44:唯一無二の妙技
「おい、女神。お前がやってこい」
「ダメです」
……即答かよ。
女神が俺に求めることはわかる。レベルが1000を超えて、ただでさえステータスに伸び代がない状況だというのに、そもそものステータスが激弱過ぎる。
だから規格外のこいつを俺が倒せば、幾分かは補填できるだろうって考えだろ。
だが、これだけは言える。
今奴に近づけば、俺は死ぬ。アルテミスのように八つ裂きだ。
俺の横で……気付いたときにはもう死んでた。
崩れ落ちる彼女を、支えることすら出来ずに、俺は……。
――きたわ。
この感覚だ。
こっちの世界に召喚されたときも結局そうだった。
こんな理不尽を、この俺自身が変えたかったんだ。
ムカつく奴を、自分の手でぶん殴って、ザマー見ろと言いたかったんだ。
結局、エゴなんだよ。
女神やミゼーアを傲慢な神だと罵ってはいたが、俺も大して、変わりはしない。
アルテミスを……!
大事な仲間をぶち殺された憎しみを、奴自身に晴らしてやらねば、気が済まねえ!
「アギト様。覚悟は、お決まりのようですね」
「はっ、見透かしてんじゃねえや。クソ女神」
「うふふ、その意気です。……これを、どうぞ。今のアギト様なら、きっと使いこなすことができるでしょう」
そっと、女神が差し出してきたものがある。
それに目を向けて――!
「お前! ――最っ高だな! もしこれであいつを倒せたら、キスしてやるよ!」
「いやん! 当然、お口にですよね!?」
なんでノリノリなの?
疑問は留めて、気持ちを瞬時に切り替える。
女神に手渡されたそれの使い方に、【言葉】は必要ない。既に【心】が理解している。
「スキルカード・オープン! 【アルテミスのゴッドスキル】発動!」
高い信仰がなければ扱うことができない、神のスキルカード。
確かに俺には信仰心は欠片もない。むしろ、アルテミスを未だに神だとすら思っちゃいない。
だがな、誰よりも――いやエルフみたいに一蓮托生とは流石に思ってないけど、でも生きている奴らの中で誰よりも! アルテミスを信頼しているのは俺だ。
カイザーフェニックス戦が、俺とアルテミスの絆をここまで昇華させた!
そんな盟友の、偉大なるスキルを――ここに発現する!
――
【唯一無二の妙技】
・生涯を狩猟の神の崇拝に捧げた者は、神の卓越した武技を10秒間だけ完全に同等のパフォーマンスで発揮できる。――『命と引き換え』に。ただし、信仰以上の、神との絆があれば……それを無償で行使できるだろう。
――
信仰心がない俺が扱えてんだ。
命なんて奪いやがったら、あの世でも死ぬまでぶん殴り続けてやるからな!
スキルカードは、俺の身体に溶け込むように消えていった。
そして、――俺は、生まれ変わった。
小石を拾う。
これで十分だ。
後は、アルテミスのバカぢから!
狩猟神としての数多のスキル!
俺の――怒り!
「いっけええええええ!」
ミゼーア。バカな奴だよ、お前。
ダンジョンのもっと深いところで、大人しくじっとしていれば、……もうちょっとくらい長生きできたのにな!
だがくたばれ!
……おっと、そういえばこれは、こういうスキルだったな。
――
【ライジングインパクト︰A】
・打撃攻撃において【クリーンヒット】がより出やすくなる。またその場合において相手の【耐久力】を80%無視し、【吹っ飛び判定】を得る。
――
確かに……小石って、分類としちゃ鈍器だよな。
つまりは、打撃。
「おまけだ。冥途の土産にでもしといてくれ」
ライジングインパクト……発動!
お読みいただき感謝でございます。
少しでも面白いと思ったなら「ブクマ」「いいね」「☆での評価」お願いします!
ランキングに載ってこの作品をもっと広めていきたいです。よろしくお願いします!




