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パッチワーク  作者: 山田
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ベットの上で目が覚めた。

この感じ、七時だろう。

かかっている時計を見た。やっぱり七時だ。

スリはどこへ行ったのだろう。

そこら中に散りばめた小さい毛布を私は、そこら中に飛ばした。

寝相が悪かったのか、スリはベットの下に転がっている。


「いた」


なんとなく口にした。



やっぱりスリがいないとモァ〜〜〜っとした感覚が消えない。

この頃、特に酷い。

これが学校から帰ってきてまでだと思うと不快だ。

今日の給食はチーズケーキだ。そこまでの辛抱だ。


いっそのことスリを持って行く?いやそんなことはダメだ。

チンパンジーは、 いや?

なんだか、もういじめていないから、そんなことを言うのが悪く思ってきた。

なんでも、スリがアイツらの餌食になるのが嫌なんだ。


アイツらはもう小学六年生だ。そんなことをするような輩ではない。

もう十二歳だ。アイツらはチンパンジーからアウストラロピテクス程度になっただろう。

と言うか、なって欲しい。

こうして変なことを考えているうちでも、スリの安心感が欲しかった。

モァ〜〜っとした感情が脳内をずっと渦めいているような感覚だ。

我慢ならない。

結局、スリと登校した。




学校へ来た。担任の上杉先生は、自分のスマホに吸い込まれていた。

アイツらは、最近話題の あの、なんとかさんゲームをやって盛り上がっている。

なんだったけ


「斉藤です!」


斉藤さんゲームだっけ。

何だか悪寒が来た。あれは楽しいのか?

あんなのやる相手がいないから分からない。


ああ、アイツらゲームでミスったぽい。笑い声が聞こえる。

やっぱりうるさい。やかましい。

自分の心の中でアウストラロピテクスからチンパンジーへと退化していきそうだ。

机に毎度ながら座り、眠る体制に入った。


スリが近くにいてうるさくてもなんだか落ち着く。

涼しい。心地よい。

気の緩みで眠くなった。寝てしまいたくなる気分だ。



「おい起きろー!」


授業中みたいだ。もっと早く起こせよ。

あっ、これやったことがあるような気がする。

また先生がいじるように言っている。

生徒も笑っている。

また寝ることをまたすればいいのだろうか?

あの時どう切り抜いたのだろう。

思い出せない。

なんかあれだ。あれ。なんだろうあれ。どうも思い出せない。

もっとこうなこれだ。あれ?


「おい何やってんだよ!」


なんか言ったんだ。多分そうだ。絶対そうだ。

面白いこと。ああダメだ斉藤さんしか頭にない。私は何をやったんだ。

何が楽しかったんだ。何をやりたかったんだ。


「お前どうした?」


先生が疑問そうにも、いじるようにも言ってきた。

完全に私はショートして、その場に完全に真顔で立ちすくんでいた。

周りのもんがそいつのことを見て、笑い出した。

前よりも大きな笑いだ。

けれども嬉しさはなかった。


笑われた。そんな感情が、よりモァ〜〜〜っとした感情を強くした。







帰り道、私は寝て笑いをとったことを思い出した。

あの時は楽しかった。嬉しかった。何だか認められた気分だった。

笑われるとなると気持ちが悪かった。

見世物と言えばいいのだろうか。笑わさせられるために落としいめられたような感情になるのだ。

モァ〜〜〜っとした。


そういえば私はスリの近くにいるのだ。

なんだかそんな感情は消え、少しずつだが気持ちが湧いてきた。

スリをスリスリしたい。

誰も見ていないだろうか。私は周りを見渡した。

ここはあまり見かけない外れの道だ。問題ない。ここでならできる。

監視カメラは私を不審がるように見ている。知ったこっちゃない。

鞄からスリを取り出し、私の頬へと飛び込ませた。

やはり毎度ながら心地が良い。

毎日やりすぎなため、一日朝と夜の二回だけにするように心がけてきた。

この場合夜の分がないのか?

ええい もう知らない。 何回でもやって、楽しんでやる。

スリの腹を暴れ回るように頭を動かした。

スリの腹は寛大だ。私の何もかもを許してくれる。そんな温かさがあり、最高に良い。

スリの背中に頭を突っ込んだ。

スリの背中は慈悲深い。私の何もかもを受け入れてくれる。そんな親身さがあり、この上なく良い。


五分も経っているだろう時、後ろから歩いてきた気配がする。

急に私は我に帰った。

後ろには知らない婆さんがいた。笑われた。また笑われた。

何だか好きなものが否定されているような気分だった。









スリを学校に持って行くようにする頻度が上がったような気がした。

もうスリスリ一日二回と言うルールは存在しない。解放されたのだ。

存分にスリスリができるのだ。

そんな日々が崩される日が訪れた。日光への修学旅行だ。

小学六年生からある修学旅行。

この旅の楽しみは、いかにスリと居てられるかによる。

けれど、スリは持っていけないのだ。

当然こんなもの守るはずがない。ウノも持って行く。


どう隠そう?


そう思って私はこう思いついた。

自分が裁縫で作ったカラクリカバンを使って、

これで上杉を欺き、バレずにスリとの旅行を楽しむのだ。



私はカバンに三つのカラクリを入れた。


一つ目は、パーツが取り外し可能になったことだ。

これで何個もの小さいカバンができる。

スリはあまり大きくないので、なんこのカバンで欺くことができる。

担任の上杉もこれぐらいではバレてしまう。


二つ目は、ロックをかけれるところだ。

五桁の暗証番号だ。総当たりしたら、修学旅行が終わるほどに果てしない。

もし怪しまれたら、あの上杉はうるせぇが、黙っていればいいだろう。


三つ目は特定条件の下でしか見えないサイドポケットだ。

パーツが取り外し可能なためにこう言ったことができる。

そこに五桁の暗証番号がついてるのだ。

こんなん上杉わかりっこないだろう。


残り二つも取り付けたのだが、まともに作動しなかった。

けれどおそらくもう完璧だ。

すごくざっくり話をしたが、これを作るのに五ヶ月半以上かかっている。

本当に何をやっていたのだろう。

五ヶ月の間、親は何を思って見ていたのだろう。

なんだか、その間だけ、モァ〜〜〜っとした感情がなくなっていくのだ。

作っていてとても楽しかった。


絶対に成功してやる。絶対に上杉を欺いてやる。

何だかものすごく興奮してきた。修学旅行二週間前だと言うのに。

まるで明日のように嬉しい。

その日は、自分一人で舞い上がってしまった。




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