「茨の道」
病院に向かいながら母さんに雪の事を話した。
「今日家に雪連れて帰りたいんやけど·····いい?」
「私はいいけど病院がどうかなぁ?」
母さんの了承は貰えた。けどやっぱり病院の事情で連れて帰るのが難しいかもしれない。
まあいい、なんとかなるだろう。
そんな感じで病院に着いた。
前回は確か百合さんがコピー人間って聞いた。
やから警戒せんと·····。
「こんにちは〜。あっ!翔くん久しぶり、帰ってきてたんや!」
そんな事を考えていると早速だ。
「百合さんじゃないですか。お久しぶりです」
「久しぶり!元気してた?」
「えぇ、お陰さまで」
特に変わった点はない。今まで通りの百合さんだ。
「百合さん普通やね」
咲ねえが小声で言ってきた。一応みんな警戒している。
「私がよく見とくわ」
「分かった」
その場はこれで終わり雪の部屋まで行った。
「雪ぃ!久しぶりぃぃぃ!」
「おかえりお兄ちゃん!」
満面の笑みで迎えてくれた。あぁ、やっぱり妹は可愛いなぁ。挨拶もほどほどに少し思い出話をした。北海道での生活、雪の生活とか色々話した。
本題はここから。
「今日家帰らへんか?雪」
「え?急にどうしたん?」
驚くのも無理はない。突然言い出したんだから。
「まあ、俺も久しぶりに帰ってきたしずっと一緒におりたいねん。次いつ会えるかわからんし」
雪は少し考えてから、
「うん!帰りたい!けど·····許可もらわなあかんやろ?それは大丈夫なん?」
とりあえず良かった。次は病院に許可貰わないといけない。
その時ちょうど百合さんが来た。
「百合さん、ちょっと話があって。いいですか?」
「はい、いいですよ」
そして雪を連れて帰りたいということを伝えた。
反応はイマイチ。難しい顔をしていた。もしかしたら連れて帰れないかも·····?それだけは駄目だ。
「どうにかなりませんかね?」
「う〜ん」
百合さんが悩んでいる時、雪の担当医の草原先生が入ってきた。
「話は聞かせてもらったでぇ!私がどうにかしよう!」
びっくりしたのと、嬉しい気持ちが同時に来て素直に喜べなかった。
「その代わり、ちょっとカウンセリングとか書類書かなあかんから夜になるかもしれん」
「それでもありがとうございます!」
先生には本当に感謝しかない。これで雪を連れて帰れる。
そこからは母さん達は家に帰って、俺と咲ねえが雪を連れて帰ることになった。この時間は家には襲撃が無いはずだから、こっちにだけ集中できる。
みんなを見送って部屋に俺と咲ねえと雪だけになった。
先生はカウンセリングの準備をしに行ってくれた。
戻ってくるのを待っていると、
「ゆ、百合さん変じゃなかった?」
雪が震える声でそういった。
急過ぎて驚いた。
「変ってどんな感じやった?」
出来るだけ平然を装い聞いた。
確か雪がコピー人間を見分けられてたと前回で咲ねえが言っていた。もしかしたら、百合さんはもうコピー人間なのかもしれない。それのヒントになるかもしれない。
「えっと·····なんか、黒い?真っ黒の部分があった·····」
間違いない。百合さんはコピー人間だ。
雪に不安にさせないよう誤魔化す。
「そっか、まあ雪も疲れてるんやろ。見間違いや」
「お兄ちゃんなんかあった?」
雪が不安そうな顔で聞いてきた。
だから笑顔で、
「·····大丈夫!なんもないから気にせんくっていい」
そのタイミングでちょうど先生が戻ってきた。
「カウンセリングするからみんな来てね〜」
俺たちは部屋を後にした。
カウンセリングは長い間続いた。
最近の調子はどうだとか、ストレスはあるかとか色々聴きながら書類を書いていた。
そして気付けば、日はもう落ちかけていた。
最後の手続きとして、先生と雪で話をするとこになった。
だから咲ねえと外に出ようとした。すると雪に袖を引っ張られた。
「·····先生、俺も一緒にいていいですか?」
「いいですよ」
雪は多分、今の状況が普通じゃないことに気づいている。少しでも安心させてやらないと。
「じゃあ私は外で待ってるから。雪ちゃんまた後でね」
そう言って咲ねえは外に出ようとした。
しかしドアを開いた先には百合さんがいた。
「あっ、すみません。邪魔しました?ちょっと翔くんでも咲ちゃんでもいいからお話したくて」
驚きと焦りで体が動きそうになったが、咲ねえがそれを遮る様にいいですよと言った。
「雪ちゃんの事ちゃんと見といてね」
俺たちにそう言って咲ねえは行った。
俺は心の中でそっちは任せたと呟き、首を縦に振った。
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