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、ゲームへ  作者: ヒト
第ニ章 骨の髄まで
13/31

「開演」

ナタを力の限り振り下ろした。

「そうだよね、あの魔女に洗脳されてるんだもんね。私が解放してあげる!」

ユルハはまだそんなことを言っていた。

「お前なんやねん、真弓は魔女じゃない。俺の大事な家族や」


そう言ってもユルハは、止まらなかった。

「大丈夫」やら「解放してあげる」やら「自由にしてあげる」やら、愛のような感情のこもった気持ち悪い言葉を次々に吐く。


「当たれやカス」

攻撃は軽やかにかわされる。

「今ここでダーリンが私を傷つけたら一生後悔しちゃうから駄目!」

いい加減うんざりだ。冷静に考えろ。あいつの言動から俺に強い愛を抱いている。崇拝に近いぐらいの。

それを利用すればいい。俺の言う事なら信じるはずだ。


「ホンマはこんなことしたくないねん。でも·····真弓助けへんとまた·····また酷い目に遭わなあかんねん」

ユルハは哀れむような目で俺を見た。

「そっか·····。でも大丈夫。私がいる、私がどうにかする。貴方が私にしてくれたみたいに、私が貴方を救ってあげる」


ユルハはまた気色の悪い笑顔で笑いかけてくる。いい感じだ。このまま行けば殺れる。

「でも雪が人質に取られてて·····。俺だけじゃどうにもできんくて·····」

「大丈夫、雪ちゃんはクロと皆が保護しに行ってるから。心配しなくてもいいよ」

その言葉を聞いて安心したように見せ、ナタを落とす。


ユルハが俺をそっと抱きしめた。

大丈夫だから、私に全部任せて、だから私の胸で泣いてもいいんだよ、と言った。

俺はそれに乗っかって、泣くふりをした。


──今や。

袖に隠していたもう一本のナタを持つ。

それで首を切ろうとした·····。

首にナタが触れた瞬間、ユルハが俺を強く押した。

くそっ、気づかれた!

でもまだチャンスはある。


ユルハは避けるのに必死で体勢を崩している。

俺はそこには渾身のナタを振り下ろす。

·····マジか。

その一撃は命を掠めもしなかった。

腕で防ぎやがった。普通、腕も切り落とすぐらいの威力のはずなのに。


「ごめんね、こんな事させちゃって。もうさせないから」

ユルハは俺の腹を殴ってうずくまった所に、後頭部を打った。

俺はプツッと意識がきれた。


「助けられなかったから、これくらいの罰は受けないとね。もう大丈夫だから。もう誰にも邪魔されず、平和に過ごせるから」


       病院 地下3階 物置き


私は裕太に病院に雪が居るから、雪と一緒にいてあげてとメッセージを送った。

そして今から展望台に行く。

時間がそこそこかかるけど、関係ない。

翔のところに行こう。


「行ってくるね。大丈夫、裕太が来るから」

そう言って雪の頭を撫でる。雪は私の撫でる手を押さえるように触れて、心地よさそうな笑顔になる。

「うん、裕太と一緒に待ってるから。帰ってきてね」

「うん!」


そう言って私は病院を出て、走り出した。

雪が降っていた。雪は、いつもより冷たく感じた。

どうも、ヒトです。この作品を読んでいただきありがとうございます。良ければ感想やブックマークをしてくれると嬉しいです。誤字脱字もあったら報告していただけると助かります。

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