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女神・ザ・クッキークリッカー! ―女神を殴るごとにレベル上がるんですがそれは―  作者: 八゜幡寺


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54/77

54:却下

 決闘は練兵場にて行うこととなった。

 各自で準備を整え、正午にて試合開始。

 俺には準備というものが何もないので、与えられた豪華な客室で、時間までゴロゴロしていることにした。

 ベルはといえば、この世の終わりみたいな顔で俺の説得を試みている。


「ゾンボルトさんは剣の達人です。レベルも50を超えてますし、戦闘スキルも充実しています。召還されたばかりの勇者様では……。どうにかして、戦いは避けなければなりません」


 声が震えている。俺には勝ち目がないと言いたいらしい。

 おかしいな、ステータス見せたよな? 魔王程度なら数値だけでごり押し出来るって女神のお墨付きも貰ってるんだけど、ベルの目にはゾンボルトの方が強大に見えるようだ。

 数値には反映されない実績があるのだろう。


 だとしても、俺のレベルは1280。


 流石にこのレベル差で負けるとは思えないんだが……もしかして、忘れた?

 疲れやストレスで倒れたわけじゃなく、気絶するほど俺のレベルに驚愕したってことか? そしてショックすぎて、脳が理解することを拒絶したという具合だろうか。

 そうとしか思えない心配のしようだ。


 俺としては、別の意味で心配ではあるのだがな。

 なんせレベル差が文字通りの桁違い。それも二桁だ。

 赤子の手を撚るようなもんだろ、これ。


「なあ、あいつのステータスってわかるか?」

「ゾンボルトさんの強さは本物です。これを見てください」


――――


本名:ゾンボルト・パージヴァル

種族:人間/男/36歳

称号:アダムス王国最強の騎士


レベル:54 918


HP:421/421

MP:45/45

こうげき:149

ぼうぎょ:88

とくこう:53

とくぼう:76

すばやさ:86


【スキル】

・パーシヴァル流剣術:B

・心眼:B

・明鏡止水:C

・縮地:C

・アダムス王国騎士式ルーティーン:A

・武芸の嗜み


【備考】

 数々の功績を残す生ける伝説。モンスターの大群をも単身で撃破するほどの戦闘力を誇る。アダムス王国建国時から騎士として王宮に仕えるパーシヴァル家の正統後継者にして、歴代最強。


――――


 何かと思えば、ゾンボルトのステータスか。なんでベルが持っているんだよ。

 疑問はすぐに解消された。俺が運び込まれてすぐに女王様からこっそり渡されたらしい。

 ということは、あの女王様はこの状況を想定済みだったわけだ。

 こんなことになる前にもっと穏便に済む方法だってあったろうに、わざわざ面倒臭いやり方をとるなんて……なんだか女神に似た性格だな。


 それにしても、まあまあ良いステータスだな、ゾンボルト。

 ステータスの方向性がしっかりとしてる。

 これに剣術スキルと、いかにも剣術が強化されそうなスキルが山盛りだな。

 対する俺は――。


――――


本名:大鰐おおわに 顎斗あぎと

種族:人間

称号:狩猟神の盟友にして(アルテミスト・)雷帝八龍の勇者イヴァン・ザ・オロチコマンダー


レベル:1280 


HP:1000/1000

MP︰100/100

こうげき︰500

ぼうぎょ:500

とくこう:200

とくぼう:500

すばやさ:500


残高:2708


【ユニークスキル】

沈まぬ太陽(ミリオンサンズ)

不死王眼(デッドリースルー)

神々の食卓(スーパーデトックス)

円卓の騎士の招集(アーサーフレンズ)

・ミニッツ・ラヴァー

百鬼夜行ステッパーズ・ディライト

・???

・???


【スキル】

・ステータス

・ライジングインパクト:A


【備考】

 女神の呪縛からは逃れられない。


――――


 増えた分のゴミスキルは置いといて、数値だけ見れば完全に俺が優位だな。だが相手のスキルによる強化を鑑みれば不安は残る。

 生ける伝説と呼ばれるその戦術や武技も油断できない。俺は所詮、戦闘の訓練なんて一度もしたことがない素人だ。

 武芸の達人から言わせれば、ステータスが高いだけの俺なんてまさにその辺にいるオークやゴブリンと大差ないのかもしれない。


 くっそ、難しいな。

 いっそステータスポイントの余分を振り分けて、安全に勝てるくらいまで地力を底上げするか。

 いや、やはり手加減という難題が現れる。

 俺は演技派じゃない。絶対子供を相手にする保父さんみたいになる。

 ……これは面倒だな。やっぱ戦い自体を避けた方が懸命な気がしてきた。

 でも、どうやって?


「うーん、困ったな」

「勇者様が勇者たる決定的な証拠でもあれば、こんな勝負なんてなくなると思うんですが……」

「そんな都合のいいもの……あっ。あるわ。思い出した」

「本当ですか!? 流石は勇者様です! それで、どのような?」


 これまでは邪魔だったから使わないしそもそも存在すら忘れていたが、もしかしたらこれは使えるかもしれないぞ。

 今こそ、ここぞとばかりにそのスキルを開放する。


「光るの。俺の体。全身くまなく。……なんか神々しくない?」

「あー、…………」

「……」

「……」

「……別の方法、考えるか」

「そうですね。そうしましょう」


 無言の却下が聞こえた。おれも同感だ。

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