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女神・ザ・クッキークリッカー! ―女神を殴るごとにレベル上がるんですがそれは―  作者: 八゜幡寺


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44/77

44:唯一無二の妙技

「おい、女神。お前がやってこい」

「ダメです」


 ……即答かよ。

 女神が俺に求めることはわかる。レベルが1000を超えて、ただでさえステータスに伸び代がない状況だというのに、そもそものステータスが激弱過ぎる。

 だから規格外のこいつを俺が倒せば、幾分かは補填できるだろうって考えだろ。


 だが、これだけは言える。

 今奴に近づけば、俺は死ぬ。アルテミスのように八つ裂きだ。

 俺の横で……気付いたときにはもう死んでた。

 崩れ落ちる彼女を、支えることすら出来ずに、俺は……。


 ――きたわ。

 この感覚だ。


 こっちの世界に召喚されたときも結局そうだった。

 こんな理不尽を、この俺自身が変えたかったんだ。

 ムカつく奴を、自分の手でぶん殴って、ザマー見ろと言いたかったんだ。


 結局、エゴなんだよ。 

 女神やミゼーアを傲慢な神だと罵ってはいたが、俺も大して、変わりはしない。


 アルテミスを……!

 大事な仲間をぶち殺された憎しみを、奴自身に晴らしてやらねば、気が済まねえ!


「アギト様。覚悟は、お決まりのようですね」

「はっ、見透かしてんじゃねえや。クソ女神」

「うふふ、その意気です。……これを、どうぞ。今のアギト様なら、きっと使いこなすことができるでしょう」


 そっと、女神が差し出してきたものがある。

 それに目を向けて――!


「お前! ――最っ高だな! もしこれであいつを倒せたら、キスしてやるよ!」

「いやん! 当然、お口にですよね!?」


 なんでノリノリなの?

 疑問は留めて、気持ちを瞬時に切り替える。

 女神に手渡されたそれの使い方に、【言葉】は必要ない。既に【心】が理解している。


「スキルカード・オープン! 【アルテミスのゴッドスキル】発動!」


 高い信仰がなければ扱うことができない、神のスキルカード。

 確かに俺には信仰心は欠片もない。むしろ、アルテミスを未だに神だとすら思っちゃいない。


 だがな、誰よりも――いやエルフみたいに一蓮托生とは流石に思ってないけど、でも生きている奴らの中で誰よりも! アルテミスを信頼しているのは俺だ。


 カイザーフェニックス戦が、俺とアルテミスの絆をここまで昇華させた!

 そんな盟友の、偉大なるスキルを――ここに発現する!


――


唯一無二の妙技アルテミス・ジ・オリジン


・生涯を狩猟の神の崇拝に捧げた者は、神の卓越した武技を10秒間だけ完全に同等のパフォーマンスで発揮できる。――『命と引き換え』に。ただし、信仰以上の、神との絆があれば……それを無償で行使できるだろう。


――


 信仰心がない俺が扱えてんだ。

 命なんて奪いやがったら、あの世でも死ぬまでぶん殴り続けてやるからな!


 スキルカードは、俺の身体に溶け込むように消えていった。

 そして、――俺は、生まれ変わった。


 小石を拾う。

 これで十分だ。

 後は、アルテミスのバカぢから!

 狩猟神としての数多のスキル!

 俺の――怒り!


「いっけええええええ!」


 ミゼーア。バカな奴だよ、お前。

 ダンジョンのもっと深いところで、大人しくじっとしていれば、……もうちょっとくらい長生きできたのにな!

 だがくたばれ!


 ……おっと、そういえばこれは、こういうスキルだったな。


――


【ライジングインパクト︰A】


・打撃攻撃において【クリーンヒット】がより出やすくなる。またその場合において相手の【耐久力】を80%無視し、【吹っ飛び判定】を得る。


――


 確かに……小石って、分類としちゃ鈍器だよな。

 つまりは、打撃。


「おまけだ。冥途の土産にでもしといてくれ」


 ライジングインパクト……発動!

お読みいただき感謝でございます。

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