ねえの運転する車は結さんや芳弘さんの運転する車とあまり変わらない、いい腕だった。


病院に着いて雪の病室に行った。俺はウッキウキでドアを開けた。

「ただいま、雪」

「おかえりお兄ちゃん!」

そこには、満面の笑みの妹が·····可愛すぎる! 

今すぐ抱きつきたい!!!が、欲を抑える。

「雪ちゃぁぁん、久しぶりぃぃぃぃ」

咲ねえが雪に飛びついた。

雪は待っていたかのように抱き返す。

幸せそうでよかった。


色々なことを話した。俺の北海道での生活や咲ねえの自慢話。真弓と裕太がツッコミを入れながらあっという間に面会時間が過ぎた。

「それじゃあ俺たちは帰るから。いい子にしてるんやで〜。ほなまた明日!」

「うん、今日は来てくれてありがとう!

バイバイ」

雪の顔は少し寂しそうに見えた。


家に帰ってくると芳弘さんがいた。

「おぉ、翔!おかえり、会わん間にこんなおっきなってぇ〜」

「ただいま、って半年しか会ってないのに成長もクソもあるかい!」

相変わらず明るい。

「とりあえずみんな手洗ってき。今日はピザパーティーや!」

流石は芳弘さん!みんな速攻で手を洗い、食卓についた。

「いただきます」

こうやってみんなで食卓を囲むのも久しぶりだ。やっぱり家族と食べるご飯が一番美味しい。


多分、久しぶりだったからだと思う。俺は素直な気持ちを言った。

「俺帰ってきてよかったよ!めっちゃ幸せ!」

引き取られて初めて直接幸せだ、と言ったと思う。すると、突然結さんと芳弘さんが泣き出した。

「最初はあんなに心を開かなかったのに·····今では立派な息子になって······!」

「父さん······うれしいぞぉ!」

「母さん······うれしいわぁ!」

恥ずかしかったが、そんなふうに思ってくれていて嬉しいとも思った。だから言うなら······今だ!

「俺も母さんと父さんに育ててもらってほんまにうれしい!!!」

めっちゃくちゃ恥ずかしかったけどやっと言えた。父さん、母さんって。


そんな嬉しさと恥ずかしでもじもじしていると、なんと咲ねえも真弓も裕太も泣き出した。

「お姉ちゃんもうれしいよぉぉぉ!」

「私もぉぉぉ!」

「俺もぉぉぉ!」

おっとまさかこんなことになるなんて。でもなんだか安心した。俺はここにいて良いんだって、家族なんだって。


「あれ、な······なんか目から水が」

泣いていた。多分みんなにつられたのもあると思う。でも一番は俺を思ってくれていることに気づいたからだと思う。思えば当たり前のことだった。でもこうやって、言葉で、表情で、その笑顔で俺を家族だと表してくれた。だから泣いたんだと思う。

「ありがとう、みんな」

今日のことは絶対に忘れない。大切な思い出だ。


次の日起きると家には誰もいなかった。

連絡をしたが、どうやら家にスマホをおいていったらしい。父さんも母さんも咲ねえも真弓も裕太も、みんなスマホも財布も持っていかずいなくなっていた。

「散歩行ったんかな?」

真弓が毎朝散歩しているからそれについていったのだろう。


「しょうがないなぁ、飯作って待つか」

一人暮らしでスキルアップしてるから美味しいはずた!みんなどんな反応をするだろう。喜んでくれるやろうか。俺は気合を入れてご飯を作り、皿に盛り付けた。

それにしては帰りが遅い。外を見ようと玄関に向かった。


すると、鍵が開けっぱなしになっていた。おかしい。普通は鍵を閉めていくはずだ。いやな予感がした。居てもたってもいられず皆を探しに行くことにした。とりあえず顔を洗い、着替える。

「どこから探そう······」

真弓について行っているはずたから、不規則に散歩しているはずだ。

「こりゃ大変やなぁ」

そこそこ田舎だから道が入り組んでいる。とりあえず、人通りの多いところから探そう。


まずは商店街に来た。ここは昔ながらの店が多くて、みんなとよく駄菓子を買いに来た。

「お?もしかして翔くんか?」

声をかけられた。

「おぉ!松本さんやん」

この人は生花店をやっている松本さんだ。よく母さんと父さんにここで買った花をプレゼントしていた。


「久しぶりやな、いつ帰ってきたんや?」

「昨日帰ってきました」

「そうか、元気そうでなによりやわ!」

そう言って肩をポンポン叩いてきた。本当元気な人だ。挨拶もすんだところで真弓たちのことを聞いた。

「そういえば、真弓たち見ませんでした?」

「真弓ちゃんたち?真弓ちゃんと咲ちゃんと裕太くんか?」

「それプラス父さん母さんもです」

「すまんなぁ〜、見てないわ」

どうやら通っていないようだ。

「ありがとうございます。後ガーベラください。雪にあげに行きますわ」

「そうか、みんなによろしく伝えといてな!」


花を買い、商店街を見回った後俺は次の場所に向かう。次は公園だ。そこそこ大きくてよく散歩コースにされているからだ。というか後ここぐらいしか目星がない。早く見つけて帰ろう。手が悴んできたし寒い。


