77:おしまい
ジゼル王女と魔王は、女神が作った【神々の牢獄】と呼ばれている絶対に生還不能のダンジョンへと突き落とすとして民衆の納得を得た。
そのダンジョンでは勇者たる俺でさえ幾度となく死が脳裏をよぎる程の地獄であり、女神の助けがあってこそ俺は勇者としてこの世界に顕現することができた。とうぜんこいつらに女神の助けなどあるはずもない。
零落した神々によって無残に惨たらしく何度も殺してくれと懇願したくなるほどの絶望の果てに腐って死ぬだろうと、こいつらの処遇を説明し、民衆には溜飲をさげてもらったのだ。
まあこれは、女神達の手助けとして派遣したという方が俺の心情的には正しい。
なんたってあいつら、俺と同等の力を持ってるんだもんな。俺の代わりに女神達に弄ばれてくれや。
そして俺は、王女なきこの国の王となった。
妻にはベルを迎えた。
だから……俺は今……。
ぜーんぶ投げ出して、逃げ出してやった!!!
本当は地獄行きは王女だけにした。しかし全国中継で二人並ばせにゃならんかったので……影武者としてシンディを配置。
サンパウロ閣下……すまん、娘は死んだんだ……。
まあシンディは敬虔な信徒だった。
女神の元へ手助けに行く気はないかと問えば、すぐさま首を縦に振った。
それが彼女の幸せだったのだ。
そして国王の座には魔王を着任させた。
あいつは人の姿を真似る能力を持っているからな。ぜひとも影武者として置いておきたかったんだ。
よかったな。世界はこれでお前のものだ。
まあ監視にはシンディ以外の豚……アレンデール三姉妹を配置して抜かりはない。何かやらかそうとすれば全穴同時責めの刑だと言ってある。
……そしてベルには、それを全て打ち明けて出ていった。……泣いて、それでも俺を応援してくれた。
やっぱり俺にお前は、もったいないよ。
それに魔王は愛という感情の不可思議さを訴えていた。
ベルの愛を味わえば、きっとその素晴らしさに目覚めるだろう。そうすれば人類を滅ぼしたりなんかしなくても、お前の心は満たされるはずだから……。
「と、いうわけで。これから当分よろしくな!」
「いやいやいやいや、おかしいおかしい。なぜその流れで、吾輩を旅の道連れに!?」
羊のような巻き角を耳の上辺りに生やした幼女にそう言うと、呆れた様子でそうツッコミを返してきた。
闇を統べる四悪魔が一柱。ルシファーだ。
俺の前では殴られるのを避けるために幼女の姿に化けているが、本体は醜悪な悪魔だ。
いやだってお前、強いし。能力も時間を操作するとかむちゃくちゃ頼りになるし。
そしてなんやかんや悪魔とか神とかの方が……接しやすいんだよね!
普通の人間じゃ俺の相棒は務まらないというか、ちょっと力加減間違えてぶん殴れば致命傷だしな。
お前くらいがホント、丁度いい。
「ま、いいだろ別に。頼りにしてるぜ」
「くっ……人間ごときに、吾輩のような高位悪魔が侍らせられるとは! だが貴様の事は別に嫌いではないぞ! ふはははは!」
なんかムカつくな……。
まあいい。さあ、それじゃあ自由気ままに、異世界を満喫するとしますか!
なんせこちとら――!
「観光で来とるんじゃい! よっしゃいくぞおおおお!」
温かな陽気と青空の下、アダムス王国に見送られて、ワクワクの異世界旅行にいざ出発――!
了
お読みいただき感謝でございます! これにて完結…!!!(´;ω;`)
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次回作にご期待ください!!!!!!!




