表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/12

実際にあった怖い草魔法

短編からまとめているのでかなり不自然な構成ですが、スルーでお願いしますっ!


前回までのあらすじ

 私、異世界転生した草魔法使い! 不遇だったりしたけど、今、魔女の弟子をしているの。ちょっとしたいたずらでミントを生やしたら怒られちゃった。しかたないからミントを破滅させて、精油を作ってお小遣い稼ぎしちゃった。原液を飲んだり体につけちゃダメだよと注意書き忘れたけど、私ったら忘れん坊なんだから。


 うふふふ。

 今日は普通にお仕事するのよ。ほんとよ?


 注)恐怖のスギ的兵器の開花前からはじまります。

   雑草系はぽやぽやと風に揺られてアップ作業中。

   発症まであと数か月。

 ミントが破滅したあとの庭には、隙間ができた。

 駆逐しすぎたかなと思ったら、その隙間に薬草や野菜を植える役目を仰せつかった。好きに植えていいのかと思えば、リストをもらった。変な効果の増幅だの成長加速だのしなくていいと念押しされたのだが、フリだろうか。

 ……いや、なんかしたら今度こそ家を出される気がする。しばらく、行商してこいと荷物ごとポイ捨てされる。

 それは困る。実家に住んでる娘みたいな生活を手放せない。疑似家族楽しい。


 大人しく家庭菜園を再生した。普通に普通に育つのだぞと念を込めたら、ほどほどの成果だった。しかし、魔女は呆れたように、なんで、マンドラゴラ生えてんの? と言っていた。人参植えたはずだった。ゴボウも同じ目にあっていた。細長いな、君。

 それから、普通の土地で育たない薬草と世話が大変な薬草も普通に育っていた。

 事前知識なしで育てさせたら、育つんじゃないかと実験したらしい。私、実験台。魔女の菜園の出入り禁止が言い渡された。面倒だが、自分で育てるらしい。何喰わされるかわからないってひどい。

 確かに私もマンドラゴラがシチューに入ってたらいやだけどさ。


 代わりに私の菜園をもらった。厳重に結界で覆われて、よそに種や花粉などが飛ばないように調整されている。危険物だ。バイオハザードマークがつくくらいの危険物だ。

 普通の薬草をいっぱい作ったり、かけ合わせたり全滅させたりなど、色々楽しむ日々に発見があった。草魔法は菌類は育てられない。キノコ育たないと疑問に思ったところから始めたのだが、菌類というのは植物ではないらしい。そういえば、動物に近いと昔聞いたことがある。

 魔女に聞けば、初耳だったらしくちょっとした実験に付き合わされた。もしや、私、実験動物? なお、動物系はそれ専門の魔法があるらしいが適性を持つものはほとんどいないそうだ。

 いたとしても抹殺対象になりかねないと怖い話を聞いた。動物というのは人も含まれる。人の配合や急成長などが可能な魔法というのは、倫理的にまずいが、それをしたがるものはいないとは言い難い。


 こわっと思ったが、ふと振り返った。

 私、植物の交配やら急成長などなんも考えずにやっていた。それってけっこうまずい?

 あまり、問題のあるもの作るなよと釘を刺されたのはもしや?

 聞こうかと思って探した魔女は台所にいた。


 魔女はミントティーを飲んでいた。私に気がつくと増えたときはどうしようかと思ったけど、こうして飲むとおいしいなと笑う。


 ……。

 うん。

 迷惑をかけてはいけないと今、ものすっごく思った。


 なにー? とのんびりした様子でやってきた父にもミントティーをお見舞いしてやる。子供みたいにはちみつを要求する中年男性。どうなんだろな。この父。

 同居して、それなりに近く暮らしていると、ん? と思うところがある。

 ささやかな違和感。私はそれを大事にしようと思う。とりあえずは、薬である。尋問技術がないんだから、素敵なお薬を用意しなくては。


 なんだか薬を作るお仕事を手伝ってくれるようになった私に魔女は喜んでいたようだった。お仕事は厳しかったが、これも目的の本を読むための修行と頑張って一か月。ようやく目的の本を手にし、材料集めに二か月、生成に失敗すること一か月となかなか思うようには進まなかった。

 その間に花粉の罠が発覚し、周囲に迷惑かけるなとやはり親子ともども説教された。

 おまえらの反省してますって顔そっくりだな。内心反省してないってことが透けてるのも合わせてと。

 それわかるの魔女だけじゃないかなと思うけど黙ってる。


 そのあたりから魔女が何か考え込む日が増え、家に帰れと言われた。慌てたのは私だけでなく父もで。家を取り戻すのは手伝うから、元の場所に戻れと面倒そうに、だけど、どこか心配そうだった。


 そんなのどうでもいいと私が言う前に父が怒涛の告白を始めてしまった。

 あ、そ、そうだったのという初耳情報ばかりだ。昔からの知り合いとか、初恋とか、呆然としている魔女がはっと我に返ったように、死別とは言えおまえ既婚だろと言えば、さらに初耳情報を暴投される。

 え? 病死とかいわれた母、家でてったの? 男作った? どういうこと? 説明全部違くない?

 外聞が悪いって……。これで問題ないと言いたげな父。

 あ、うん。

 こいつ危険人物ね。


 尋問必要だわ。


 私は素直になるお薬を魔女に飲ませた。と見せかける。効くまでの間にと父にお茶を飲ませた。そっちが本命である。


 大変素直になった父は、娘に苦労をかけたと謝罪から始まった。母の死の真相は母の浮気、駆け落ち、病気で出戻ると喰らい、謝罪しながら死なれたそうな。控え目にいってツライ。

 しかも、私、父の子なのか疑惑あり。それは知られたくなかったから、色々なかったことにして病死したことにし、関係者には口止めした。しかし、従姉に知られ脅されてやむなくという事情が出てきた。


 ぽつぼつと泣きながらごめんと言われると抉られるんだが。いや、悪かったよ。

 え? そう思うなら、薬を飲めと?

 い、いやだなあ、隠し事なんて、待ってなんで魔女も手をかすの?

 さすがマイハニーって父、どうなの。あ、うん。そのう。話をそらす作戦がっ!


 自供させられたあとに魔女は、言いました。

 伝説素材育てられるとかやばいな草魔法。


 なんでも、素直になる薬、伝説級だそうだ。もちろん残りは没収された。

 その後でまあ、なんだ、お母様とかよんでもいいぞと魔女は言った。

 なお、父は口説き方がなっとらんとダメ出しをくらっていた。まだまだ、時間はかかりそうである。


 それからの私たちはといえば、なんだかんだで家族をしている。

 

 元領主館があったところは呪いの屋敷となり、住人は逃げ出し今では誰も住んでいない。

 だが、今でも白い悪魔が飛んでいるという。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