ほんとにあった呪いの草魔法
邪悪な魔法使いがあらわれた!
異世界転生して、役に立たない草魔法が適性魔法で、色々あって実家を放り出された私。
今は魔女の弟子ということになっている。なぜか一緒に出てきた父とも同居している。
どういう状況だと言う話だが、私も説明されてもわからなかった。
父の後妻は後妻であるけど後妻でなかった。ゲシュタルト崩壊しそうなくらい後妻である。
父、母と死に別れる。娘のことを忘れてたわけではないけど、めそめそ生物と化し、やや放置ぎみ。そのころに慰めという名で下心を隠した出戻り従姉親子が乗り込んできた。
従姉のところも父親が亡くなって(嘘)と同情を買い、しばらくなら同居していいよ、となった。そうしたら、いつの間にか家が乗っ取られていた。なんか勝手に婚姻届けも出されていた。従姉の娘も養子に。
さすがに父はバカなのではないかと思った。
父が言うには一応は追い出そうとしたそうだ。ただ、属性の相性が悪くて失敗して、枷をかけられてああだったらしい。当主の座は守ってはいるもののわりと頷き人形状態だったそうだ。
いない今のほうが困ってるかもとは言っていた。後妻は当主代行にはなれないから。おそらく、当主の変更について申請中だろうが、先手を打っているのでその点は安心らしい。
その手腕があるなら私に対してももうちょっとなんかで来たのではないか。そういえば、僕に発言権がなかったし、貴族のお嬢様向いてなさそうだから生活力をつける方向で使用人にも言っていたらしい。
……思い返してみると、厳しくもいろいろ見守ってもらえたような? 庭に子供一人通れそうな隙間なんて空いてるのもおかしいし、その先が魔女の家だというのも。
魔女に聞けば、なんだ今頃知ったのかとせせら笑われた。
……なんだか、腹が立った。
うふふふ。呪いがあるというのを思い知らせてやるわっ!
と思ったのが間違いだった。
今、親子で、正座して、説教されている。
ミントみたいな植物を地植えしたら、なんと裏庭がミント畑に!
反省してますと言う顔をしていたのに、すぐばれた。
父が私と一緒に説教されているのは私に対する教育のなんたらで、親としてのだなとマジ説教になっている。
父涙目。ぷるぷる生物は健在である。
二時間もすれば魔女も気が済んだのか、草刈りを厳命して解放してくれた。なお、父は連れていかれた。意外に気に入られている。
このまま父母になってくれればいいのになというのは口出ししないことにしている。
私は裏庭でミントを見渡した。大量だ。
ああ、いいこと思いついた。
ミントの精油を作ろう。そういう魔法なら習った。
可愛いラッピングをして、美しいあなたにと送れば。
清涼感があり、良い匂いだけど、使い方を間違えると……。
たのしみ。
前回はバイオテロで、今回はテロ。邪悪である。
父、水魔法の使い手。領地の治水関係で能力はあるものの日常的に疲弊している。
後妻、火魔法の使い手。水魔法は火魔法と相性最悪で、同じ実力だと9割負ける。
結果敗北。軒先を貸して母屋を乗っ取られた。でもまあ家だし、と家出中。権限等は個人に属しているので意外と困らない。
なお、魔女は全魔法習得しているが、全部初級どまりという致命的欠陥あり。代わりにオリジナルの複合魔法使う。