公園に着いた。

「とりあえず1周するか」

散歩コースがあるのでそこを歩く。散歩コースの隣には森がありよくキツネが出てくる。とても自然豊かだ。

雪がそこら中に積もっている。雪を踏む「ギュッ」っという音が気持ちいい。いい音だ。そんなことを考えながら歩いていると森のほうから音がした。


「パキッ」

音の鳴る方をみる。そのには真弓らしき人がいた。

「真弓?」

話しかけたが返事がない。

「あの〜」

近づいていったそのとき、頭に衝撃が走った。

「ゴンッ」と鈍い音を立てた。

「痛ったぁぁぁぁ」

あまりの痛さにうずくまっていた。視界がぼやけて意識が遠のいていく。そこで意識が途絶えた。


「お〜い、お〜い。起きてますかぁ?」

俺は誰かに起こされた。頭が痛い。

「んん…痛ってぇ」

手足が動かない。拘束されてるみたいだ。しかも視界が歪んで見える。どうなっているかわからなかった。


「どうも〜こんばんわぁ。今回ゲームマスターを勤めるハズですぅ〜。いやぁ今回のゲームの参加、ありがとうございます。」

誰かが話しかけてきた。

(何言ってるんだこいつ…てか誰だよ)

視界がハッキリしだす。


「ヒュッ」

間抜けな音がでた。目の前には仮面をした大柄の男が立っていた。状況が理解できない。

(は?どうなってんねん······)

そうだ思い出した。俺は皆を探しに行って…急に気を失って······


「まぁまぁそんな難しい顔せんとぉ〜。メール送りましたよね?ゲーム委員会って件名で」

ハズと名乗る男はそう言った。確かにそんなメールがきていた。でも迷惑メールだと思って大して覚えていない。それに今は、そんなことどうでもいいぐらいヤバい状況だ。

小屋のようなところに椅子に括られ監禁されている。とりあえず冷静になって次自分が取るべき行動を考える。


俺はハズの話を聞くことにした。

「確かにそんなメールきてましたね。で、ゲームマスターが何の御用で?」

「おぉ、飲み込みがはやいですねぇ。やっぱり翔くんを主人公にしてよかったわぁ。で、本編のゲーム説明をしにきたんですよぉ。まぁ説明しますね」


ハズが言うにはこうだ。

・ルールはメールの内容と同じ

・新たなループポイントに進めばどんな怪我でも治ること

・自分と同じ記憶を持ち同じ姿をするコピー人間がいること


こう説明された。現実味が無い。俺は冗談だと思い信じられなかった。困惑した顔を見たハズがこう言ってきた。

「う〜ん、ゲームのこと信じてると思ってたけどそうでもなさそうですねぇ。あっ!そうや、ちょっとでも現実味だす為にここでご家族殺しますか!」


一瞬意味が分からなかった。家族を殺す?馬鹿にもほどがある。そんなことできるわけ······

朝から皆がいない、何処を探してもいなかった。

目撃情報もなかった…

「そんなことやってみろ。殺すぞ」

こいつは絶対に殺る。そんな絶対にさせない。俺は全力で拘束を解こうとした。


「いや〜その反応やっと気づきましたねぇ。でもねぇ······もう遅いですよぉ〜」

ねっとりした気持ち悪い声でそう言った。そしてハズは意識のない父さん、母さん、咲ねえ、真弓、裕太を俺の前に並べた。皆は俺と同じように拘束されていた。俺は腕に血が滲むぐらい激しく動いた。


「それじゃあ殺しますね」

そう言って大きな斧槍振りかざす。

「まてまてまてま······」

「シュッ······グチョ」

目の前には半分になった皆があった。椅子には下半身、床には上半身、大量の血、臓物。鉄のような生臭い匂いが鼻の奥にこべりつく。息が荒くなっている。俺は糸ぐらい細い声で皆の名前を呼んでいた。


「······い、お〜い。聞いてますかぁ〜〜? 流石にやりすぎなぁ。まぁ体験版やからいっか!」

ハズが喋っていたが聞こえただけで何を言っていたかは理解できなかった。

「翔くん、これからが本番ですからねぇ!それじゃあ頑張って私を楽しませてくださいねッ」

「ゴトッ」

俺は首を切られて死んだ。

ハズは死体の前にガーベラを供えた。

この作品を読んでいただきありがとうございます!

エピソードの更新が不規則になるかもしれませんが、これからもよろしくおねがいします!

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