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、ゲームへ  作者: ヒト
第ニ章 骨の髄まで
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「終わりの始まり」

廃墟の中はぼんやりとしか見えない。慎重に探索していく。

割れた硝子や枯れた枝が廊下に落ちていた。それが潰れる音と風以外の音は聞こえない。

待ち伏せとかはなさそうだ。


一つ一つの部屋を確認していくが、何もない。少し足跡の様なものがあるだけだった。

私は不安に押し潰されそうになる。

また·····また間に合わなかったん?

「·····いや大丈夫、きっと翔は無事や」

崩れ落ちそうな心と足を立て直す。


そうして一階の全ての部屋を確認し終えた。

何もなかった。

大丈夫。まだ二階がある。私は二階へと向かった。


二階も確認していった。一つまた一つと。

でも何もなかった。何の痕跡もなかった。

頭のに何度も最悪の状況が想像された。その度に大丈夫だと言い聞かせ、捜索していった。

すると、半分くらいの部屋を確認した時、奥から音が聞こえた。


ハァハァと荒い呼吸音の様なものが。それと共に甘い声が漏れている。

喉から出かかったものを飲み込む。

私は音を立てない様にして出来るだけ速くその部屋に向かった。

そうだ、もしかしたら真弓と翔が一緒にいるのかもしれない。きっとそのはずだ·····。


部屋に近づくにつれて酷い臭いがした。鉄錆の様な臭いが風に乗って漂う。昔に同じ様な臭いを嗅いだことがある。最悪の記憶の一つに。だからすぐ分かった。

あ、これ血の臭いや·····。

全力で走った。速く速く行かないと。相手に気づかれても関係ない。

助けないと。翔を·····翔を助けないと。


部屋の中が見えた。出かかった言葉が失せる。

そこには、翔に知らない女が絡んでいた。

私の体は勝手に動いた。ただ怒りをぶつけるために。

「クソがなにしとんじゃぁぁぁぁぁ」

私は全力で殴りかかっていた。

その拳は当たり、そいつは飛んでいった。

 

翔は·····翔は?

「翔、助けに来たよ?」

返事がなかった。私がいくら名前を呼んでも返事がない。体をよく見てみる。

虚ろな目をして、抜け殻みたいに体からは力が抜けていた。


あの時と一緒だ。

私はまた、また間に合わなかった。守るって誓ったのに、命に代えても守るって言ったのに。

蹌踉めいて、地面に跪く。

「ペチャッ」


ついた手から音がした。冷たい液体がついた。様な感覚。

手が赤くなっている。血だ。床に血が溜まっている。

血が流れてきた場所に目をやる。

「ま·····真弓?まゆちゃん?」

返事がない。返事をしないとわかっても呼んでしまう。理解したくない。

なんで·····なんで急に?翔も真弓も?

落ち着かない頭を整理していると声が聞こえる。


「いったいなぁ。まあいいや、これでもう一人邪魔なやつを殺せるから!」

さっきの女が言った。

私はそいつに殴りかかった。今度はちゃんと殺意を込めて。


「どうしたんですか?そんなに怒って」

嘲笑うかのようにそいつは避ける。

私は冷静に相手の反撃を待った。

そうしてそいつがナイフで反撃してきた。

そのナイフを腹で受けて、思いっきりぶん殴った。


「痛ったぁ〜」

そいつは壁に打ち付けられた。そして足が蹌踉めいているのを見て、私は翔を持って逃げた。

走って、走って。教会に行こうとした。

でも途中でコケてしまった。雪のせいで滑って崖から落ちてしまった。


痛む体を黙らせて辺りを見る。

でもそこは見覚えがあった。ここから教会には行けない。だから私は記憶を辿って翔とある場所に向かった。


「ごめんね、助けてあげれんくて」

私はそのある場所に向かいながら翔に話しかけた。

「翔がゲームに巻き込まれたのを、昼くらいに知ってさ」

自分の思いを伝えようと思った。翔を目覚めさせるために。


「遅かったわ。気付くのが。昨日あんな事あったのに気付けんかった」

「私も、真弓も、裕太も、みんな翔の味方やからさ。翔も私たちを頼って?貴方の幸せが私たちの幸せやねんから。笑って、泣いて、怒って、喜びあって。ぶつかって受け止めて分かち合って、それが家族やから。私たちは貴方の一部やから」

そうやって私の思いを伝えた。


しばらく歩いて、やっと着いた。

そこは湖だ。表面は薄っすら氷がはり、ところどころ積もった雪が月明かりに照らされて、キラキラと光っている。

私は木に寄りかかった。手足の感覚がない。力が抜けて、意識がグラグラと揺らぎだした。


「色々あってん。今日」

雪ちゃんが見つかった事、百合さんのこと、ハルちゃんがいた事。色々最後に話した。

「ごめんね。ゲホッお姉ちゃん·····そろそろ限界」

お別れだね。

「守れなくて、最後までいれなくてごめんね」

その時ほっぺに何かが触れた。そこで翔が起きていることに気付いた。


そして意識が切れるその時、翔の声が聞こえた。

「お姉ちゃんありがとう。大好き!」

あぁ、良かった。

「うん!」

これで笑顔で逝ける。







咲ねえが教えてくれた。家族のことや気持ちとか。そのほかにも大事なことを知れた。

次はみんなを頼ろうと思う。俺だけが戦って傷ついても、みんなはきっと幸せじゃない。だからみんなを、家族を頼ろう。きっと、きっと受け入れてくれる。


咲ねえの腹に刺さったナイフを貰って、それを喉に向けた。

大丈夫、俺に家族がいる。そう、俺を大切に思ってくれる人たちが。大切な存在が。

幸せになるために。

その人たちの為に。


     第1ステージ 1周目終了

どうも、ヒトです。この作品を読んでいただきありがとうございます。良ければ感想やブックマークをしてくれると嬉しいです。誤字脱字もあったら報告していただけると助かります。

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