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女神・ザ・クッキークリッカー! ―女神を殴るごとにレベル上がるんですがそれは―  作者: 八゜幡寺


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47/77

47:覆される前提条件

 ミゼーアのこれまでは、孤独と闘争しかなかった。

 やがて闘争がなくなると、孤独しか残らなかった。

 孤独に飽きたミゼーアは、新たな闘争を求め続けた。


 ミゼーアはその過程で女神との戦いに破れ、この神々の牢獄へと落とされた。それでも尚戦い続けた。

 やがて闘争にも飽きたので、ダンジョン深部に八角錘の塔を立て、その中で眠りについた。

 もう永遠に覚めることのない夢を見るために……。


 ――だが、主神の気配に目を覚ます。

 こんな場所に幽閉した怨敵が突然現れたのだ。

 それに闘争と孤独しかないミゼーアにとって、全力で戦える相手というのはこれ以上はない楽しみだった。


 ミゼーアのゴッドスキルである【時空転移ボソンジャンブ】は、ダンジョンの外部へと抜け出すほどの力はないが、ダンジョンの階層を無視して移動することが可能だった。

 女神が深層まで降りてくるのが待ちきれず、ミゼーアは出迎えに行く。

 そして、そこにいたのは――!


「友だったんだ」

「すげえ気持ち悪い」


 黒ピンポンのミゼーアの話はだいたい分かった。

 つまり俺は、ミゼーアからすれば【初めてのお友達】ということだ。


「着ぐるみの上からではわからない空気があることを知ったよ。外に出て、すぐピンときた……ああ、アギト君は僕の運命の友だったのかってね」


 うん、それ間違いなくスキル発動してるね。

 寄生してたときはあの狼顔の身長で測定されてたようだが、元の大きさになれば10cm以下だもんな。

 俺の【円卓の騎士の招集(アーサーフレンズ)】のスキルで友好的になってるだけだね。

 洗脳じゃねえか。


「死ねって言ったら死んでくれる? 俺ら、友達だろ?」

「ごめん。アギト君の頼みなら出来る限りそうしたいけど、僕はもっとアギト君とずっと一緒に居たいんだ」


 やっぱり命令に忠実になるわけじゃないから拒否るよな。ここで経験値にでもなってくれれば最高なんだけどな。


「ねえねえ、今度はアギト君のこと、いろいろ聞かせてよ。……どうしてこんなダンジョンに? あと好きな子とか、いる?」

「距離詰めるの下手くそかよ」


 いやでもこれ、どうすっかな。

 仲間になるなら相当強いのは分かるが、所詮はスキルによってそう思い込ませているだけだ。

 有効期限が過ぎれば目が覚めるはずだし、そうでなくてもこいつが10cm以上のモンスターなんかに寄生すればすぐだ。

 またあんな身も心もステータスも削る勝負はしたくないぞ。


 女神に目を向ける。

 何か案はあるか?

 ダメだ。なんかアルテミスとキスしまくってる。


「アギト様の間接キス……! これが、アギト様の味……!」

「ぬわー! や、やめるでござる! んむむむ! んむちゅー!」


 ――いいじゃん。

 あ違う。そんな場合じゃない。

 こんな事態にあいつら何やってんだか……。あのバカ二人に懸命にサインを送りつつ、ここは俺が場を繋いでおかないとダメだろうな。


「俺は、あのクソ女神に無理やり連れてこられたんだよ。そもそも強制的に最弱の勇者としてだな――」


 ただの時間稼ぎ。

 ――そのはずだが、俺はいつの間にかミゼーアに対して愚痴を零していたのだった。

 こいつの落ち着いたような口調がなんか、話しやすかったんだ。

 女神はストレスの原因だし、アルテミスはバカだから言ってもしょうがないし。

 こんなまともな会話をしたのは、久しぶりだった。


 ミゼーアは俺の話を真面目に聞いてくれた。

 相槌のタイミングがよかった。適度に質問も挟んで、内容をしっかりと理解しているのも本当に話しやすかった。

 そんな聞き上手なミゼーアが、ある提案を持ちかけてきた。


「地上に出たい?」

「そりゃそうだろ。そのために攻略頑張ってんだよ」

「僕の力だったら、可能だよ」


 ……なぬ?

 えそれマジで?

お読みいただき感謝でございます。

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ランキングに載ってこの作品をもっと広めていきたいです。よろしくお願いします!

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